見出し画像

仮想現実に広がるもう一つの世界での出会いと別れ

MMO RPGという言葉をご存知だろうか?イメージ的にはインターネット上空間を大人数で共有するロールプレイングゲームで、メインストーリーを友達と一緒に冒険をするもよし、自分の家でバーを開いてそこで談笑しながら酒盛りをするのもよし、ユーザーイベントと呼ばれる非公式企画などを開催する人なんかもいる。

私がプレイしているPC/PS4のマルチプラットフォームで展開されているFINAL FANTASY XIVは2020年7月に累計プレイヤー数2000万人を突破したそうで、もちろんアカウント被りなどもあるだろうが日本の人口が1.2億人のうちのざっくり6人に1人がやったことがある計算になる。この記事を読んでいる方の中にも、きっと既にちょこっとだけでもやられたことがある方もいらっしゃるのではないだろうか。

高画質なグラフィックで構築されたマルチゲームの仮想現実は既に一つの「世界」といってしまっても過言ではないと思う。
現在活躍中の哲学者マルクス・ガブリエル「なぜ世界は存在しないのか」において「意味の場」はあれど「世界」など自分が結局認識できる場しかないなんて言っていたわけだけれども、逆説的にこの仮想現実ですら「場」の全てを把握できないのだから、既に「世界」と言えてしまうのではないかと思うのだ。

画像2

そして、私の高解像度な分身は現実世界よりはるかに多様な場所へ、そして長い距離を歩いている。(もちろん旅行なんかに行けば長い距離の移動になるわけだが、飛行機や新幹線での間ほとんどを寝て過ごしている私にとってそういった乗り物は点から点移動しているような感じで距離の現実味はちょっと薄い)

さて、はじめた当初はこんなに長い期間やるつもりもなかったけれど、気づけばこの仮想世界の住人になって既に5年以上の月日が経過している。

以前人の集まるところには「場」があるなんてことを書いたことがあるのだけれども、この世界にも「場」はあるし、ログインしている人がアバターとして表示され「ゲーム内のアレコレ」では忙しいかもしれないけれども少なくとも「ゲームをやるだけの時間がある」人が視覚的にわかるためもっと見えやすい。

そんな中でたくさんの別れもあれば、それ以上の出会いがたくさんあった。

画像1

私が、初めて2〜3週間の新米プレイヤーだったころ、初日に「フレンド登録」をしてもらった4人のゲーム世界での友人と遊んでいた。そのうち2人は仕事の都合でしばらくログインできないと言われていて、それはMMOは初めてだったもののインターネットでのコミュニティ経験自体は長かったので、そういうこともあるだろうと思っていたのだけれども、ある日4人しかいないフレンドリストを開くと、そのうち2人が「データありません」という表示になっている。どうも後から仕事が忙しかった2人に聞いてみると私がゲームを始める前の段階の話としてこの2人にトラブルがあったらしく、別のサーバーへ移動したらしいということだったのだが、当時はシステムも完全には理解していなかったため何が起きたのかわからなかった。
よくわからないままにフィールドのど真ん中で呆然と立ち尽くしていると、当時、私はFF14の公式日記サイトにおバカなノリで書いたネタ日記なるものを掲載していたのだけれども、毎回コメントをくれる読者の方に声をかけられた。

街などではなくて、荒野のど真ん中なのに。

私は2キャラ同時に開始していて、早い時間帯は別のキャラで、ネタ日記用のキャラは深夜にこっそり進めていて彼女と時間があわなかったのだけれども、その日は突然の「データがありません」にキャラを変えて確認しつつ、「これはどういうことなのか?」と荒野のど真ん中で考え混んでしまっていたのだ。キャラ検索から私がログインをしていることに気づいた彼女は、きっと荒野中を探し回ったのだと思う。
彼女は、海岸で他の友人も交えて花火をやるからと誘ってくれた。

この日、私は始めたばかりのゲームで、

「別れ」と「出会い」の両方を経験した。

そして、このときはまだ知らなかったけれども、このあと彼女とは無二の親友になった。


5年もやっていれば、辞めていった友人もそれなり以上にいるし、それ以上に出会いがある。彼女の声すら聞いたことないけれども今でも一番の親友だ。時にはお互いの恋愛の話をすれば仕事の話をするなんてこともあった。お互いに忙しかったり別のゲームをやっている期間があったりでなかなか一緒に遊べないこともあったりなんてこともあるけれども、顔を合わせれば一緒に冒険をしているし、きっとこれからもしていくだろうと思っている。

#心に残ったゲーム というお題を元にこの記事を書き始めたわけだけれど現在進行形でプレイしているゲームを書くことに若干抵抗があった。
私はきっとすっぱり辞めるというよりは、気づいたらやっていなかったという日がくることの方が濃厚なものの、いつの日にかプレイしなくなったとしても、思い返して冒険や友情を思い出すような、「心に残り続けるゲーム」になるのではないかと思う。

この記事が参加している募集

#スキしてみて

527,181件

#自己紹介をゲームで語る

2,967件

#心に残ったゲーム

4,948件

投げ銭めちゃくちゃ嬉しいです!が、拡散はもっとうれしいよ✨ということで是非Twitter拡散よろしくお願いします!