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【海士町】海士の人間の距離感は学校みたいな場所。人

あなたの学園マンガの代表作といえば!!?
なんでしょう? 私の中の学園マンガの代表作? うーん、思い浮かばないんですけど、学園マンガじゃないですが「うる星やつら」とかですかね。最近アニメリメイクもされましたし。
なんでしょう。学園マンガって、なんか人間関係の縮図ですよね。教室の人間関係、同級生同士の関係、先生と生徒の関係、周囲の住民との人間関係、親との人間関係、などなど。
なんか、そういう人間関係の図表がギュって凝縮された世界観。
しかもそれが、物語なので俯瞰して見れてたりするじゃないですか。本来自分目線だけだったらわからないような、他人の人生も、他人視点から追体験できる。なんかそういうの、豊っていうかわくわくするんですよね。重層的、多声的っていうか。
まあ人間の内臓とかもダメですよね。どこかがダメになっても、どこかが助けてくれる、とか。オーガニックですねえ。
なんか良くわからないこと書いちゃってる?!
まあいいか。毎回よくわからないこと書いてるし。
まあいいですよね!!!!!
ということで無名人インタビューgo!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】
この記事は「無名人イン旅ューin海士町」で実施したインタビューです。
他関連記事は、こちらのマガジンからお楽しみくださいませ!!!!!

今回ご参加いただいたのは カズ さんです!


現在:多分、みんなが思ってるより優しくない。

qbc:
今、何をしている人でしょうか?

カズ:
今は基本的に居酒屋「紺屋」と、旅館の宿泊のお客さんの料理をメインでやらしていただいてます。

qbc:
お仕事以外の時間って何されてます?

カズ:
仕事以外の時間はもう、釣りか海遊びか、あとはもう飲んでる感じで。焚き火とかキャンプをやったり。去年ぐらいから船に乗り始めて、船釣りも始まったって感じ。結構、釣りが多いですね。

qbc:
何が釣れます?

カズ:
今だとタイとかばっかりで、ちょっと前とかだとブリとかが釣れてたんですけど。夏から秋がキジハタって言って、ちょっと高級魚なんですけど。それとかイサキとか。あとは、結構いろいろ釣れますね。カツオとかも釣れたりとか、アマダイとか。

qbc:
釣りって、どんなところが楽しいですかね?

カズ:
釣りは、ギャンブルみたいな。やっぱロマン感がすごくて。もう釣れないときが基本なんですけど、やっぱり急に何も考えてないときに、想像つかないぐらい大きい魚が釣れるっていうのが、一つの醍醐味だと思う。
あとは、狙った魚が狙った通りに釣れたときが、アドレナリンが出るというか、脳汁が出るって感じで。あれを知っちゃうと多分、やっぱハマる人はハマりますね。

qbc:
それに近い、他の遊びってありますか?

カズ:
多分、パチンコとかスロットになるんですかね。

qbc:
ギャンブルなんですね。

カズ:
ギャンブルです。多分、似たような感覚なんですよね。

qbc:
お仕事はどんな感じですか?

カズ:
仕事は、全然最初はもう料理もできなかったんですけど、今の店主から、一から教えてもらって。今、何とか任してもらえるところまでは成長したんで。
料理始めて5年目なんですけど、ここまでくるのに料理学校通ったりとか、基礎を学んでから行くもんなんですけど、それがなく、そのまま全部教えてもらってるんで。
そういうやり方で来た人とは発想が違ったりとかは多分あると思うんですけど、近道じゃないけど、飛び級でそこまでいったって感じですかね。今やらないといけない状況みたいな感じで、多分、何とかして、お客さんに出せるレベルになろうっていうので、多分成り立ってるような気がします。

qbc:
最初、これ一番辛かったなってこと、覚えてますか?

カズ:
仕事ですか。

qbc:
そうですね、料理で。

カズ:
料理でつらかったのは、汗かくと、塩加減が難しくて。自分が汗かいてる分、味の感じ方が変わっちゃうんですよ。それをぶれないようにするのが、未だにちょっとそこは神経使います。

qbc:
どのように神経を使うんですかね?

カズ:
もう本当に、完全に見た目と、色とか、あとは感覚の塩の量とか。全部覚えて、調整して、味見してっていう感じです。

qbc:
汗をかくと、塩の味つけが濃くなるんですか?

カズ:
塩は濃くなりますね。

qbc:
なるほど。

カズ:
あとは、朝食を任されたときが、絶対に寝坊できないっていう。朝が苦手なんですけど。それが一番本当に、寝れないぐらい緊張します。
一回、寝過ごしたことがあって。そのときはもう、本当に人生終わったぐらい絶望感がすごい。何もない。ここの朝のお店に、朝食のお客さんが座って待ってるんです。それはもうすごい罪悪感で。

qbc:
その時はどうしたんですか?

カズ:
もう本当すいませんと謝りながら、何とか30分遅れで朝食は提供できたんで。船とかには影響なかったんですけど、運よく常連さんで、何とか笑ってもらえるってのがありましたね。

qbc:
海士町に来られる前は、何されてたんでしょう?

