国のカタチ「ウクライナ侵攻も踏まえた新時代への提言等」


■はじめに

 2022年もすでに2月に入りました。オミクロン株がまだまだ猛威を振るっている状況ですのでなかなか新たな政策に手が付きにくいのですがウクライナ侵攻も現実のものとなり、改めて「日本のカタチ」について今年最初のコメントをしてみたいと思います。

 以前の投稿の重複も一部ありますが少し違う切り口で新年に当たって改めて主要事項を簡単にまとめてみました。
 Ⅰ「過去と現在の認識」Ⅱ「日本のカタチ:ウクライナ侵攻も踏まえた新時代への提言等」の二部構成となっていまうす。
 昨年末からオミクロン株が世界中で急速に感染していますがこれはおそらくコロナ禍の終わりの始めかと思います。
 世界中で環境問題や人種問題そして新たな国際秩序の再構築に向けて動きつつありますのでコロナ禍収束対策を講じつつ、新たな日本のカタチを築する年になって欲しいものです。
 これまでにアップしたマガジンの記事もご参考下さい。

Ⅰ 過去と現在の認識

 将来を語る際そして諸外国にも発信する際には日本のこれまでの状況と現状を正しく共通認識・発信することが不可欠です。
 これなくしては議論が錯綜するばかりで進むべき方向に収斂しません。
 改めて共通認識する事項は下記等です。


①第二次世界大戦への参画経緯と戦争犯罪

 ウクライナ侵攻が現実のものとなりました。欧米ロのアジアで台頭する日本への牽制であり参戦せざるを得ない状況づくりされたこと。人体実験であった原爆そして一般人の無差別殺人である都市空襲は犯罪と言わざるを得ないのでこれらについて国内での共通認識及び世界への発信。東京裁判が勝者の暴挙であったことは当時のパール判事の発言等を見ても分かりますが今や当然の理解です。戦後80年を経た今こそ、東京裁判の評価と真の戦争犯罪を追及することが必要です。

②植民地政策の成果

 先の戦争で東南アジアなどの欧米の植民地を開放して、新たな国際秩序として再編されました。これをきちんと評価する必要が有ります。韓国は日本併合されて日本として統治されましたので欧米の植民地とは基本的に異なります。また、当時は惨憺たる状況の社会を国内と同様の視点から整備して一定の水準の引き上げました。インフラや識字率向上(ハングルの普及)等教育、各種制度等の整備等です。これなくしては韓国は今でも中国の属国として悲惨な状況だと思われます。韓国はかつての貧しく酷い状況を認めたくないために劣等感を背景に勝手に歴史を捏造し、世界中で日本への非難を叫び続けていますが事実を国内外に知らしめる必要があります。
一方台湾も日本の統治下にあり後藤新平などにより近代化されました。韓国と同様に国内として各種整備を図りましたがその成果は今でも語り継がれています。台湾の発展はこの基盤の上に成り立っていますがこれは台湾人が素直にこの事実を受け入れているからだと思います。いずれにしても欧米の搾取としての植民地政策では無かったことを知らしめることが重要です。

③1000年以上続く持続的社会制度
 

 天皇制による国家体制そして持続を原則とする企業経営は日本の普遍的な社会システムを現しています。世界で100年以上続いている企業の大半が日本、さらに300年以上の企業も多くあります。これは家督制に基づく家業等も含まれますが良いことです。長男が財産を引き継ぎますが同時に家業やその財産の運用も引き継ぐことになります。権利と義務があるので長男は大変です。長年続いた由緒ある事業が跡継ぎが居なくて途切れることが多くあります。それも需要も無く消えゆく業種ならまだしも伝統的で誰もが残すべきと考えられる業種であれば何とか残したいものです。昨今は長男ではなく娘さんが跡を継ぐ例も目立ちますが、女性の方が引き継ぐ覚悟が強いように思います。さらに全くの他人が弟子入りしたりして継続させていますし、海外からもいろいろな分野で引き継ぐ人材がでてきています。SNS等で伝統技術が画像などで詳しく視られることも一因でしょうから今後とも増えていくと思います。とは言え、それ以前に我々消費者が利用・購入することが重要ですね。

