読書中座記:クロード・レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』への誘い
”私は旅や探検家が嫌いだ”という書き出しで第一章が始まる民俗学の本を、今日は紹介していきたいと思います。南米はブラジルのアマゾン奥地へ、民俗学の調査行に出かけたレヴィ=ストロースが著した『悲しき熱帯』(川田順造 訳 中央公論社)、この本は単に民俗学、人類学の著作と割り切るには随分と不可解な書物です。というのも、著者自身が書くことに羞恥と嫌悪を感じ、彼の地ブラジルを去ってから十五年も経過してると冒頭に記しているのです。
アマゾンの未開の原住民を訪ねた書物でありながら、時に話は