後谷戸

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後谷戸

小説を書きます 返信が苦手なのであまり返信はできませんが、いただいた感想はとてもうれしいです https://lit.link/ushiroyato

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小説 隣に越してきた時限爆弾

 隣に越してきた時限爆弾が挨拶に来てくれて、 「そろそろ爆発するんじゃないかと思うんですけど、仲良くしてくださいね」とタオルをくれた。  ありがとう。でもできればどっかへ行ってほしいなあ、と思ったのだけれども、せっかく挨拶に来てくれた方を無碍にするのもなんなので、部屋に招待してお茶をあげることにする。 「いいお部屋ですねえ」   爆弾はお世辞を言ってくれた。人品卑しからぬ爆弾だった。  それで世間話をしながらお茶を飲んでいると、ちょうど爆弾の胸のあたりに「タイマー」が表示され

    • 小説 風邪を引いたので

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           ペンギンがひどい目に遭う漫画を書いてたらペンギンがやってきて、 「ペンギンをひどい目に遭わせすぎじゃありませんか」と文句を言われてしまう。 「仕方ないじゃありませんか。この時代、読者は過激なものを求めていますから……」と抗弁すると、 「読者のせいにするのはよくないですよ。最終的にそういうストーリーを書くと決めたのはあなたではありませんか」とぐうの音もでないことを言われる。ペンギンにこんなに詰められることってあるんだ。 「すみません」 「わたしに謝るだけではいけませんよ。ペン

        小説 隣に越してきた時限爆弾

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          小説 風邪を引いたので

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          小説 風邪を引いたので

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          小説 ペンギンがひどい目に遭う話ばかり書いてたら

          小説 近所のカンガルーのお母さん

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          「私のポケットに入ってもらえないでしょうか?」と近所のカンガルーのお母さん。 「順を追って話してもらっていいですか?」 「実は最近子供が独り立ちしまして。それからというものポケットがさみしくてさみしくて」  カンガルーのお母さんはハンカチでよよよと涙を拭った。 「今でもあの子がポッケに入っている感覚で目を覚ますことがあるんです。夜中に一人目を覚まして、あああの子がいたかと思ったけどいなかったと思って、そうすると悲しくて悲しくて、水で薄めた麦茶みたいな涙がでてきます」

          小説 近所のカンガルーのお母さん

          小説 宇宙人のアンケート

          「ペンギンプラン」に参加すると最後まで読めます

           宇宙人に誘拐されてしまった。 「わたしたちは地球について調べています、アンケートにお答えいただけると助かります」  とタコみたいな姿の宇宙人が言う。 「いいぜ。なんでも答えてやるよ。でもロハで答えさせようってんじゃないだろうな?」 「アンケートですので、金品をお渡しすることはできないのですが、参加賞的なものを最後にお渡しすることは出来ます」と宇宙人。 「いいね。気に入ったよ。参加賞っていい言葉だよな。きっと高いものじゃないだろうなというのがわかるし、雀の涙みたいな

          小説 宇宙人のアンケート

          小説 神様がやってきて

          「ペンギンプラン」に参加すると最後まで読めます

           神様がやってきて、 「きみの人生はひどいもんだったから、もうちょっとましにしてあげるよ」と言って、わたしにいい靴を買ってくれた。 「ありがとうございます」 「お礼を言われるほどのことじゃないさ」  神様は帰った。わたしはその靴を履いてしばらく歩いたのだけれども、サイズが合っていなかったのか、指に豆ができてしまった。  仕方がないので靴は捨ててしまった。サイズの合わない靴を持っていても仕方がなかった。

          小説 神様がやってきて

          小説 一緒に住んでるデスクラブ(殺人カニ)

          「ペンギンプラン」に参加すると最後まで読めます

           一緒に住んでるデスクラブ(殺人カニ)がフランス料理の店に行きたいと言いだした。  わたしが渋い顔をしていると、 「カニがフランス料理を堪能してはいけないというのかい? 『おまえはデスクラブだからみんなをハサミで八つ裂きにするに決まってる』とでも言いたいのかい? おれのハサミは悲しみを生むためだけに付いているのかい?」 「きみのハサミが悲しみを生むためだけに付いているかどうかは、これからの振る舞いで決まるってもんさ」  それでフランス料理の店に行くことにした。  

          小説 一緒に住んでるデスクラブ(殺人カニ)