④人種差別の無い先進国

 米国での奴隷制等を背景にした深刻な人種差別問題が改めて問題視されています。これはキリスト教等に起因する昔から根付いた意識ですので簡単にはなくなりません。キリスト教は19世紀に入って奴隷に布教させるべく動きをしましたが、それでも奴隷の地位は変わらないものでした。ユダヤ人差別の歴史を抱える欧州等も同様です。これらを問題視する際に必ずメディアでは日本でも差別はあるとの指摘をしますが本質的に内容は異なり、欧米での差別は無いと言えるでしょう。あるとすればどの社会にもある異文化や他地域からの参入者への抵抗感だと思います。

⑤人中心のための宗教


 宗教に人生を委ねていない(キリスト教、イスラム教などは国教として人を支配する)日本社会での宗教の位置づけが重要だと思います。日本の宗教も堕落した時期もありました1000年程の経緯の中で日本人は宗教は人生を縛るものではなく、人生を豊かにする・教訓とする教えであり、信仰だと考えてきました。ある意味、ご都合主義なところはありますが宗教側もそれに応じて柔軟な対応をしてきました。欧米人は日本人に対して宗教への信仰心が欠如していると非難し、これを日本の欠点だと思ってします日本人もいるようですが逆でしょうね。これまで世界の各地で起こってきた(今も起こっている)紛争の多くは宗教絡みであり、奴隷制度も同様です。結婚式はキリスト教、葬式は仏教、初詣など日頃の祭事は新道などと上手く使い分けることが日本人の知恵であり、世界中でこのような多様性と包容力に満ちた生活を送って欲しいものです。

 七福神の構成をみても多様で包括力のある社会が見えてきます。恵比寿を除き、他はすべて仏教神だけでなく、道教、ヒンズー教などの神である海外に起源を持つ神仏でです。

⑥1000年前から多くの国々からの文化・人材導入してきた多様性と包容力


 上記の宗教との関連も同様ですが.1000年前から多くの国々からの文化・人材導入し、それらを取捨選択してブラッシュアップしつつ、独自の文化を創造してきました。
 食べ物も典型的ですね。海外は非常に保守的であり自分たちが長年食べてきたもの以外はなかなか受付けませんが日本人はどの国の食べ物も積極的に受け入れ、美味しく食べますし、さらにそれらも洗練させます。日本の識者はこれ「を熱しやすく冷めやすい」と非難しますがそうではないでしょうね。熱しやすいのは多様性のもとに受け入れるということですし、冷めやすいのはダメなものをすぐに判別するということです。
 人材も同様です。海外からの多民族の方をすぐに受け入れますし、暖かくもてなします。ある意味過剰なほど外国人には丁寧な扱いです。にもかかわらず外国人をガイジンと呼び差別していると非難する(むしろ外人さんと呼び歓迎しています)識者がいることが情けないところです。おそらく、そのように非難しているご本人に差別の気持ちがあるのでしょう。海外で多くの民族や人種が住み、働いていることを多様性があり、包容力があると表現しがちですが根底には根強い差別意識があります。だからこそ関連法律を作り、慎重な言動をしています。そもそも多様な人種がいるのも植民地やご都合主義の労働者移入政策などによるものであり、当初のマイノリティー段階ではまだしも今や社会はぎすぎすとしていまし、これは不可逆現象なので深刻です。


⑦「和を以て尊しとする」社会(お互い様の他人に配慮する等も含めて)であり安定した・信頼できる社会


 時間厳守、遵法性等は社会の安定性や信頼性の根底にあるものです。
 個人主義の国や専制君主の国ではそうはいきません。個人の権利を重視することは大事ですが結局お互いに権利の主張争いに終始し、また、相互に無干渉状態となります。これらをまとめて安定した社会にすることは実は非常に難しく、そのためには強力な専制者が必要不可欠となりますし、非常に不安定な社会を甘んじるしかありません。
 卑近な例では、多くの欧州の国では休日・祭日や夜間には店が閉まっています。利用者達はその不便さを嘆いるものの、自分も逆の立場になることもあるので容認せざるを得ません。お互い様の精神があればより円滑で便利な生活が可能にもかかわらずそうはしません。
 個々の権利を主張し他の権利も認めつつ全体として許容可能な合意方向を見出すことが重要です。

⑧自然災害の克服


 日本社会は高い安定・信用性を保持できていますが唯一、自然災害については課題を含んでいることは否めません。もちろん、世界には多くの自然災害がありますが東京を始め人口・機能の密集エリアに大災害の可能性のある地域は少ないと思われます。
 これまでの多くの大災害を克服してきた経験から多くの対策を保有していますので相当高いレベルでの防災措置は取られています。国土政策においても災害への国土強靭化(ナショナルレジリエンス)が最大の課題として認識され、多様な方策が講じられています。
 その中で日常的な台風(風害、浸水等)や豪雪対策がまだまだ不十分であることは否めませんのでこのことは改めて認識しつつこれからのまちづくりに取り組む必要はあります。


