ものすごくみじかい話 古い家の猫

 友達が数ヶ月家を空けるというのでその間猫の世話をしていてくれたら、家(古い一軒家だ)は勝手に使っていいよ、というのでありがたく住まわせてもらうことに。

 友達の猫はてれ屋さんなのでなかなかわたしの前に姿を現さないけれども、餌を置いておくとなくなるし水もぺちゃぺちゃ舐める音がするし、なによりあちこちに真っ黒な抜け毛の塊がどっさりできてるから、たぶんどこかにはいるんだろうなと思う。

 でも、

「夜の十二時になったら自分の部屋の鍵だけは絶対に閉めるんだよ」と言う忠告だけは、なんだか不気味な気がするな。