いくら

Need ya love, not a need, it is a must

いくら

Need ya love, not a need, it is a must

最近の記事

  • 固定された記事

禍話・怪談手帖のリライトの使用について

初めまして。いくらと申します。 平素よりご閲覧していただき、誠にありがとうございます。 先日YouTubeにて私の記事を無断使用され、トラブルになってしまいました。 語り手のかぁなっき様や、他のリライトされてる禍話リスナーの方も、この件に関しての記事を投稿されているのでご存知かとは思いますが、今後再びこのようなトラブルが起きないように明記したいと思います。 まず初めに、禍話は猟奇ユニット FEAR飯のお二人が仰っているように、権利フリーの「青空怪談」です。 ですので、私の

    • 【禍話リライト】追ってくるチラシ

      A君が通う高校までの通学路に、広い公園があった。 公園の周りは、子供のいる家庭が多く住むマンションが建ち並ぶ住宅街である。 公園内の遊具や砂場、ベンチやトイレなどの設備は非常に綺麗で、一部囲いが設置されていてボール遊びが出来るようにもなっている。 だがいつその公園の前を通っても遊ぶ子供を見た事はないし、人がいたとしても散歩休憩でベンチに座る老人くらいだった。 ある日の下校時に友人とその公園の前を通りかかった。 もちろん公園には誰もいない。 高校生であるが、A君は友人とふざけ

      • 【怪談手帖】ももんがあ【禍話】

        禍話へと提供させていただいている僕の怪談においては、「人の形をしているだけの人でない何か」という要素がしばしば現れる。 恐らくそれは、採話者である僕の無意識な恐怖傾向なのだろう。 しかしながら仕事で知り合った歳下の知人、Aくんに体験談を聞かせてもらう席でその話をしていた時、彼が思い詰めたような顔で「そういうものの実在を是非信じたい」などと言い出した時には、流石に面食らってしまった。 僕の反応を見て釈明の如く彼の言う事には「興味本位でもそういうものが怖くないと言いたいわけでも

        • 【怪談手帖】擂鉢【禍話】

          「座敷牢だって言われてたけど、全然違ったと思うんだよね」 Aさんは半ば独り言のようになりながら話をしていた。 「そもそも座敷じゃないしさ。  だいたい、だいぶ昔に廃れたんでしょ、座敷牢とかそういうのって。そうだよね?」 そう言われても僕もそういうものに詳しいわけではない。法律で禁止されて以降も、私的な監禁や虐待などまで含めれば例外がないとは言えない。 そう彼女に答えるしかなかった。 「んー、いや、でもやっぱり違ったよあれは。形からしておかしいし。あれはそういうのじゃな

        • 固定された記事

        禍話・怪談手帖のリライトの使用について

        マガジン

        • 余寒の怪談手帖 リライト集
          93本

        記事

          【禍話リライト】うわばきの名前【花子さん譚】

          トイレにまつわる話を収集している「花子さん」がAさんから伺った話。 東海地方のとある小学校に、所謂『トイレの花子さん』の噂があった。 旧校舎の三階にあるトイレの三番目の個室に、三回ノックをして呼びかけると女の子の幽霊が現れるという、有名な学校の怪談の一つだ。 しかしその学校の花子さんの呼び出し方に一つ変わったものがあった。 正確な方法は教えてもらう事は出来なかったのだが、どちらかの手に『何か』を握りしめたまま、個室を何度かノックして呼びかけるというものだった。 ある日の

          【禍話リライト】うわばきの名前【花子さん譚】

          【怪談手帖】物怪録【禍話】

          「有言実行っていうよりは、思い付いて喋りながらもう足が動いてる、みたいな人だったなあ」 Aさんは数年前に癌で亡くなったという、歳の離れた従兄弟のBさんをそのように称した。 「まどろっこしい事が嫌、ってのかなぁ…。まあその所為なのかなんなのか、病院も大っ嫌いでさあ。  若かった頃は『医者要らずとはこの事だ』なんて、それでも良かったけど、歳取ったらねえ…。  だめだよやっぱ。お医者さんの言う事聞かないとさ」 癌が見つかった時にもう手遅れとなっており、半年もしないうちに六十過

          【怪談手帖】物怪録【禍話】

          【禍話リライト】役に立たない

          大学時代にAさんが付き合っていた恋人の自宅は、年季の入ったオートロックなどのセキュリティ対策のないマンションにあった。 彼女はあまりそのような事を気にする性格ではなかったが、女性が一人暮らしをするにはあまりにも頼りない物件である。 そんなマンションの五階に恋人が住んでいた。 ある夜、Aさんは恋人に会いに部屋に向かっていた。 エレベーターのすぐ隣の壁の『消火器↓』と縦書きに書かれた赤い表示板が目に入った。 その表示板の右側に黒文字で『役に立たない』と落書きされている。 『役

          【禍話リライト】役に立たない

          【怪談手帖】せんせい【禍話】

          知り合いのAくんは僕と同じ全く霊感のない人で、そんな彼から聞いた話である。 つい先日、海岸方面から来るバスを待つ停留所で一人のお婆さんと出会った。 坂下からえっちらおっちらと上がってくると、バスの到着時間について聞いてきたのだという。 時刻表アプリを参照して説明したところ、お婆さんは話し相手に飢えていたらしく、そのまま一方的に喋りかけてきた。 「そういう時はスムーズに聞き役に回れるタイプなんですよ、俺」とAくん。 少し前に夫を亡くし娘も独立してしまったと聞いて、淋しいんだ

