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電車内のすれ違い 6

今日も、アーシュラ・K・ル=グウィン『文体の舵をとれ』を読んで、文章の練習。


声の切り替え
〈1〉三人称限定視点を切り替えながら語る。600-1200
複数の様々な視点人物(語り手を含む)を用いて三人称限定で、進行中に切り替えながら物語を語る

空白行、括弧入りの名をつけるなど、切り替えに目印をつける

〈女性〉
ひとりの女性が、発車間際の電車に駆け込んできた。真っ赤な顔でふうふうと荒い息をしている。その日は梅雨の晴れ間で、外は記録的な猛暑。冷房がほどよくきいた車内に、彼女はほっと一息ついた。大きく重たいトートバッグは肩にくいこみ、肩下でブランブランと揺れている。

〈女子高校生〉
まさに電車のドアが閉まろうというとき、女性を追うかのように一人の女子高校生が、同じドアから車内へ飛び込んで来た。電車のドアは女子高校生のすぐ背中で閉まった。女子高校生は、女性と真正面からぶつかりそうになって、舌打ちをしたくなるが、睨むだけにとどめておいた。反対側のドア付近に居場所を見つけた彼女は、すぐにスマホを取りだし、SNSに今あった不愉快なできごとををぶちまける。

〈女性〉
駆け込み乗車をしてきた上に、睨んでくる女子高校生には面食らったが、それ以上に彼女は暑さに疲れており、女子高校生がスマホを取りだしたのを見てから、窓の外へと視線を向けた。電車が動き出し、心地よい電車のリズムと冷房にうとうとする。体の力がだんだん抜けていくのを感じて、起きなくちゃと思うも、一瞬の眠りに彼女はストンと落ちた。ストンと眠りに落ち、どんとトートバッグが肩から滑り落ち落ちた。ハッと目が覚めて気がつくと、トートバッグの中身がほぼ全て床に散らばっている。慌てて床に散乱した荷物を拾おうとするが、乗客がそれなりにひしめき合っていて、彼らの足の隙間を縫うようにして手を伸ばし、すみませんと繰り返し、必死にかき集める。電車は次の駅に近づき、下車のアナウンスが流れ始める。焦れば焦るほど、水筒などは手の先でころころ転がり、荷物は上手く集らず、思うようにいかない。電車が到着する頃、やっと荷物が集まった。彼女は心底ほっとした。

〈女子高校生〉
女子高校生がぶつかりそうになった女は、荷物をばらまいて、すみませんとか、ごめんなさいとかごちゃごちゃ言いながら、しゃがみこんで荷物をかき集めている。あんな所に立ってるからいけないのだ。誰も手伝おうとしないのは、みんなざま見ろと思っているからだ。

〈男性〉
下車する駅に電車が到着し、男性はゆっくり座席から腰をあげる。降りる客に合わせてぞろぞろと歩みを進めていると、ぽつんと筆箱が落ちていた。先程、ドア付近で荷物を落としてしまった女性のものだろうと、彼は見当をつけた。女性は流れるように降りていく客を見ながら、放心した様子で、彼が筆箱を拾ったことにも気がついていない。腰をかがめて拾い、彼が女性に筆箱を差し出すと、女性は恐縮したふうに、ぺこぺこと頭を下げて、筆箱を受け取った。彼はいいことをしたと満足し、また彼女の素直さにも満足して、電車を後にした。

*

やってみて、苦手だと思った。この書き方はやったことがなかったし、〈〉で人物分けをすると、物語がブツ切れになってしまう。うーん。。。『藪の中』のようにはいかない。

この物語の語り直しも、あと1回です!

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