後谷戸

小説を書きます 返信が苦手なのであまり返信はできませんが、いただいた感想はとてもうれし…

後谷戸

小説を書きます 返信が苦手なのであまり返信はできませんが、いただいた感想はとてもうれしいです https://lit.link/ushiroyato

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  • ものすごくみじかい話

  • 君の声は最後まで聞こえる

    夏休み最後の一週間を繰り返し、そこから出ようともがく女の子の話です

記事一覧

小説 ドジョウの季節

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後谷戸
4日前
8

小説 イルカになったら三回転ジャンプを

 年パスを使って水族館にちょくちょく行っていて、そのうち水族館でしょっちゅう見かけるおじさんと話すようになった。 「おじさんはイルカショーのイルカになりたいんだ…

後谷戸
4日前
18

小説 隣に越してきた時限爆弾

 隣に越してきた時限爆弾が挨拶に来てくれて、 「そろそろ爆発するんじゃないかと思うんですけど、仲良くしてくださいね」とタオルをくれた。  ありがとう。でもできれば…

後谷戸
10日前
37

小説 風邪を引いたので

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後谷戸
11日前
9

小説 巨大な肉まん

 家に帰ると巨大な肉まんがいた。大きめのお皿ぐらいのサイズで、今まさにセイロからでてきたばっかりのようにほかほかの湯気がでていて、香ばしい香りがふくふくと鼻につ…

後谷戸
2週間前
33

小説 ペンギンがひどい目に遭う話ばかり書いてたら

 ペンギンがひどい目に遭う漫画を書いてたらペンギンがやってきて、 「ペンギンをひどい目に遭わせすぎじゃありませんか」と文句を言われてしまう。 「仕方ないじゃありま…

後谷戸
2週間前
15

小説 ヌーの群れを待ちながら

 ヌーの群れが道路を通っていたので反対側へ渡れない。ヌーのやつらは道路交通法なんかてんで関係ないものだから我が物顔で道路を通っていってしまうのだ。仕方ないので待…

後谷戸
2週間前
25

小説 怪獣の熱線観察

 ゴジラ的な怪獣がやってくるという警報が流れたので早速高いところに登って熱線を見物しにいくことにする。ずいぶん不謹慎なことを言っているようだが実際にはそういうマ…

後谷戸
3週間前
95

小説 近所のカンガルーのお母さん

「私のポケットに入ってもらえないでしょうか?」と近所のカンガルーのお母さん。 「順を追って話してもらっていいですか?」 「実は最近子供が独り立ちしまして。それか…

後谷戸
3週間前
16

小説 隣に越してきた人喰い鮫

 隣に越してきた人喰い鮫が引っ越しの挨拶でタオルをくれたのだけれども、 「あのう、大変不躾なことを申し上げるのですが、もしよろしければかじってもいいでしょうか?…

後谷戸
3週間前
63

きみの絶滅する前に 第5話 試し読み

続きはこちらからご覧いただけます!

後谷戸
4週間前
7

小説 卒論の提出日を間違えて

 卒論の提出日を一日間違えて卒業できなくなってしまったのだけれども、いまはそのことを考えたって仕方がないのでわたしたちはなんにも考えないで過ごすことにしていた。…

後谷戸
4週間前
28

小説 宇宙人のアンケート

 宇宙人に誘拐されてしまった。 「わたしたちは地球について調べています、アンケートにお答えいただけると助かります」  とタコみたいな姿の宇宙人が言う。 「いいぜ…

後谷戸
1か月前
15

小説 宇宙犬

 うちで飼っている犬は自分のことを犬型宇宙人だと思っているので、散歩とかに行くときも、 「まがりなりにも宇宙人に首輪をつけようとするのは宇宙人権の侵害だワン」と…

後谷戸
1か月前
32

小説 天井裏の忍者 つみたてNISA編

 天井裏に忍んでおれの命を狙っている忍者が、 「つみたてNISAを始めようと思うのでござる」とほくほくしながら言ってきた。 「忍者でもつみたてNISAに興味を持…

後谷戸
1か月前
30

小説 神様がやってきて

 神様がやってきて、 「きみの人生はひどいもんだったから、もうちょっとましにしてあげるよ」と言って、わたしにいい靴を買ってくれた。 「ありがとうございます」 「…

後谷戸
1か月前
17

小説 イルカになったら三回転ジャンプを

 年パスを使って水族館にちょくちょく行っていて、そのうち水族館でしょっちゅう見かけるおじさんと話すようになった。
「おじさんはイルカショーのイルカになりたいんだ」とおじさん。
「暑さにやられてしまったんですか」
「違うよ。イルカショーのイルカになればみんなから歓声を浴びることができるからさ。おじさんは窓際族で誰からも相手にされないし、今日も仕事をさぼって水族館にきちゃったんだ」 
「自由ですね」

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小説 隣に越してきた時限爆弾

 隣に越してきた時限爆弾が挨拶に来てくれて、
「そろそろ爆発するんじゃないかと思うんですけど、仲良くしてくださいね」とタオルをくれた。
 ありがとう。でもできればどっかへ行ってほしいなあ、と思ったのだけれども、せっかく挨拶に来てくれた方を無碍にするのもなんなので、部屋に招待してお茶をあげることにする。
「いいお部屋ですねえ」 
 爆弾はお世辞を言ってくれた。人品卑しからぬ爆弾だった。
 それで世間

