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ものすごくみじかい話

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記事一覧

ものすごくみじかい話 ばくだんいわ

 ばくだんいわ的な、自爆するタイプのモンスターが近所を歩いていたので、

「自爆するために生まれたというのは、人生が虚しくならないかい」と尋ねると、モンスターは鼻で笑って、

「人生なんて、畢竟、長い自爆みたいなもんさ」と格好をつけた。

 でもそれが一周回って本当に格好良く思えてきたので、なるほど。

 おれも自爆してみようかな。

ものすごくみじかい話 月が落ちてきて

 月が落ちてきて地上が大変なことになっているときだったけれどもジムに行って筋肉をいじめていると、同じくジムにきて筋肉をいじめている人が話しかけてきて、

「今、筋トレする意味ってなんかあるのかな」と聞いてくる。

「おれのほうが教えてほしいくらいさ」と答えると、その人はなにか腑に落ちたような顔をして、

「わかった。なにか考えてみるよ」と言いながらまた筋トレを始めたのだった。

 窓の外は眩しい。

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ものすごくみじかい話 無人島白米

 無人島に友達といっしょに漂着してしまった。こんな食べ物もないところでは死んでしまうしかないのではないか、と悲嘆していると友達が、

「じつはおれ、ほかほかの白米を無限に生み出すことのできる能力を持っているんだ」と手のひらからほかほかの白米を出してくれる。

 さっそく実食。とてもうまい。

「ごはんをおかずにごはんが食べられるレベル」と褒めたたえると、

「そう言ってくれてうれしいよ」とはにかん

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ものすごくみじかい話 アスパラガス

 はじめて彼の部屋に行ったとき、キッチンに壜に入れられた植物が置いてあって、なにかと思いきやアスパラガス。

「こうやって置いておくと長持ちするんだよ」と照れくさそうに言っていたことが、なにかとてもすてきなことに感じられて、それも付き合うことの原因のひとつになったんだなあ、ということを思い出すのだけれども、だからといって自分でアスパラガスを買ったときに、そんなふうに保存しようとしたことなんか一度も

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ものすごくみじかい話 古い家の猫

 友達が数ヶ月家を空けるというのでその間猫の世話をしていてくれたら、家(古い一軒家だ)は勝手に使っていいよ、というのでありがたく住まわせてもらうことに。

 友達の猫はてれ屋さんなのでなかなかわたしの前に姿を現さないけれども、餌を置いておくとなくなるし水もぺちゃぺちゃ舐める音がするし、なによりあちこちに真っ黒な抜け毛の塊がどっさりできてるから、たぶんどこかにはいるんだろうなと思う。

 でも、

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ものすごくみじかい話 匙を投げる大会

 匙を投げる大会に出ている友達の応援に行くと、

「おれがこの匙を投げることで、この世界に魔物の大群が押し寄せてきてしまうかもしれないんだ」と言いながら匙を投げていた。

 さすがだなあと感心していると、空に大きな黒い穴がぽかりと開いて、そこから魔物の大群がわんさか押し寄せてくる。大会どころではない。

 みんなでわーっと言いながら逃げ惑っていると、当の匙を投げた本人が「ほらね」みたいな顔で苦笑い

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ものすごくみじかい話 一年に一度しか

 今日は一年に一度しか目を覚まさない恋人が起きる日なので、朝からうきうきしながら準備をしていたのだけれども、いつまでたっても恋人は目を覚まさないし、これはもしや寝坊なのだろうかと思っていると、やっぱり寝坊らしかった。

 一年間寝ていても眠いものは眠いのだろう。いつまでも目を開けない恋人を見つめていて、次に目を覚ますのはいつなんだろうなと思っていると、わたしもなんだか眠くなってきたので、一緒に寝て

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ものすごくみじかい話 毒チョコ

 バレンタインなので友達に毒チョコ(毒の入ったチョコ)をあげるとお礼に友達からも毒チョコをもらったのでその場で食べる。たちまち毒が回ってくる。のたうちまわって苦しんでいると友達がゲラゲラ指さしてくるので「おまえも苦しめよ」と促すと友達も食べ、苦しむ。二人で転がりながらじたばたする。死ぬほど楽しい。

ものすごくみじかい話 道端で助けた神様

 道端で行き倒れていた人を助けたら実は神様で、お礼に、
「酌めども酌めども尽きないお酒がでてくるひょうたんをあげよう」
 ありがとうございます。でもわたしはお酒が飲めないのでお気持ちだけ。
「そうなの。じゃ、使っても使ってもシャンプーの切れないシャンプーボトルは?」
 それならいります! リンスとかはないのですか?
「リンスとかは自分で詰め替えて」
 わかりました。
 それで絶対に切れないシャンプ

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ものすごくみじかい話 ピザにパイナップル

 ピザにパイナップルを乗せようとすると、ものすごい勢いで友達が走ってきて、「ピザにパイナップルを乗せるような真似はやめるんだ」と大変な剣幕で怒鳴ってくる。
「ピザにパイナップルを乗せて食べるやつに両親でも殺されたのかい」と尋ねると、「そのとおりだ」と友達。
 それなら仕方ないか、ということで、ピザにパイナップルを乗せるのはやめることに。