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茶道具

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2022年10月の記事一覧

遠い旅

遠い旅

風炉最後の稽古に「シルクロードの絵茶碗」
を出しました。{風炉の旅は終わっても、未だ
先は長く炉の点前は難しいですよ!}こんな
言葉を添えました。

「先生良くこんな珍しい柄の茶碗、お持ちですね~」
{そうでしょう、これは昭和60年の御題「旅」の
年の品物。あの年は大当たりで、楽しいお題に因んだ
モノが沢山出ました。国内の旅ばかりで、これが一番
珍品と思って買いました}

「この茶碗、取り合わせが

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茶桶

茶桶

十月名残で{お茶が少なくなっている}との
発想から、茶桶の薄茶器を出しました。

「あれっ先週まで薄茶器、小さかったのに・・
元に戻りましたか?」{これ何の形か覚えている?}
「先生薄茶器は数が多過ぎて、とても覚えられません。
難しいのでヒントを下さい」

{じゃ大サービスで。茶入も小さかったでしょ、何故
でしたか}「解りました、抹茶を入れる桶ですね」
{これは茶桶だから、口切の後お茶が多い時・茶

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天気予報

天気予報

昨日は朝の天気予報で「冷え込んでいます。富士山が
良く見えます」何度も繰り返していました。

丁度稽古日だったので、急いで「富士釜」を出して
来ました。一番にやって来た人が「まあここにも富士山」
と大喜びしてくれました。

彼女も天気予報を見ていたらしく、富士山が見える場所
についての話題で盛り上がりました。
{家のベランダからも、てっぺんのとんがり部分が少し
見える}と話したら驚いています。

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こんな場合は

床に歌短冊を使うと、茶友に話しました。
「私は和歌が苦手だから、無理だわね~こんな
場合は、寄付きには何を掛けるの?」

面白い質問です。{常ならば絵が多いけれど、
今回は軽い禅語の色紙「雲無心」の三文字ね}
「まあ流石大川さん、歌に月が出るから、こちらに
雲があるのね」

嬉しい答えが返って来ました。理解してもらえて、
有難いけれど我が社中は・・・
「大丈夫でしょ、日頃貴方に鍛えられているから」

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稽古の茶道具 

名残も名残、風炉の最終稽古。さて掛物は何に
しようかと考えて、軽い和歌短冊としました。
比較的よく使う、江戸時代の公家が書いた物
です。

家柄・時代により、値段の高低があります。
他に歌人・文人・として聞こえている人、なども
高額です。

京都在学中この短冊にはまり、四季・新年・賀歌・
哀傷歌・など、それぞれ十枚以上買いました。
稽古の本席・寄付きに大活躍しています。

変体仮名は難しく、古書店

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小さな茶入

小さな茶入

茶壺のお茶も少なくなった10月、小さな
茶入の出番がやって来ました。
幾つか小振りの茶入を持ちますが、この品は
特別なのです。

と言うのも、一番最初に買った思い出の茶入
ですから・・・今から54年前、私は池袋の
男子校に通っていました。池袋西武百貨店の
茶道具売り場を良くのぞいて居ました。

学生服の子供が熱心に道具を見るので、中年の
男性店員さんが色々と教えてくれました。
茶入はそれこそ茶色系

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見立ての香合

見立ての香合

「先生この香合に描かれているのは、何の
動物ですか?」炭手前{炭のみ手の字、使用}を
する弟子の質問です。

{良く見て御覧なさい。角が見えるかな~}
「これどこの国の品物ですか?」{インドの飛行場で
買って来たから、印度製でしょうね}

すると「えっインドにも鹿が居るんですか!?」
驚く様な大声で聞き返されました。{多分全土とは
言わないけれど、北の方にはね・・・}

{あーそれから印度には馬も

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出会い

出会い

斑鳩の里「法輪寺」旧国宝三重塔は、昭和19年7月の
落雷で焼失しました。

それを御住職 井上慶覚老師が、再建されるべく立ち上がり
ました。この時文豪幸田露伴の娘で、同じく文筆家の幸田 文
先生が賛同されました。先生のお力で、再建運動は広がりを見せ
伯母・母・私・と三人で寄付をさせて頂きました。

ヤフオクでその時の古材茶杓と、出会いました。何としてもと
頑張り落札出来ました。この茶杓で伯母と・母

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七大寺

七大寺

今週の軸はあの有名な「柿くえば鐘が鳴なり法隆寺」
の句碑「拓本」です。碑は法隆寺鏡池の西に、ひっそり
建っています。恐らく現在は、拓本を採れないでしょう。

そこで菓子器に、南都七大寺瓦写し銘々皿を使う事に・・
東大寺・興福寺・西大寺・薬師寺・法隆寺・この五つは
思い浮かべる方も、多い事でしょう。

問題はあとの二つ!その元興寺・大安寺・の分を使います。
こうして七大寺を、覚えてもらおうかと考えて

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渋く

渋く

名残の月なので、稽古道具も少しばかり
落ち着いた物を選びます。

やって来た茶友が「暗っぽい道具ね~」と
のたまいます。内心{この○○女め!}とは
思いつつ{暗いのではなくて、渋いんですよ}
薄笑いを浮かべました。

{水指は信楽とお分かりでしょ。じゃ仕覆の裂地
もご存じだね}反撃の一語を発しました。
「正倉院裂地系統は弱いの・・」言い訳がましく、
小声になりました。

{水指は色も有るけれど、私

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茶杓の置き位置

茶杓の置き位置

朱の漆で「閑」の一字が書かれた、金輪寺薄茶器を
出しました。
この器は私が還暦の折、茶友が恵贈してくれた品です。
「これからはシ・ズ・カ・ニ・暮らす様に」との名言が
添えてありました。

蒔絵での字型と違い直筆の品は、扱いを変えねばなりません。
ふくさで拭く時は、少し浮かして字を磨らない様・当てない様
にします。

と同時に、茶杓も真上に置かず少し避けて置きます。
字を書かれた方への、敬意の現われ

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御軸

御軸

神無月に因んで、出雲大社の御神号を掛けました。
神号とは本来の神名に対して、性格や格式を表す別名とでも
申しましょうか・・・中でも「大神」と称されるのは、
数少ない神社だけです。熱田、出雲、住吉、賀茂、など。

いくつかの御神号を所持しています。それぞれのお祭りの
時季に、取り合わせの中心に据えます。
日本は本来「神国」仏教の方が後から入って来ました。

外人でもインテリの人はそれを知っているので

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稽古の茶道具 みのり

稽古の茶道具 みのり

今年の「稔り」です。
香合は一位一刀彫の雀・茶碗は京焼の稲穂です。

一刀彫は魅力的な作品が多く、いくつかをうれしく
取り合わせて使っています。一位の木の名称由来も、
スッカリ社中には浸透しました。{一位の本当の
名前は?}「はい、櫟アララギです」即答です。

この稲穂の絵の茶碗も、久しぶりの登板です。
少し華やかなので、名残の十月には?と考えていました。
昨年の「稔り」に鳴子と俵を出したので、今

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井伊直弼公好み薄茶器

井伊直弼公好み薄茶器

直弼公{茶名 宗観}お好み、十二か月揃いの
薄茶器があります。いづれも花と鳥を組み合わせて
あります。

かの藤原定家の詠んだ、和歌の頃から定番化して来た
組み合わせです。江戸期に入ると様々な画家達が、
このテーマを描きました。
特に琳派の酒井抱一は、いくつもの十二か月図を
残しました、個人的には「出光美術館」蔵が好きです。

この薄茶器揃いは、八代の中村宗哲が作りました。
一年を半分に分け、半年

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