⑨女性社会

 このところ日本での女性の社会的地位の低さが問題視されています。
 もちろん、どの分野にも問題はありますので女性に対する問題もあると思われます。
 国際的に日本は特に低いと言われるのはランキングなどで使われる議員や会社役員の女性比率が非常に低いからです。しかし、この指標で社会的地位が低く、虐げられているというのは非常に短絡的ですね。
 欧米と異なり、自らの所得が無くても専業主婦は世帯の家計を全て握っています。大小にかかわらず購入の権限は夫にはありません。この状況を創るために欧米では女性が社会に出て、所得を得ようとしてきました。そもそも日本ではその必要がありません。議員や役員が少ないのはその仕事に魅力が無いことが大きな要因でしょうね。
 つまらない議会や会社のしがらみにとらわれるより、女性にしか出来ない(男性は育児の一部の作業だけは出来ます)育児に注力し、自らの趣味等に時間を費やすことの方を望んでいるのでしょう。もちろん、その中で仕事をしたい方も多いのでそれを円滑にするための手立ては必要です。
 確かに地方には男性が妙に威張っていて立候補への逆風が強いところもありますがそれでもやりがいのある良い職場であれば立候補し、投票すると思います。要は地方議会は存在意義が薄く、男女ともに魅力の無い職場ということが最大の問題です。また、女性議員もいますが彼女たちが皆、優れているかと言うと必ずしもそうではなく、比率を高める意味もありそうもありません。とにかく、議会の存在意義を高めることが重要です。

⑩自虐的・過小評価的思考


 上記を再認識するとともにこれらを再認識する際に障害となり、他への誤解の元となる自虐的思考や自国を過小評価する思考が依然として残っていることに留意する必要が有ります。
 事実を謙虚に認識した言動は重要ですが戦後は歴史面を始め多く分野について自国が他国に比べて悪い思い、さらには思うが故にありもしないことを事実として誤認、発言する志向がでてきました。特にメディア、有識者等に多く見られることが問題です。本来は知見があり、国内外の多様な分野での知識や見識があるはずの層がこのような状況ではいつまでたっても国際的に確固たる地位を築くことができません。それでも多くの国民や企業の努力で一定の評価を得ていますのでさらに強化することが必要であり、可能です。
 国際的には日本は条約等の遵守性等の真摯な態度は高く評価されて信頼性は高いものがありますのでそれに応じた期待される対応をすべきです。
 いろいろは背景はあるでしょうがこれを解除して正面から向き合う必要があります。


Ⅱ「日本のカタチ:ウクライナ侵攻も踏まえた新時代への提言等」


1.新たな民主主義


 個人主義の限界は以前から指摘されてきましたがコロナ禍で改めて顕在化したと思います。個人主義では真の民主主義は実現しないものです。明治以来、欧米は民主主義の手本として位置付けられてきましたが果たしてそうだったのかです。
 米国は1930年頃は共産主義勢力が強くルーズベルト大統領周辺を囲んでおり、ソ連に結託されて日本を戦争に巻き込みました。日本列島が分割され、日本消滅の危機直前まで追い込まれましたが結果的には北方領土は略奪されましたが何とか復興の道を進めました。ウクライナはまさにこの状況にあります。この戦争については改めてきちんと検証する必要があります。米国はその後リベラルとも呼ばれる社会共産主義的思想の下での民主党と米国第一主義的な共和党との対立の中で相互に政権を担うことで何とかバランスを取ってきましたが昨今いよいよ、その方法にも限界が見えてきました。その他の欧州諸国も結局は個人主義という民主主義とは相いれにくい思想の下で民主主義の中に居ますがそれは資本主義とのバランスの中で何とかやってきたようです。コロナ禍でのワクチン接種、マスク等の義務化への反対運動が個々の権利の侵害と言う稚拙な思考でしかないことでも分かります。
「和を以て尊しとする」そして「人に迷惑をかけない」「お互い様」「合議で決める」等が長い歴史の中で日本の社会に一貫して根付いてきましたがこれが民主主義の根幹であることを世界の本筋とすることをアピールすることが重要です。宗教に支配されていないことも多様性の中での民主主義実現の要素だと思われます。


