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妄想を膨らませる。

実際に起きないようなことを色々と想像したり、また思い巡らすことをする。

私は中学校2年生くらいで、妄想を卒業した。

妄想することを出来るだけやめたというのが正確な表現かもしれない。

なぜかというと、

中学校2年生くらいの頃に、

自分で妄想がコントロールできない恐怖に襲われたからだ。

学校の授業中でも、勝手に妄想チャンネルに脳が支配されてしまい、

知らないうちに、現実の世界から遠ざかっている自分が多いことに気付いたからだ。

授業も聞こえてこないし、周りの声も聞こえない。

そんな世界に知らないうちに彷徨っている自分。

妄想の内容は、もちろん好きな女の子のこと。

多感な時期だったからか、そんなことばかり考えていた。

その当時、

「 うりもって呼んでるのに、何で無視するん?? 」

と、友達に言われることが増えたのだ。

「 これは人とつながるどころか、人に嫌がられてしまう 」

と、恐怖を感じ、

ある日から妄想しないように、妄想しないようにと、

自分に問いかけ続けるようになった。

自分の中で、

「 妄想することはいけないこと 」

と本気で思うようになっていた。

今思うと、全く悪いことではないのだが、

その当時は本気で悩んでいて、

ずっと、妄想しないトレーニングを積んでいた記憶がある。

高校生になってからは、

いつの間にか妄想のことなど気にすることはなくなっていた。

気にしないというか、

妄想があまり出来なくなっていた。

コントロールができるようになったのかはわからないが、

現実の世界で色々と考える方が面白くなっていた。


社会人になってから、

会話の中で、妄想の話になったことがある。

その話を聞いて驚いたのだが、

誰もが妄想を楽しんでいるという話だった。

私は今でも、あまり妄想を膨らませるようなことはしない。

しないというか、出来ないというか、よくわからない状態だ。

人の妄想の話など聞いたことがなかったので、

興味深く質問してみた。

いろんな内容の妄想があるものだなと、

感心していたのだが、

衝撃を受けた話があって、

その当時、同じ会社の従業員だった男性が、

300日程、休まず妄想を繰り返していると教えてくれた。

その内容は、

プロ野球の球団12チームを、年間で戦わせて優勝を決めるという妄想だ。

野球好きなのはわかるが、私には全く理解できなかった。

話を聞いていくと、

そのプロ野球チーム自体も全てオリジナルの12球団であるとのこと。

選手もオリジナル。

全て名前もある。

その選手にもオリジナルのストーリーがあって、

苦労してプロになった選手もいるとのこと。

全部、現実ではなく、

自分の妄想の中で作り上げられたプロ野球チームなのだ。

そのオリジナルチーム同士が、年間300試合を消化していくというのだ。

雨天中止の時もあれば、

オフの時期もあるとのことだが、

そのオフ期間も、それぞれの自主練習の妄想や、

実家に帰省した時の話などの妄想番組があるとのこと。

私はお腹が痛くなるほど笑った。

その人にとっては、

その妄想をする時間が1番楽しい時間らしい。

本人が楽しいならそれでいいのだが、

切り替えができなくなるのではないかと昔の自分の不安を思い出した。

質問をしてみたが、

切り替えはできるし、

次の日の妄想時、

勝手に試合が進んでいて、勝敗が決まっていたりもするらしい。

もう訳がわからん。

とにかく楽しそうだというところで自分を納得させた覚えがある。


今まで出会った人の中で、

そのプロ野球リーグを脳内に持つ彼が、

私の中では、

妄想チャンピオンだ。

私が怖がってやめた妄想を、

見事に満喫している人だ。

そこまでいくと、

妄想のプロであり、

羨ましいとさえ思える。


妄想チャンピオン。

私が知っている彼を超えるくらいの、

妄想チャレンジャーにも出会ってみたいものだ。


妄想野球リーグ・オールスター戦







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