ブカレスト初日
2024/1/30〜2024/2/1
時刻26:30。
夜中のシャルム・エル・シェイク国際空港から出発し、まずはトルコ・アンタルヤで乗り継ぎ。
ここで預け荷物を一旦回収し、再びチェックインカウンターに預けなければならない。
まずはベルトコンベアーから流れる自分の荷物を待つ。
……。
……………。
私の荷物が無い……!
まさか…とうとう紛失……!?
慌てず、まずはサービスカウンターに問い合わせる。
「あぁ、あなたの荷物はルーマニア、ブカレストにいってるよ」
そんなバカな…。
今回はスルーバゲージ(出発から目的地まで荷物を運んでくれるサービス)対象外だ。
チケット概要にもしっかり記載されている。
スタッフが気を効かせてくれた…?
いや、そんなわけは無い。
単なるミス?
それとも何かしらのグレードアップが発生したのか?
初めての経験だ。
何故かはわからないが、確かなのは経由地アンタルヤに私の荷物が無い事。
無事にブカレストに届いてる事を願って
また飛行機に乗るしかない…!
鬱陶しい客引きがいない…。
無駄に話しかけてくる暇人もいない…。
『ヨーロッパに来たんだな、ついに…』
そして、初めて見るブカレストの街並み。
無機質で重厚なコンクリートの建物の数々。
全てが灰色で、社会主義国の名残りを感じさせる。
そこに描かれた無数のグラフィティに、激動の時代を想像せずにはいられない。
やや物騒な雰囲気に気を引き締め、淡々と宿まで歩く。
今回は6人部屋。だが先客は1人だけだった。
パーマヘアにベースボールキャップを被り、無精髭を生やした今風の若者だ。
「Hi」
お互いに挨拶を交わし、出身や滞在期間など、お決まりの会話を始める。
それは次第に盛り上がり、音楽や映画の話題へ発展。
そして30分くらい経っただろうか、そんなタイミングで彼は唐突に話を切り替えた。
「ところでさ、お金貸してくれない?」
「銀行口座を止められて、使えないんだ」
「両親が死んで…家もなくてさ…」
「送金できるアプリはある?」
「君の銀行口座を教えてくれ」
あぁ…
これは絶対にヤバいパターンだ
どこまで本当なのか知らないが、いくら何でも私は出会って30分で「はい、どうぞ」と金を貸したりはしない。
もちろん文化や国民性はそれぞれだとしても、いきなり口座番号を聞いてきたり、金を強請ってくる人間がまともなわけがない。
当然私は断り、一気に距離を置いた。
ロッカーにバックパックを押し込み、鍵を掛ける。
しかし簡単な鍵だ。無理やり開けようと思えば、出来なくはないだろう。
余程慣れていない限り、鍵穴は壊れるだろうが、彼の言う事がもし本当ならば、捨て身で盗み、宿を脱出されても不思議ではない。
実際、バックパックの中身にたいした物は無いのだが、ラップトップだけが心配だ。
彼をこの部屋に1人にさせるのは危険だ
俺も部屋に閉じ籠もるしかない
幸いというべきか、ちょうどnoteの執筆などやるべき事が溜まっていたので、私はブカレストに着いて早々、セルフ軟禁生活を決行。
それは2泊3日にも及んだ
2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。