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茶道具

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今週の稽古場から

今週の稽古場から

寄付   和歌色紙
菅家 このたびはぬさもとりあえず
たむけやま もみじのにしきかみのまにまに
床   茶醒胸古学 東坊城聡長卿
花   藤袴・鷹の羽薄
花入  三島
香合  大宰府天満宮 梅古材

夜も長くなり、大いに学んでもらおうと・・菅原道真公を取り合わせました。

寄付は、百人一首の道真公の歌。
丁度秋に相応しく!
床はチャハ・サマス・フルキヲ・マナブ・ムネ・で、正しく夜長にこそと思われま

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茶道具の正面

茶道具の正面

襖を開けて、水指が持ち出されました。続いて茶碗・薄茶器となり、柄杓・建水が・・・

(はいストップ!やり直しね)注意された人は「狸に触られた」様な、顔をしています。何がいけないのか、分からないのでしょう。

(水屋から道具を持ち出す時、正面を確認すると教えました。建水も見ましたか?釉薬の垂れている所を、正面にしなきゃ~)
本人は反省の顔付きで「すいません、建水は見ませんでした」(建水や蓋置でも、き

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嬉しい客

嬉しい客

秋の彼岸中に、催しがありました。

床  到彼岸
花  吾亦紅・糸薄・萩
花入 竹 舟
香合 櫂形 波蒔絵

こんな取り合わせにしました。
見事な挨拶をなさる方がいらして、感激しました。
「この舟に乗って、彼岸に向かうのでしょうね。彼岸に至れる様に、私達も
努力せねばと思いました」

私はうれしくなり(まあ私なら、泳いでも渡るかも知れません)こう答えて、爆笑を誘いました。

苦心した道具組を理解し

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今週の稽古から

今週の稽古から

寄付  色紙 千江同一月
床   公家短冊 岩倉具集
「夜もすがらあかなく向かう澄む月を
波なき池の水にうつして」
花   男郎花・鷹ノ羽薄
花入  萩 耳付
香合  楓の木 琵琶彫り

29日が、お月見。
それに寄せました。
床は岩倉具視公の祖父。
香合は、漢詩「月下弄琵琶」
からです。多分表流好み、
何故なら箱の紐が「黄色」
です。薄茶器に、満月松蒔絵。
待望の栗金団を食べます!

茶道具百話 ととや茶碗

「先生、先週参加した茶会で斗々屋茶碗を拝見しました。これは魚屋と同じなんでしょうか?」

(ととやは魚屋表記の方が、古い様ですよ。寛永年間17世紀前半の、遠州の茶会ではカタカナでトトヤと書かれた場合も)

(魚屋はいくらか根拠のある字面です。斗々屋は当て字でしょうね。ただ
箱書に、斗々屋とあればそれに従うべきでしょう)ここまで話して、魚屋の写し物を出しました。
(トトヤは本手と言う少し深い品と、こ

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今週の稽古場から

今週の稽古場から

寄付  秋草の絵扇
床   露 
花   糸薄 白角虎の尾
花入  虫籠
香合  木地 虫象篏

雨の力で、幾分涼しくなりました。
軸の露は、季節の情景と14代家元のご命日を掛けてあります。
露は仏事にも、良く使われています。

香合は梅木地。蓋表に虫、内側は黒塗りに金で薄蒔絵。

淡々斉の命日に寄せて、直筆「清風」の文字入り茶碗も使わねばなりません。

茶道具百話 木地曲

弟子から、とても良い質問がありました。小習事16ケ条の内「入子点」を、した時です。この点前は、木地の建水に茶碗を仕組んで来る「薄茶点前」です。

「先生木地曲げの木地は、何でしょうか?」(まあ殆ど全ては、杉です。極々稀に、他の木を使うかも)

「どうして杉なんですか」(エライ!良い質問ですよ。今迄誰も聞かなかったねー。利休居士が神具や天皇の御道具になる檜を憚った、との説があります。他には木目も、美

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今週の稽古から

今週の稽古から

東京の水がめ、群馬県のダムが
水不足です。このままでは、取水制限とか!雨乞いしか、ありません。
寄付  葡萄の絵色紙
床   一滴潤乾坤
花   我亦紅 白角虎の尾
花入  煤竹手付籠
香合  桃

床の一行、良く見掛けるのは
「一雨」です。たとえ一滴でも、
多く降って欲しい。
水源地で降らないで、東京地方はゲリラ豪雨。皮肉ですね!

