ブカレスト最終日
2024/2/5
ルーマニア、ブカレスト7日目。
最終日。
初日に出会ったホームレスの゙若者はまだ宿に滞在中。
結局、最後まで同じ部屋だったのだが、彼が私に金を強請ってきたのは最初の一度きりだった。
むしろ、それ以降は何かある度に私を気遣い、紅茶を淹れてくれたり、チーズやキュウリを分けてくれたり、食器を洗ってくれたりなど…。
何日目かは覚えていないが、夜中に泣きながら鼻をすする音も聞こえた。
共用スペースで大勢賑わっていた時は楽しそうだったが「夜の街へ遊びに行こう」という話題になると、彼はいつの間にか立ち去った事も覚えている。
ある日、共にジェンガで遊んだ日があった。
積み上げた木のブロックを崩さない様に、一つずつ抜いていく玩具だ。
彼は本当に嬉しそうに、遊びが終了しては再び積み直し、それを何度も繰り返した。
一通り楽しむと、今度はスマートフォンに入っているゲームを誘ってくる。
「ごめん、次の予定を立てないと…」
そう言って私が断ると、彼はすんなりと諦め、また1人ヘッドフォンをして自分の世界に入り込んだ。
そして今日、チェックアウトを済ませた私が共用スペースで休んでいると、彼はやって来て「俺のベストフレンドだ」と笑いながら私を宿のスタッフに紹介した。
もしかすると、彼はただ寂しかっただけなのかも知れない。
本来ならば音楽の趣味も合うし、良い仲間になれたのかも知れない。
そう思うと、距離を置いた事に少し申し訳ない気持ちもある。
だが素性を知らない相手に突然「送金してくれ、銀行口座を教えてくれ」と言われたら、それは警戒せざるを得ない。
残念だが、これも縁なのだろう。
ブルガリアの首都、ソフィア行きのバスは23:30。
まだ時間があるので宿の許す限り共用スペースで佇んでいると、トシキ君がやってきた。
先日、ブカレスト旧市街で遊んで以来だったが、彼は私に昼食をご馳走してくれ、そのまま暫し談笑。
エジプトやその他の国の話題で盛り上がり、時間はあっという間に過ぎていく。
なんとなく
『彼とはまだ会うだろうな』
そんな予感がした。
そこそこ長く商売をしていた私は、こういう事に少しだけ鼻が効くのだ。
そうはいっても、どうなるかわからないのが商売であり縁なのだが…。
ともあれ、最後に話ができて良かった。
時刻18:00。
宿を離れ、ブカレスト・ノース駅内のスターバックスコーヒーで時間を潰し、その後バスターミナルへ向かう。
さて
旅仲間には賛否両論、色々な噂を聞く
ブルガリアの首都ソフィア
どんな所なのか
何が起きるのだろうか
2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。