2.新たな資本主義


 新自由主義がもてはやされましたがやはり多くの綻びが顕在化してきました。長期的視点で社会に貢献する経営主義を自ら否定してきましたが世界はこれを求めています。 新たな資本主義の模索にはこれで応えることが重要です。
 昨今はESG等がもてはやされていますがこれも日本の昔からの企業経営、融資の考え方であり、これに戻っただけのことです。まずかったのは先行的に正しい資本主義を先行してきたにもかかわらず、何故かそれまでのあるべき姿を否定して出羽守的に欧米のファンドなどの投資、経営の理屈をどうにゅうしたことです。
 いずれにしても経済学自体が世界経済を分析そして提案をすることができないままに振り回されていることが問題です。経済学は科学ではなく、思想のようですので本来は今後の世界の経済を語るには不十分ですが何故が経済学者や金融専門家等はエラそうな立場におかれています。いずれにしても各国そして世界の経済、金融の方向に対して専門家の件が統一的で無いことが問題ですのでそれらを正面から聞く必要は無いと思われます。
 もちろん部分的な分野において定量的な分析などに関しては有用かもしれません。

3.人のための宗教観の国際的普及


 言うまでも無く紀元前より宗教が争いの原因となってきました。それが今でも続いていますがお互いに実質的な国教を背景にしていますので平和的な話ができません。
 かつては日本は宗教心が無いと言われ非難されてきましたが国教に拘り地域間戦争を起こしたり、個人の自由を束縛されている宗教心とはどんな意味があるかと言わざるを得ません。敬虔なクリスチャンといわれて奴隷制を歓迎しているセンスが分かりませんが彼らに言わせればキリスト教徒だけが人間であり異教徒は人間扱いしないのが当然との認識です。産業革命そして科学が進展した今でもその精神は変わりません。米国でも進化論を信じない国民が3割以上いるそうですがその理由は聖書に反するからとのことです。また、宗教により食べるものや行動を制約されていることを受け入れていますがこれらは欧米が言う個人の権利を重視する精神にも反していますが何故が受け入れているという矛盾に満ちています。
 それぞれ長い歴史的背景があり単純には代えられませんがそろそろ国際的に新たな宗教観を再考する必要が有ります。
 近年では海外でもこれまでの宗教観に疑念を持つ方も増えているようです。
 日本は仏教と神道が宗教として一応挙げられますが1000年前はともかく中世、近代以降は自然の営みの中でお天道様を神様としたり、多数の宗派のある仏教の教えを上手く生活に活かしてきました。また、儒教も同時に組み入れながら社会や個々の生活の円滑を工夫してきました。言い換えれば生活にとって好都合に包容力をもって多様な宗教を取り入れてきました。これをもって敬虔な宗教心が無いと言われますが生活に取り込む宗教の方が平和で便利で良いと思いますね。キリスト教も上手く取り入れながら暮らしていますがこれが真の多様性であり、包容力のある文化です。国教に拘り、他を排除する国々に多様性が無いなどと非難されることはおかしな話です。
 日本文化の特徴である「和を以て尊しとする」「他人を思いやる」等は宗教と言うより道徳的な精神かも知れませんがこの精神が今後の国際社会に必要であり、これを浸透されることが重要です。
 近年では日本の僧侶や神官が各国でこの教えを普及しつつあり、次第に理解が浸透しつつあります。また、高野山では12か国の外国人が僧侶として修業し、外国人などの教えを説いているように日本の仏教自体も国際的側面を強めています。融通無碍に宗教に向かう精神を広めて欲しいものです。