        記事

          小説 ヌーの群れを待ちながら

           ヌーの群れが道路を通っていたので反対側へ渡れない。ヌーのやつらは道路交通法なんかてんで関係ないものだから我が物顔で道路を通っていってしまうのだ。仕方ないので待っていると、一匹の若いヌーがのそのそと近づいてきて、 「なに待ってるんですか」と聞いてくる。 「君たち」  ヌーは困ったような顔をして、  「ぼくたちは通り過ぎませんよ」 「?」 「ぼくたちはこのずっと行った先で折り返して戻ってくるのです。いってみればずっとぐるぐる回っているようなもんなのですね。だからぼく

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          小説 怪獣の熱線観察

           ゴジラ的な怪獣がやってくるという警報が流れたので早速高いところに登って熱線を見物しにいくことにする。ずいぶん不謹慎なことを言っているようだが実際にはそういうマニアがたくさんおり、 「今日の熱線は青くてきれいだったね」とか「去年の熱線は橙色ですてきだったよ」とか言い合いながらSNSに写真をアップロードして一万いいねとか付いているのだ。   それで今日も高台に登って観察しますかとペンタックスのKー5(カメラの名前)を持ってえっちらおっちら近所の丘に登っていると、そこに中学の

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          小説 近所のカンガルーのお母さん

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          小説 隣に越してきた人喰い鮫

           隣に越してきた人喰い鮫が引っ越しの挨拶でタオルをくれたのだけれども、 「あのう、大変不躾なことを申し上げるのですが、もしよろしければかじってもいいでしょうか?」ととんでもないことを聞いてくる。ちょっと考えてから「だめです」と答えた。 「だめですよね、そんな、初対面で」  「初対面じゃなかったらいいみたいなこと言わないでください」と言うと、人喰い鮫はしょんぼりした顔になった。その様子があんまり気の毒だったので、 「お茶でも飲みますか」と言うと人喰い鮫はぱあっと顔を明る

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          きみの絶滅する前に 第5話 試し読み

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          小説 卒論の提出日を間違えて

           卒論の提出日を一日間違えて卒業できなくなってしまったのだけれども、いまはそのことを考えたって仕方がないのでわたしたちはなんにも考えないで過ごすことにしていた。 「こないだぬいぐるみ落としちゃってさ」 「ぬいぐるみ落とすことってある?」  「ほら、これだよこれ」 「あっ、キーチェーンのやつ」 「そうそう、これ落としちゃってさ」 「うん」  すると彼は一瞬神妙な顔をして黙りこくって、 「いま『これ』って言ったけどそれは若干照れが入ってるからであって、本当は心のな

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           うちで飼っている犬は自分のことを犬型宇宙人だと思っているので、散歩とかに行くときも、 「まがりなりにも宇宙人に首輪をつけようとするのは宇宙人権の侵害だワン」と文句を言ってくる。そうは言っても散歩のルールなのだから、   「市の条例的なやつで散歩中の犬には首輪を付けましょうっていわれているから、ペロに首輪を付けるのはやむを得ないよ」と説得すると、犬はワオワオウオンとうなりながらしぶしぶ同意してくれる。  散歩中、冬の夜の星のきれいな空の下を歩いているときなどはよく、 「

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          小説 天井裏の忍者 つみたてNISA編

           天井裏に忍んでおれの命を狙っている忍者が、 「つみたてNISAを始めようと思うのでござる」とほくほくしながら言ってきた。 「忍者でもつみたてNISAに興味を持つことってあるんだ」と呆れていると、忍者は眉間にしわを寄せて威厳を作りながら、  「人生百年……今日の常識が明日通じなくなってしまう激動の時代、忍者の生活もライフシフトというわけでござる。いざというときに泣きを見ないためにも、拙者もつみたてNISAを積み立てていこうというわけでござるよ」 「なんだか詳しくは知ら

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          小説 友達がタイムマシンを作ったので

           友達がタイムマシンを作ったので無理を言って一緒に乗せてもらったのはいいものの、壊れて現代へ戻れなくなってしまった。 「恐竜みたいなのがいるぜ。なにザウルスだろ」 「まあなんとか直してみるよ」  友達は一生懸命タイムマシンを修理しようとしていたが、元いた時代にしかない材料が手に入らなくて困っているらしい。   毎日レンチとスパナを片手にタイムマシンを修理する友達を見ながら、おれはドラえもんでタイムマシンが壊れたときはどうしてたっけなと考えた。ふしぎとなんにも思い出せな

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