5月15日(火)まぼろしの夕焼けと旅の終わり
今日の遺跡巡りはきのうより遥かに余裕のある朝9時の出発。時間があったので、ホテルでしっかりと朝食を食べた。せっかくなのでカンボジアンフードを、と思いミーチャー(焼きそば)をチョイスする。かなり日本人好みの味付けで、素直においしい。
朝食をとりおわってホテルを出る前に、せっかくだから写真を撮っておく。ここだけ切り取るとかなり高級ヴィラみたいだが、(実際「Seda Villa」という名前)部屋はまあまあ薄暗かったな。
今日の行程は、プレア・カン→ネアック・ポアン→タ・ソム→東メボン→バンテアイ・スレイ→プレ・ループという大回りコース。どのくらい大回りかというと、バンテアイ・スレイはそのほかの遺跡からトゥクトゥクで片道約1時間もの距離がある。『地球の歩き方』で人気スポット2位として紹介されているプレ・ループの夕陽が今日のゴールだ。
昨日はしっかり寝ておいてよかった(おかげでnoteは更新できなかったけれど)。今日は6つも回るハードなコースだけれど、どの遺跡もじっくりと見ることができている。
その中でも特にバンテアイ・スレイは圧巻だった。彫刻のクオリティと保存状態には圧倒されてしまって、その美しさを隅々まで目に焼き付けたいと思った。
今日はあまり人がいない遺跡が多かったので、ほとんどの遺跡で写真を心置きなく撮ることができた。そこでなにを思ったか、わたしは自撮りをすることに。昨日から散々フォトジェニックな記念写真を撮っている中国人とカップルに対抗しようと思ったのだ。
使っているカメラはスマホと接続してシャッターを遠隔操作できるというハイテク仕様。この機能、今使わずしていつ使う!
誰かに撮ってもらったかのような記念写真を撮ることができ、すっかり満足したわたしは、最終ゴールのプレ・ループに向かう。回るペースが早かったのか夕方16時には到着したが、日が沈むのは18時頃だ。まだまだ時間があるなと思いながら階段を登っていくと、そこにはすでに夕陽を見ようと待機している人が多くいた。
その中には僧侶たちもいる。夕陽を待つあいだ、十何組という観光客による僧侶との記念撮影会が始まった。一緒には撮ってもらわなかったものの、あまりにも写真映えする光景にわたしも遠くから写真を撮らせてもらう。
そろそろ日が沈む時間だ。しかし厚くかかる雲は西側に集まって夕陽を待ちわびていたわたしたちを落胆させ、きれいな夕陽を見ることはついぞできなかった。
残念な気持ちでトゥクトゥクに乗り込み、19時頃には市内に戻ってきた。帰りは23:30発の深夜バスなのでかなり時間がある。さすがに1人でパブに居座るまでの勇気はなく、暇を潰すためにパブストリートやいくつかのマーケットを回ってみたけれど、それでもまだまだ時間があまった。
無計画すぎてやることがなくなったわたしは、人生で初めてマッサージを受けることにした。それも、背中〜肩のコースと足のコースをそれぞれ違う店で施術してもらう。6ドルと4ドルと、かなり安価なローカルマッサージ店だ。それほど技術があるわけではないけれど、遺跡を回って疲れきっている体には心地よかった。
22:30になり、やっと深夜バスの集合場所にトゥクトゥクで向かう。運転手に予約時に送られてきた地図をみせたが、その停留所へたどり着くなり目の前にいるお兄さんが「深夜バスはここではない」と言うではないか。
メールに書いてあったんだけど、嘘でしょ......と困惑していると、理解したらしい運転手が「こっから1kmくらい向こうだ」と言っている。本当か怪しい。
「ほんとに?場所わかってる?大丈夫なんだよね?」と念押ししてもう一度トゥクトゥクに乗り込むと、どんどんと明かりは減っていき、1kmどころじゃなく移動している気がする。怖くなったわたしは、「リアリー!? ほんとにこっち? I don't think so!」などとめちゃくちゃな英語を大声で叫んでいたが、それからほどなくしてトゥクトゥクは止まった。どうやら着いたようだ。
お金を払う前にここであってるか確認してくるね、と言って近くにいた職員らしき人に聞くと、確かにそこは23:30発の深夜バスの乗車場所だった。そしてわたしはトゥクトゥクに超過料金を含めた3ドルを払い、事なきを得た。
乗ったのはクオリティが高いと評判の「Giant Ibis」という会社のもので、普通サイズのバスに2段ベッドのような設備を仕込み、1台のベッドに2人ずつ横になるという構造だった。かなり狭いけれどあっという間に寝つき、いつのまにか朝になってプノンペンに到着。最初は隣に居たはずの白人のお姉さんは、気づいたら居なかった。
旅にトラブルはつきもの。だけどそれを乗り越えられた今回の旅は、またひとつわたしに自信をくれたのだった。
もしいただけるなら......都心までの交通費にさせてください......