見出し画像

2024年2月22日 触覚の問題


天気も気持ちも身体も、すっきりしない朝です。
どれも輪郭が滲んでいます。
空は薄灰色の、曇り空です。濃淡もなく、続いています。
終わりも始まりもないように見えます。
気温はやや低めで、冷え込んでいます。
ぬるくないのはありがたいですが、かといって
過ごしやすい天気でもありません。
胃は妙に重たく、肩こりはひどく、上から押しつぶされているような気分です。
つぶされたハンバーガーのような感じです。
高熱が出る時のような肌が泡立つ感覚はありませんが、
やや肌は過敏になっていて、
触れたもののきめが妙にはっきり感じられます。
これはあまりよくない感じです。
熱が出ることはないでしょうが、体調はよろしくないというのが確定しました。

最近気づいたことなのですが、
体調が悪くなると「触覚」がおかしくなるのです。
ずっとそうだったのか、最近になってそうなったのかはわからないのですが、
「触覚」に異変が起きた時は
ずいぶん体の調子が悪いということがわかってきました。

健康な時、元気な時、「触覚」は普通です。
触れたものの感覚を脳に伝えてきます。
固い、柔らかい、ふわふわ、すべすべ、冷たい、暖かい、とげとげしている、ざらざらしている、そういう感覚を
極めて程よく伝えてきます。
5センチ×5センチの布地のサンプルを渡されたような感じです。
それはサンプル用に小さく切り取られ、端にはラベルも貼ってあるサンプルです。
圧倒されることはありません。
最近、気づいたのは、体調が悪いと「触覚」が暴走するということです。
体調がやや悪いだけで、
脳に伝わる「触覚」の情報量がぐっと多くなってしまうようなのです。
布地のサンプルが、巨大になり、体の一部や全体を包むような、もっというと、飲み込んでしまうような感覚になります。
これが、なかなかに恐ろしいのです。
通常だと「ふわふわだ」で終わる毛布も
その起毛のひとつひとつのが立ち上がって肌に触れるような感覚、
すべすべとした繊維、
きもうがどちらの方向へ流れていくのかなどが
どっと頭に流れ込んできます。
ほんの少し、触れただけでもです。
触覚に溺れてしまうような、圧倒されるような感じです。
情報が多すぎます。
「ひんやりした空気」ですらももっと細かな、温度変化、
湿度、目には見えない粒子が身体の上を滑っていくのが
感じられるような気がするのです。

悪寒などするともう大変、です。
身体を駆け巡る悪寒が、身体中の触覚を刺激していきます。
何にも触らないのに起こるあの感覚、
思い出すだけで、ゾッとします。

体調が悪いせいで、五感の調整をする部分が緩んでしまっているのだろうというのが、個人的な予想なのですが
実際のところどうなのかはわかりません。
脳のバグみたいなものだろうと思っています。

このモードになると、とても手触りのいいタオルや手触りのいい服がかえって、気持ちが悪いものになってしまうのが難点です。
また、あまりに情報量が多いからか
ひどく疲れてしまうのも困ったことです。
昼寝が必要になります。
もっとも、困るのは思考が散漫になることです。
まとまった考えをしようにも、感覚の刺激が強く、それに邪魔されるような形になります。
感覚に気を取られてしまい、思考がまっすぐ動いていかないという感じです。

今のところ、対処法は、「よく寝る」「体調を戻す」しかありません。
年齢を重ねていって、この状態が基本になってしまうと、辛いなぁと考えています。
体力は年々落ちていくでしょうから、その可能性は十分にあるだろうと思っています。

疲れやすく、動悸が激しかったので、甲状腺の病気だろうかと
検査をしてみたのですが
結果は「A」ということで異常はなさそうでした。
大きな病気ということではなく、無理なスケジュールやストレスが原因によるものなのでしょうか。
休むように意識しているつもりなんだけどなぁと思いますが、よくよく考えれば、先週末、土日に続けて外出したのが、よくなかったのかもしれません。
連続で人が多いところへ出かけるのは、他の人にとっては問題がなくても、自分にとってはなかなかの試練であることを忘れていました。
1日外出したら、1日は家にいないと、体が持たないのでした。
今週末も気をつけないといけません。

さて、仕事をしているうちに回復してくるかと思ったのですが、体調は下降気味です。
天気がずっと悪いというのもあるのか、
ひたすら、ゆるい頭痛が続いています。
珍しく漢方の効きも悪いような気がします。
「触覚」もやや不穏な感じです。
空気に触れるだけでも、
指先から、入ってくるような感じがあります。
表皮と身体の内側に
少し、隙間がある感じです。
ああ、ぞわぞわします。

帰宅しても、吐き気が込み上がる頭痛になってきたので、
ドリップコーヒーのパックを開け、
お湯を沸かします。
喉奥からせりあがる、気持ち悪さに引き倒されそうになりながら、何とか待ちます。
気持ちが悪いと思いながらも、オランジェットを口に放り込みます。
気持ち悪くても、ちゃんとしたショコラティエのオランジェットはやはり美味しいのです。
ドリップバックの上からお湯を注ぎ、
コーヒーの粉が盛り上がる様子を
じりじり眺めました。
ようやく入った、ブラックコーヒーを飲みます。
ひとくち、ふたくち…。
そしてカップ半分。

しばらくすると、吐き気はおさまり、
気持ちがシャンとしてきました。
「触覚」の強度も、通常モードになり、
空気に触れて、ざわめく部分は
ちゃんと閉じられたようです。

春、木の芽だちには、精神的に不安定になるものだという、
昔からの言い伝えがありますが、
これがそういうことなのかもしれません。
まだ、ほんのりと寒い中、
コンクリートの壁や道路のヒビから少しずつ、植物が芽生え、ぐんぐんとその茎や枝やツルを伸ばすところを想像します。
それは、「触覚」が皮膚の外側だけでなくて、内側までも、伸びてくる感覚とそっくりなように感じます。

この春は、「触覚」が暴走しないように生活していきたいものです。
まずは、よく眠り
そして、予定を詰めすぎない、
さらに、温度管理に気をつける…、
植物の育て方に似ている気がしますね。






気に入ったら、サポートお願いします。いただいたサポートは、書籍費に使わせていただきます。