ものすごくみじかい話 一年に一度しか

 今日は一年に一度しか目を覚まさない恋人が起きる日なので、朝からうきうきしながら準備をしていたのだけれども、いつまでたっても恋人は目を覚まさないし、これはもしや寝坊なのだろうかと思っていると、やっぱり寝坊らしかった。

 一年間寝ていても眠いものは眠いのだろう。いつまでも目を開けない恋人を見つめていて、次に目を覚ますのはいつなんだろうなと思っていると、わたしもなんだか眠くなってきたので、一緒に寝てしまうことにする。
 外は雨が降っていて、部屋の中は静かで冷たくて薄暗いのだ。