4.社会と環境の持続性


■社会の持続性


 日本社会は国際的には安定した格差の少ない社会ですがセーフティネットに関してはもう少し注力すべきです。
 特にシングルマザーは以前から厳しい経済環境にありましたが今回のコロナ禍ではそれが際立ちました。全国民への10万円給付も良いのですがコロナ禍でも収入に変化が無いか大きな影響を受けない公務員や大企業等の世帯への給付は全く不要でした。これらの分をシングルマザーへの給付へ傾斜させるべきでした。また、住まいを失った世帯も多々ありますがこれらを受け入れる適切な住居が極めて少ないのが現状です。元々生活保護世帯に関しては貧困ビジネスが問題とされてきました。高齢者も大事ですがシングルマザー世帯、要保護世帯、障碍者世帯そして孤児や親から虐待されている児童等には一層の支援が必要です。このためには政府の直接的な助成等(ハード及びソフト)が必要であるとともに直接的に支援に携わるNPO等の団体への支援が必要です。
 また、関連法制度も適宜改正する必要が有ります。児童相談所の機能の強化とともに裁判所の対応も改善ンする必要が有ります。児童の命の保護よりも親権が重視されるという常識を逸脱した法律は代えなければなりません(先日も家庭相談所の保護申請に対して家庭裁判所が書類不備につき却下したため死亡してしまいました)。各分野での憲法改正反対派の抵抗があるようですが一体何のための法律なのか?ですね。
 憲法改正の議論はこれらも含めて早々に動きだす必要が有ります。
ま た、子供の保護等については制度の問題とともに一時保護の後の養護施設等の生活保障にためにこれまで以上の手厚い支援方策を講じる必要があります。いうまでも無く関連の福祉関連施策については担当者を始め大いなる努力をしていることは敬意を表したいと思いますが親の無い、親からネグレクトされた子供たちに普通の生活をおくらせるためには不十分だと思います。特に里親制度は資格審査や講習等も含めて厳密に運用されていますがまだまだ数が少ないと思われます。資金面や住宅規模等も含めて余裕があり、心から親身となって支援する里親を増やすことが重要です。もっと里親制度の現状を知らしめて多くの素晴らしい方々の参加を期待したいものです。
 これらのセーフティーネットが不十分では日本社会が誇る安全性・安心性・治安性・信頼性も次第に弱体化すると思われます。

■環境の持続性


 身近な環境問題はかなり以前から一般国民の理解により先進的に取り組まれています。近年はもっぱら地球環境問題としてゼロエミッション等が課題として認識されています。しかし、日本の排出量はわずか3.4%に過ぎず、仮に大騒ぎして半減しても1.7ポイントしが減少しません。米中がすこしだけ頑張ればいいのです。それよりもエネルギーは安全保障面で極めて重要です。   現時点ではエネルギーレジリエンスは自然災害にも耐えられる視点ですがより重要なのは国際動向です。かつてはエネルギー問題により戦争が起こりましたし、現在も争奪戦が様々な様相で行われています。
 単純に地球温暖化抑止のために再生エネルギーに注力させるだけではすぐに足元を見られますし、自国をまもることは出来ません。環境原理主義者達は何を言っても一定のエネルギーは確保されるはずだとしてダダ乗りしていますがそうではありません。今回のロシアによるウクライナ侵攻により欧州へのガス供給が止まることも想定されます。今後も他に大きく依存する関係を有している限り首根っこと押さえられる事態となります。平常時は双方ともにうwin-winですので問題ありませんが有事には経済的な損得は関係無くなりますのでやっかいです。
 従来より日本は石油が無いためオイルショック等の経験そして京都議定書(COP3)以来温暖化対策も含めて原子力発電に注力してきました。東北大震災での福島の被害から原子力発電の停止状態となってきましたが他国はしたたかに原子力発電の新たなフェーズに入っています。日本のこれまでの技術的蓄積が途絶えない内に改めて取り組む必要があります。
 さらに日本領海内でのガス採取等の潜在的エネルギー資源の開発も重要です。従来は採取できないものも最新技術により可能となりますので安全保障面から積極的に取り組むべきです。

