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ジキルとハイド: 英語人格切り替えスイッチとその不具合

ジキルとハイドって二重人格の博士の話

英語を話す自分と日本語を話す自分ってそんな感じだなと思っている。

これは、違う言語を話すための脳みそに切り替えるという単純な話ではなく、完全に人格を切り替えるための「英語人格切り替えスイッチ」があるという意味で、

逆にいうと「日本語人格モード」の自分から見たら正気の沙汰ではないようなことを「英語人格モード」では言えたり、行動できたりする。

普段頻繁に第二言語で話す方で同じように思う人いるのではないだろうか。(私だけ?)

ただ、ジキル博士が途中から自分の意思に反したハイドの出現を止められなくなるように、

近頃その切り替えに不具合が生じていて、

英語人格と日本語人格の狭間で葛藤(特に仕事)をしているので、

スイッチが出来た経緯の赤裸々告白なんかも含めて、今日は書いてみることにした。

英語人格切り替えスイッチ誕生秘話

太古昔の話ではあるが、

私は実を言うといわゆる帰国子女というやつで、

父親の仕事の関係で幼少期をアメリカで過ごした。


日本に帰国したてのころ、
小学校の給食で先生の問いかけに対して
「はい!」と間髪入れずボルトスピードで真っ直ぐにピンと手を伸ばして挙手した幼き頃のうさぎのしっぽ。

周りを見渡すと誰も手をあげておらず

し〜ん

としているのを見て、子供ながらに
あれ?なんか間違えた?」と。

その時を境に自分の中で
英語人格切り替えスイッチ
というものを作ったのを明確に覚えている。

その後、幼きうさぎのしっぽは、
日本の子供たちは手を挙げる時もピンと真っ直ぐ天に向けてではなく、肘を曲げて中途半端に挙げなければならないということ、

そして、手を挙げるタイミングも問いかけから若干間をあけてすーっと挙げること、

時には譲り合い、ダチョウ倶楽部のどうぞどうぞを駆使しなければならないことを学んだ。
(少なくとも当時私の周りはそうだった)

幸運だったのは、

両親がいじめられないようにと帰国子女の多いエリアの小学校に入れてくれたこと。

普通の公立小学校だったにも関わらず、何故か示し合わせたように(両親が調べたのか?)私と同じ時期に合わせて3人帰国子女が転校してきた上に、

受け入れ側のジャパニーズ小学生たちも帰国子女慣れした子たちばかりで、

お決まりの「なんか英語でしゃべって!」という帰国子女が一番困る謎リクエストは多少あったような気はするが、

しゃべったところでどうせ皆反応薄くて大体すべった感じになるからやめてあげてほしい


特にいじめられることもなく、

最初の頃は親たちの計らいにより帰国子女3人でハロウィンパーティーなんかやったりして、
徐々に脱アメリカンをし、日本の文化に入り込むことが出来た。

とはいえ、そんなこんな、
ほろ苦い思い出があるもんだから、
大人になった今でも
英語人格切り替えスイッチ」は大活躍させていて、

長年の鍛錬からの高度な切り替え術の習得により、仕事においても日本語でビジネスをする時と英語でビジネスをする時にパチパチとON/OFFをしている。

スイッチの不具合

ところが、

欧米人/日本国外のメンバーと働く上でどうも最近、この英語人格切り替えスイッチをONしても、上手くOFFに出来ない日本人格モードがあって、

なかなかそこに悩むところがある。

不具合その①無駄に謙遜モード

先日人事上の評価者である日本人上司との面談で、

「自信を持つべきだ」っていうフィードバックが多いのは…意外でしたねぇ。
(この自信満々人間のどこを見てと言わんばかりに)

と言われた。

確かに見てみると欧米人からの評価コメントは「confidence(自信)を持つべきだ」の嵐。

頭では以下は完全に日本人格モードの動作だと分かっているのだが、

・自分が褒められているのをそっちのけで反省点を述べはじめる。(自過剰に見えるの気にする病)

・自分が出来た部分を当たり前ことだと思い、今度はここをもっと良くしたら良いのではないかという思考にすぐ行く。(出来たことをそんなにすごいことをしたと思えない病)

どうしても滲み出てしまい、逆に誤解を生んでいる感もある。

例えば、
イギリス人メンターに上司に評価面談でどんなフィードバックをされたかと聞かれたので

「こういう良い点も言われたが、こう言った改善点を言われたのでこういう所に原因があると考えていて、ごちゃごちゃ…」

と述べていたところ、
Don’t take it so personally !(意訳: 君の人格自体を否定されてるわけじゃないんだから、そんなに受け止めなくても!)

と言われてしまった。
そんなつもりはなくただ次への課題をナチュラルに言ってるつもりだったのに…


こんなこともあった。
わりと大きなプレゼンでベルギー人リーダーに
you rock!(最高だったよ!)的なことを言われたのだが、

いや、でも質疑応答失敗した…

と伝えたら次の日「自信を持ちなさい」という内容の電子カードがわざわざ送られてきた。(優しい

だが、なんとなくそれでも
自分はrockなんてしてないと思って手放しに喜べない。(あいみょん

この「無駄に謙遜モード」このままでは欧米人に

めんどくさいぐちぐちモンスター

と思われてしまうのではないかと懸念している。

不具合その②無駄に謝るモード

これもoffしなければならないの分かってるのだ。

分かっているのだが、
apologies, sorryを思わず使ってしまう。

日本人のすみません、申し訳ありませんって、
結局言ってるだけでそんなに重く思ってない時ほとんどじゃないですか?

「申し訳ありませんっ!土下座!」なーんて毎回思ってる人はいなくて、メールで書きつつどうせ皆ふんぞりかえって、コーヒーでも飲みながら自動変換でエンターキー押して送ってるだけ。
(言い過ぎ?

でもグローバル組織でやたらこれを連発すると、

え、何どうした?そんなミスったのか?
って思われる。

それ、分かってるのにそれ以外に自分の感情を表す言葉が見つからない時に結構言ってしまう自分がいる。

不具合その③そして、日本語人格切り替えもバグりだす

じゃあ日本語モードではイケてるのか、
というあたりについてだが、

悲しいかなそちらでも不具合が起きていて、

*・゜゚・*:.必殺人の話を遮って割って入る。.:*・゜゚・*

こちらがですね。
止められない時があるのですよ。

日本語モードに切り替えてるにも関わらず、
この英語人格モードの必殺技がOFFに出来ず、

ちなみに、このモードをONにしないと色んな人種がいる中での会議は一言も話せなくなってしまうと言っても過言ではない。

間違えたー!こっちじゃなかったー!と心の中で叫んでいる時があるわけです。

ジキルとハイドって結局どうなったんだっけ?

この記事を書くにあたりもう一回ジキルとハイドのあらすじ見てみたのだが(Wikipediaで)、

まぁ恐ろしい結末なんですね。

でも自分の中の一つの人格が薄れていくような感覚、デフォルトで使用し続けていた日本語人格に傾いてる感覚や境目があやふやになっていく感覚。ジキルパイセン共感致します。

今でもやっぱり英語人格モードの方が言いたいことを抑え込まなくていいっていうのも対海外の仕事をしたい理由の一つだったりもするのだが…

出来ることならば、
これからもスイッチを上手く使いこなして生きていきたいとは思う。

そんな器用なことが出来るだろうか。


とりとめもない呟きでした。

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