          【怪談手帖】せんせい【禍話】

          【怪談手帖】エコー【禍話】

          「小劇場だったのかなあ。ちょっとした劇だとか音楽会だとかやれるくらいの、そこまで広くないホールのある建物なんだけど」 Aさんは平日昼の静かな喫茶店でコーヒーを待ちながらそのように語りだした。 「建てられた当時の目的とか、詳しい事情知ってる人がもういなくてさ、私たちが子供の頃にはほぼ廃墟と言ってよかったし」 「それでそこに!?」 「う、うん。『小人』が出てたんだよね」 小人の幽霊の話が聞けるという事で知人に紹介してもらったのが、証券会社で事務員をされているAさんであった。

          【怪談手帖】エコー【禍話】

          【禍話リライト】のっぺらぼう

          「のっぺらぼう」は存在するという話。 この話をしてくれたNさんはその日、プレゼンか何かが大詰めだったそうで、彼のグループ全員でサービス残業をして遅くまで残っていたという。 大詰めだからグループ内の空気はギスギスしている、というわけでもなく時折に笑い声が混ざるほど和気藹々と仕事を進めていたのだそうだ。 そろそろ休憩にしようか、と先輩の一声で15分のリフレッシュタイムが始まった。 Nさんは席の近い同僚達と雑談をしていたところに、自販機に飲み物を買いに行った一人が戻ってくるなり

          【禍話リライト】のっぺらぼう

          【怪談手帖】桂男【禍話】

          Bさんから聞いた、鳶職をされていたというお祖父さんの体験。 ある時お祖父さんは家の縁側に座り、近所の大きな屋敷の庭にある見事な一本松と、そこにぽつりとかかった月とを眺めながら酒を呑んでいた。 するとだんだん月の海の模様 —お祖父さんは痘痕と言っていたそうだ— それが人間の顔に見えてきたのだという。 とはいえ、月の海に顔や特定の図形を見出す習慣は世界共通のものである。 それに彼は、意味のない模様に顔や図形を見出してしまう『シミュラクラ現象』という用語は知らなかったが、頭ではち

          【怪談手帖】桂男【禍話】

          【怪談手帖】太陽の幽霊【禍話】

          「なんというかね、静かな集団パニックって言うのかなあ。  何がなんだかわからない、上手く説明出来ない話なんだけど、それでもいいのかな?」 そう断ってからAさんが話してくれたのは、小学生の頃の出来事だった。 当時小学校のすぐ近くにクラブと呼ばれる学童保育のような施設があり、彼女は放課後そこに通っていた。 ような、と言ったのはそれが正規の学童保育や児童クラブの施設ではなかったからで、庭のある民家を利用した預かり所と私設塾の中間のようなものであったらしい。 いくつかの校区から児

          【怪談手帖】太陽の幽霊【禍話】

          【怪談手帖】Mちゃんが来る【禍話】

          市内の編集プロダクションに勤める三十代の女性、Aさんの話。 「昔うちには両親と祖父母の他に、父方の大伯母…、祖父の姉ですね、その人が同居していた事があって。その頃の思い出なんですけど」 大伯母さんという人はお祖父さんよりかなり歳上で、当時既に認知症が進んでいた。 色々あって祖父がその面倒を見る事になり家に来ていたようだと言う。 「暈けてしまっていたけど、足腰はしっかりしていたから晩ご飯の後なんか二階の空き部屋に上がって、ベランダから外をよく見てました。  でも年寄りだか

          【怪談手帖】Mちゃんが来る【禍話】

          【怪談手帖】巳の年【禍話】

          「私の祖母がねぇ…お化けだったんです」 定年を迎えるまで百貨店で仕事をされていたというAさんは、衝撃的な言葉で話の口火を切った。 「お祖母様が、ですか…?」 流石に驚いて問い返すと、彼女は整った眉の間に少し皺を寄せながら続けた。 「ええ、それも蛇というか…そうねぇ、何と言ったらいいか」 蛇。 どういう事であろうか。どうにもそこから話倦ねていたようだったので、僕は思いつくまま取っ掛かりを探ってみた。 例えば前世が蛇だったとか、蛇に憑かれていたとか、もしくは古式ゆかしい

          【怪談手帖】巳の年【禍話】

          【怪談手帖】毛羽毛現【禍話】

          Aさんは地方の商工会議所に勤める二十代の女性である。 最初の自己紹介で喘息持ちだと言った彼女へ、僕もそうだと告げると暫くその話題になった。 「後天的な喘息って、原因がはっきりしない事も多いんですってね」 「ああ!僕なんかまさにそれです、二十歳過ぎてから咳が止まらなくなって、色々検査も受けたんですけど今ひとつわからなくって!」 本題前の雑談のつもりでそんな話をしていたのだが、彼女にとっては歴とした本題への導入だったらしい。 「私の場合は小学生の頃からなんですけど。原因はっ

          【怪談手帖】毛羽毛現【禍話】

          【怪談手帖】青虫様【禍話】

          知人の叔母にあたるAさんの少女時代の体験談。 ある夏の事。両親の仕事の都合で、彼女は親戚筋の家へと暫くの間預けられる事となった。 その家というのは盆地にあって、農家というわけではないが大きめの畑で自家用の野菜を沢山作っていた。 実際に行くのは初めてだったが、普段からAさんの両親とは懇意にしており、胡瓜やトマト、茄子などをお裾分けしてもらったり、お菓子などを贈ってくれたりしてくれたそうだ。 そんな家だから彼女も抵抗もなく、自分の家より大きくて広いうえに自然も多い所で過ごせる

          【怪談手帖】青虫様【禍話】