5.国土の資源の資産化とレジリエンス


 新たな地方創生のためには地方の多様な資源を資産化し災害などへのレジリアンスを強化することが必要です。地方創生は数十年前から地方活性化として国土政策の主要課題でしたので今更ですが数十年前と異なり現状はすでに全国的な人口減少に入っていることと地方から世界への発信ツールがあることです。
 人口減少・少子高齢化への対応はひとつは人口増加ですが、短期的な増加への処方箋はありません。短絡的には外国人の導入ですがこれは必要で有用ですので今後とも各分野での外国人導入の取組みが不可欠ですが短期的に数百万人規模は現実的ではなく有用ではありません。
 日本人の出生率を急増させることは出来ませんが少子化の大きな原因として婚姻率の低下がありますのでこの改善は可能です。もちろん無理に結婚させられませんが最近はネットでの各種婚活マッチングサイトも活用されつつありますが従来の「お節介仲人達」も有用かもしれません。女性の社会進出が進むほど当面の結婚の必要性が薄れますので外部からの何かしらのお節介が必要・有用だと思われます。国土の将来像がお節介仲人達に委ねられるのも妙な話ですが無視できません。
 地域の資源を発見してそれを資産とすることが重要です。日本の自然は世界的にも魅力がありますし、自然ととも神社・仏閣等も大きな資源です。ネットにより過疎地の小さな資源も世界に発信することが可能です。
 地方での駅前再開発や中心市街地の再生は大事ですがより地方の良さをアピールすることが出来るのは固有の自然資源の活用だと思われます。
 また、1990年代から地方へのUJIターンや二地域居住そして学生による地域づくりインターン及び地域づくり協力隊等の外部からの新たな人材による地域創生への支援もこの十数年以上の経験が次第に効果を有するようになってきましたのでさらなる期待が持てます。ただし、その効果を得るには地域が開かれた姿勢で取り組むことが条件になります。独りよがりで閉鎖的な環境では自発的発意はもちろん外部からの支援も功を奏しません。コロナ禍での地方への関心の高まりもありますがこれは一時的なものだと思いますが一つのきっかけにはなると考えられます。

6.新たな国際秩序の構築


 2月24日についにロシアのウクライナ侵攻が開始されました。多くの関係者はここまでは予測していなかったと報道されていますが誰が考えても2014年以降の動きからはいずれウクライナ侵攻がされることは明白でした。分からないはずのない専門家や政治家が言い出せなかったのはそれを止める手立てがないからでしょう。
 東西冷戦終了後は地域の宗教戦争、中国台頭による地勢図の再編、アフガン崩壊等の様々な全世界的な不安定な動きが続いていました。そこにさらにウクライナ侵攻です。
 ウクライナ侵攻への現時点の対応策は効果のない首脳たちの批判表明と経済措置しかありません。経済措置はロシアにとって織り込み済みですし、制裁した国へのブーメランもあります。本来は力には力しかありません。平和な国ほど当然戦争はしたくないので軍備強化が必要と分かっていても対応できませんでした。このようなロシアの蛮行への対応のためにNATOがあるのですが実際に交戦することは想定しておらず、存在自体に抑止効果があると信じたかったのでしょう。
 日本は本件に対しては西欧以上に出来ることは無くおよび腰ですしメディアも今回はあまり非難しません。政府を非難することは日本が自らの国を守るために自律的な方策を取ることを意味しますのでメディアをそれを歓迎しないからでしょう。
 本件のような侵略を防ぐには各国が自律的な防備策を講じることですがそもそも論としては侵略国家の存在を許容しないことです。この100年に限っても多くの侵略が実行されとめることは出来ませんでした。そして戦争に勝った侵略国家はそのまま存続してきました。専制独裁国家は国内支配とともに必ず他国への侵略をしますのでその存在を絶対に許してはいけません。しかし、国際的な資源や経済面等の絡みがあり簡単には行きませんが少なくとも世界がそれを許容しないと言う強い連携が無くては実現しません。
少なくともエネルギーや軍事面でそれらの国の支配下に入ることを選択した途端に侵略は現実のものとなってしまいました。今後は国際的に信頼されている日本が新たな国際秩序の旗振りをしていく必要があります。もちろん、日本自体の自律的な対応が不可欠です。

7.住宅の資産化


 これはこれまでも強調してきた日本最大の問題です。
 国の性能基準の義務化が議論されている段階では心もとないのですが本来は国の法制化に依存するのではなく業界が先導的に進めるべきことです。業界が反対していること自体問題ですのでどうしてもできなければ法制化を強行する必要が有ります。また、関連業界の一つであり資金面で重要な金融機関が本来のモーゲージローンの前提である資産化を他に主唱する必要があります。保証会社による保証や低いデフォルト等に胡坐をかいてしまっている姿勢が問題です。
 誰も先導的にやろうとしないのはそれでも売れるからということですので購入者が資産価値の無い住宅を購入しない姿勢が重要です。といっても現時点では資産価値にある商品は都心部のマンションだけです。それでも購入者は金融機関、ビルダー、デベ等に将来の価値を保証することを要求すべきであり、資産価値が無いことを背景に購入意欲が低下してくれば彼らも慌てて購入者ニーズに対応し始めるはずです。多くの国民の方に資産価値のある住宅を要求することを期待しますし、それは実現可能(「住宅が資産になる日」(プラチナ出版)等」であることを分かって欲しいものです。その前に関連業界、政府が動くべきですが。

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