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小説 巨大な肉まん

 家に帰ると巨大な肉まんがいた。大きめのお皿ぐらいのサイズで、今まさにセイロからでてきたばっかりのようにほかほかの湯気がでていて、香ばしい香りがふくふくと鼻につくではないか。
「どうぞわたしをお召し上がりください」と肉まん。 
 弱った。ぼくはもうご飯は食べてきてしまったのだ。
「実はお腹いっぱいなんで、食べるのはむりなんだよね」
 肉まんはがっかりしたようだった。
「肉まんなんて別腹ではないです

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小説 ペンギンがひどい目に遭う話ばかり書いてたら

 ペンギンがひどい目に遭う漫画を書いてたらペンギンがやってきて、
「ペンギンをひどい目に遭わせすぎじゃありませんか」と文句を言われてしまう。
「仕方ないじゃありませんか。この時代、読者は過激なものを求めていますから……」と抗弁すると、
「読者のせいにするのはよくないですよ。最終的にそういうストーリーを書くと決めたのはあなたではありませんか」とぐうの音もでないことを言われる。ペンギンにこんなに詰めら

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小説 ヌーの群れを待ちながら

 ヌーの群れが道路を通っていたので反対側へ渡れない。ヌーのやつらは道路交通法なんかてんで関係ないものだから我が物顔で道路を通っていってしまうのだ。仕方ないので待っていると、一匹の若いヌーがのそのそと近づいてきて、

「なに待ってるんですか」と聞いてくる。

「君たち」

 ヌーは困ったような顔をして、 

「ぼくたちは通り過ぎませんよ」

「?」

「ぼくたちはこのずっと行った先で折り返して戻って

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小説 怪獣の熱線観察

 ゴジラ的な怪獣がやってくるという警報が流れたので早速高いところに登って熱線を見物しにいくことにする。ずいぶん不謹慎なことを言っているようだが実際にはそういうマニアがたくさんおり、

「今日の熱線は青くてきれいだったね」とか「去年の熱線は橙色ですてきだったよ」とか言い合いながらSNSに写真をアップロードして一万いいねとか付いているのだ。 

 それで今日も高台に登って観察しますかとペンタックスのK

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小説 近所のカンガルーのお母さん

「私のポケットに入ってもらえないでしょうか?」と近所のカンガルーのお母さん。

「順を追って話してもらっていいですか?」

「実は最近子供が独り立ちしまして。それからというものポケットがさみしくてさみしくて」

 カンガルーのお母さんはハンカチでよよよと涙を拭った。

「今でもあの子がポッケに入っている感覚で目を覚ますことがあるんです。夜中に一人目を覚まして、あああの子がいたかと思ったけどいなかっ

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小説 隣に越してきた人喰い鮫

 隣に越してきた人喰い鮫が引っ越しの挨拶でタオルをくれたのだけれども、

「あのう、大変不躾なことを申し上げるのですが、もしよろしければかじってもいいでしょうか?」ととんでもないことを聞いてくる。ちょっと考えてから「だめです」と答えた。

「だめですよね、そんな、初対面で」 

「初対面じゃなかったらいいみたいなこと言わないでください」と言うと、人喰い鮫はしょんぼりした顔になった。その様子があんま

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小説 卒論の提出日を間違えて

 卒論の提出日を一日間違えて卒業できなくなってしまったのだけれども、いまはそのことを考えたって仕方がないのでわたしたちはなんにも考えないで過ごすことにしていた。

「こないだぬいぐるみ落としちゃってさ」

「ぬいぐるみ落とすことってある?」 

「ほら、これだよこれ」

「あっ、キーチェーンのやつ」

「そうそう、これ落としちゃってさ」

「うん」

 すると彼は一瞬神妙な顔をして黙りこくって、

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小説 宇宙人のアンケート

 宇宙人に誘拐されてしまった。

「わたしたちは地球について調べています、アンケートにお答えいただけると助かります」

 とタコみたいな姿の宇宙人が言う。

「いいぜ。なんでも答えてやるよ。でもロハで答えさせようってんじゃないだろうな?」

「アンケートですので、金品をお渡しすることはできないのですが、参加賞的なものを最後にお渡しすることは出来ます」と宇宙人。

「いいね。気に入ったよ。参加賞って

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小説 宇宙犬

 うちで飼っている犬は自分のことを犬型宇宙人だと思っているので、散歩とかに行くときも、

「まがりなりにも宇宙人に首輪をつけようとするのは宇宙人権の侵害だワン」と文句を言ってくる。そうは言っても散歩のルールなのだから、

「市の条例的なやつで散歩中の犬には首輪を付けましょうっていわれているから、ペロに首輪を付けるのはやむを得ないよ」と説得すると、犬はワオワオウオンとうなりながらしぶしぶ同意してく

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小説 天井裏の忍者 つみたてNISA編

 天井裏に忍んでおれの命を狙っている忍者が、

「つみたてNISAを始めようと思うのでござる」とほくほくしながら言ってきた。

「忍者でもつみたてNISAに興味を持つことってあるんだ」と呆れていると、忍者は眉間にしわを寄せて威厳を作りながら、 

「人生百年……今日の常識が明日通じなくなってしまう激動の時代、忍者の生活もライフシフトというわけでござる。いざというときに泣きを見ないためにも、拙者もつ

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小説 神様がやってきて

 神様がやってきて、

「きみの人生はひどいもんだったから、もうちょっとましにしてあげるよ」と言って、わたしにいい靴を買ってくれた。

「ありがとうございます」

「お礼を言われるほどのことじゃないさ」

 神様は帰った。わたしはその靴を履いてしばらく歩いたのだけれども、サイズが合っていなかったのか、指に豆ができてしまった。

 仕方がないので靴は捨ててしまった。サイズの合わない靴を持っていても仕

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