ゲーテの入口「若きウェルテルの悩み」①
ルネサンスを経たヨーロッパは、科学の発展などを背景に「啓蒙主義」の時代を迎えました。
これは、迷信や既存の権威を妄信することなく、人間共通の普遍的な「理性」を重んじようという考え方です。
この思想は、やがてフランス革命に影響を与えたとされます。
この啓蒙主義に異議をとなえ、理性に対する感情の優越を主張する「シュトラム・ウント・ドラング」(疾風怒濤)という革新的な文学運動が、18世紀後半のドイツで起こりました。
その代表作がゲーテの「若きウェルテルの悩み」でした。
激しい感情を露わにする主人公のウェルテルは、作品中でこのように述べます。ここに、啓蒙主義(理性・秩序)とそれに対する反発(感情・個性)が短いことばで表されています。
僕が知ることは、誰でも知り得るのだ。しかし、僕の心は僕だけのものなのだ。
この後、文学はロマン主義の時代を迎えることになります。そんな中で激しい恋に落ちたウェルテルは、若い命を焼き尽くしたのでした。
⇒「若きウェルテルの悩み」➁に続く
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749- 1832) ~ドイツ・詩人、小説家~
「若きウェルテルの悩み」で知られる。感情の自由を強調した文学運動「シュトラム・ウント・ドラング」の代表的な文学者であった。シラーとともにドイツ文学の古典主義時代を築いた。
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