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第5回 災害時にトイレで起きていること

災害時のトイレ塾生のみなさま、おはようございます。
(読者のみなさまのことを勝手に塾生だと思い込んでおります。。。)

毎週月曜日の更新する災害時トイレの連載です。
個人や組織、地域のトイレの備えにつながることをできるだけ分かりやすくお届けできるように頑張りますので、よろしくお願いいたします。

「個人にとっていいことが、集団にとっていいこととは限らない」ということがあります。これって、トイレと深く関わります。
個人にとって最も便利な排泄方法って何だろうと考えたとき、極端な回答としては「排泄したいときにその場でする」です。
つまり野外排泄ですね…
とはいえ、社会の中で生きていくうえで、そんなことはできませんよね。

しかし、それに近いことが災害時は起きうるのです。
ということで、今回のテーマは、災害時にトイレで起きていることです。

地震後、水や食料よりも先にトイレが必要になることは、すでに述べたとおりです。発災直後は、多くの人は混乱状態の中、断水していることに気づかずにトイレを使用してしまいます。災害時は極度のストレス状態ですので、下痢やおう吐することも考えられます。

私たちは通常、トイレでは、排泄後に洗浄レバーをひねって流します。そのため、排泄してしまってから断水に気づくことになるのですが、それでは手遅れです。

自分が排泄する際に前の人のものが残っていたとしても、排泄は待ったなしです。次から次へと使用するしかなく、あっという間に便器が大小便で満杯になります。メディア等ではほとんど取り上げられませんが、被災地のトイレ問題は深刻です。水が無いので、大小便を取り除くこともトイレを掃除することも容易ではありません。(でも、現場ではだれかが手袋をして、便器の大小便を取り除いていました)

個人にとって、排泄をすることはいいことです。というか排泄は待ったなしで、どこかで用を足さなければなりません。水が出ないことが分かっていたとしても、この行為を繰り返せば不衛生になることが分かっていたとしても、するしかないのです。
でも、そうすることで著しく不衛生な環境をつくり、集団感染等のリスクを高め、集団にとって不利益になってしまいます。

阪神・淡路大震災のとき、水洗トイレが使用できなくなり、トイレが大小便や汚れた下着、ごみなどで溢れました。このとき「トイレパニック」という言葉が生まれたと言われています。
東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨など、大きな災害のときはこのようなことが起きています。なかなか報道されませんが、現場はかなり大変です。

阪神・淡路大震災のときのトイレ事情(写真:NPO法人日本トイレ研究所)


災害時、家庭での生活を継続するため、避難所での生活を継続するため、企業や組織で事業を継続するため、病院で医療を継続するためには、その場の衛生を守ることが必要です。
そのとき、トイレパニックを起こさないようにすることが重要だと思います。

トイレのサステナブルを考えることが大切です。
今日、トイレに入ったら、一瞬でもいいのでぜひそんなことを考えてみてください。

おまけ その1
youtubeで、災害時のトイレ事情について簡潔にまとめてみましたので、よろしければ参考にしてください。


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