葡萄・桃を出しました。果物の美味しい、秋となりました。

銘々皿

銘々皿

江戸切子の銘々皿を出しました。
弟子から「この皿自体が美しくて、上に盛るお菓子難しくないですか?」質問が有りました。

まあ切子だけに限らず、陶器・漆器でも華やかな柄がある品は難しいかも?
しかし逆に考えると、それ故彩りを計算してお菓子を考えるのは楽しい事でもあります。

器が賑やかなら、上の菓子はシンプルな品を!多色使いの金団などは、避けねばなりません。

今回の江戸切子には(葛饅頭)を、使いま

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茶道具百話 雲錦

茶道具百話 雲錦

仏事の取り合わせでの、稽古日です。
蓋置に、京焼き「雲錦透かし」を出しました。
「先生何で仏事取り合わせに、桜と紅葉が?」(先輩達に聞いて下さい。もう耳にタコヤキ位、教えてあるから)

しーんと静まり、声が聞こえません。
(まったく口をリンゴスにして、説明したのに。桜は何・紅葉は何の表現?
まずそこから)
「はい、桜が雲で紅葉が錦です」

(それでは、どうしてその雲錦が!)
又々沈黙~(春から秋へ

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今週の稽古場から

今週の稽古場から

八月は、恩師三田富子先生の命日があります。早い「旧盆」と併せ、仏事の取り合わせで・・

待合  夢一字色紙
床   歌仙絵 僧正遍昭
すえのつゆもとのしづくやよのなかの
おくれさきたつためしなるらん
花   白紫桔梗
花入  唐銅 経筒
香合  不昧公好 心経

他に餓鬼腹茶入、仏器薄茶器、青磁蓮弁水指などを出します。
お優しい先生の温容、祖父母父母の懐かしい顔も浮かびます。

大阪人

大阪人

26日懐かしい、旧社中がやって来ました。彼が大学2年から、20代半ばまで稽古していました。

今回東京で同窓会、ついでに立ちよってくれたのです。7月末の大阪ならば、天神祭です。

床  天満宮神号
花  昼顔 風知草
花入 竹船
香合 太鼓形
メーンは、絵高麗梅鉢文茶碗です。
浅くて梅の文様「大阪の数寄者の蔵には、必ず有る」とまで、言われる茶碗です。

実は梅鉢ではなく、七曜星なのですが・・陰と日

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茶道具百話 蓋裏

茶道具百話 蓋裏

客付きに向き、拝見に出す
棗を清め始めました。フクサを
握り込んで、蓋を開け「アッ!」と
言う小さい声が・・
私は気付かなかったふりで「お客さん、取りに出て」と指示。

客から「まあ裏に赤富士が!」声があがりました。どうやらお点前さんは、水屋で確認して来なかった様です。

(赤富士は、晩夏の頃朝日に映えて赤く見える現象です。単に富士山とは、
違うと考えて下さい)

茶杓の銘を何と答えるか、皆が注目

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瓢好き

瓢好き

かの太閤秀吉ほどではありませんが・・私も瓢箪が、大好きです。
自分で栽培して、実から花入れを作りました!

今月の稽古には、14代淡々斉好み「瓢棚」を使っています。ここへ信楽焼瓢水指・糸目瓢茶器を置き合わせ、お馴染み901クドイ~

更には茶入も瓢、建水は瓢の逆形(単瓢)、干菓子盆も瓢透かしと徹底!
社中に呆れられました。

鶴屋八幡の生菓子に、面白い瓢がありました。7月は緑が濃い色目で「青瓢」ア

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