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宛先のない手紙 vol.2

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ほぼわたしの考えを垂れ流すエッセイのようなもの。その2。
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2020年8月の記事一覧

曇天でいたいのです

曇天でいたいのです

ホルモンバランスや、気圧や、そんなこと一切合切関係ない、ただの個人的なバイオリズムなんかにより、わたしの元気メーターは常にゆらゆら危なっかしく揺らいでいる。

何かがあったわけでもないのに、ずどーんと下降線を辿ることもあれば、「妙に……前向きだぞ……?」と感じることもある。前向きなのは一見いいことなのだけれど、そのあとの反動が怖くて、両手放しでは喜べない。なんとも面倒だ。

心身のバランスは、脳の

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去るもの追えず

去るもの追えず

「あたし、来るもの拒まず、去るもの追わずなんよね」

と言ったのは、高校時代に出会い仲良くなった友達だった。その会話からしばらく経ったあと、彼女とわたしは一年半ほど疎遠になる。きっかけは、今となってみると些細なことにも感じられるのだけれど、その当時のわたしにとっては重大で、だけど彼女にとっては何てことはないものだった。むしろ、その温度差こそが一時的にでも疎遠にならざるを得なかった理由だったのだろう

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夏の始まり、あの頃の夏

遅い夏が始まった。

仕事部屋はエアコンを付けられない仕様で、開け放たれた窓からはジイジイと蝉が鳴く声が聞こえてくる。晴れた空は目が痛くなるほどに眩しい。

室内はそこそこ暑いけれど、北に向いているおかげでエアコンがなくとも耐えられる程度の室温だ。その代わり、上はキャミソール一枚で、カフェでは寒くなってしまって頼めない氷入りのアイスコーヒーをがぶがぶ飲んでいる。グラスに氷が触れる、カロン、という音

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