カズ:
前は製鉄所で、基本は整備とかの溶接をやってて。いろいろ、階段とかデッキ作ったりとか。
あと、船の近く、岸壁にあるキリンみたいなクレーン。あれの修理をメインでやってました。亀裂が入ったところを溶接したりとか、いろんな取り替えなんですけど。それを6年ぐらい続けて、そっからやめて、ちょっとフラフラしてたんですけど。

qbc:
いつからそのお仕事をされてたんですか?

カズ:
20歳ぐらいから製鉄して。

qbc:
場所はどちらで?

カズ:
場所は、愛知県の東海市にあるんですけど、海沿いにあるってとこですかね。

qbc:
前のお仕事をやめられた理由って何ですか?

カズ:
ちょっと仲が良すぎて。先輩とかも全部地元で、後輩も地元で。同い年も地元で。社長も、先輩のお父さんなので、家族みたいな感じだったんですけど。年齢が上がるにつれて、結局社長の息子が社長になると、やっぱ自分で独立したいっていう人たちが出てきて、そこで派閥争いみたいになって、それが嫌になって。

qbc:
それで、フラフラしたと。

カズ:
はい、1ヶ月ぐらい、車中泊で。田舎にも行こうと思って、心当たりある東海3県の山だったり、海沿いの、ちょっと住みたいなと思う場所を探して、1ヶ月ぐらい釣った魚だけで生きてて。釣った魚と、あと焼きそばの麺で暮らしてたんですけど。

qbc:
焼きそば。

カズ:
そしたら親から電話がかかってきて、「私、離島に移住するんだけど」っていう。どういうことって言ったら、海士町が名古屋で移住ツアーみたいなイベントをしたんですよ。そこに参加したみたいで。母が惚れこんで、「移住したいからちょっと下見で行ってくるね」って、「あんたも良かったら来る?」って言われたから、ちょっとついてってみようかなと思って。

そしたらすぐに電話がかかってきて、電話で面接みたいな感じで。どんな人かっていうので、ツアーの主催の人から電話が来たんですけど。そしたら、「いかれてるね」っていうのがまず一言目で。クレイジーだねみたいな感じで、君も来ちゃいなよっていう感じで。
で、呼ばれて、急遽、福祉系のツアーだったんですけど、全然関係ないけど、飛び入りで入れてもらって。夏に行かしてもらったんですけど。そしたら僕が母よりも、この島に惚れてしまって、ここに行きたいってなって。

3時間のフェリー、運航の長さと、海の綺麗さと、町が死んでない感が、来た瞬間に、惚れてしまって。で、ツアーを回れば回るだけ楽しいなと思って。ツアー中にここに1回食事に来たんですけど、そのときに残りたいっていう話をしたら、「じゃあ、うちで使ってやるよ」っていうので、1ヶ月間そのまま居候をさしてもらって。

qbc:
あ、このお店で。※お店でインタビューしていました。

カズ:
ここで。居候で住み込みで働いてたっていう。

qbc:
なるほど。

カズ:
で、結構トントン拍子で、新しい家も、すぐ出る方がいらっしゃって、じゃあそこに住みますって言って、住まわしてもらって、住民票も移して、っていう感じで。ツアーでそのまま移住して、同じツアーの人たちを見送って、みたいな。それからもう、5年半とかになりますね。

qbc:
移住したのはいつのことですか?

カズ:
2018年ですかね。18年の8月11日とかから、住み込みが始まりました。

qbc:
今の、気持ちはどうですかね?

カズ:
今の気持ちは、ちょっと料理の修業も行きたいけど、年間のやりたいことが多すぎて、出る暇もないなんていう感じで。

qbc:
やりたいことはどんなことですか?

カズ:
今だと、メバル釣ったりとか。基本釣りとかになるんですけど。あとは綱引きの練習とかが、今は忙しくて。3月は牡蠣があるんで、牡蠣を食べたいっていうのと。4月に綱引き大会、それが終わったらすぐソフトボールの練習が始まるんですけど。ソフトボール大会が6月。で、7月から8月はほぼ毎日海へ。海でスピアフィッシング、銛突きをやってるんですよ。それがメインで。夏はもうひたすら、ほぼ毎日海ですね。

qbc:
スピアって、船から行くんでしたっけ?

カズ:
いや、もうそのまま。

qbc:
そのまま? 潜って?

カズ:
そうっすね。陸から歩いて潜ってって、銛で突くんですけど。

qbc:
なるほど。

カズ:
普通にその辺の海に車を横付けして、入るって感じです。

qbc:
どんな魚を捕るんですか?

カズ:
基本的にはイシダイとかが一番メインで、狙いですかね。あとはキジハタとかが8月終わりぐらいに浅瀬に寄ってくるんで、それを狙ったりとかしました。

qbc:
これもやっぱりギャンブルに近いんですか?

カズ:
あれは、ギャンブルとはまたちょっと違って。魚を見て、選べるんですよ。これうまそうだなっていうのが、やっぱ明らかにあるんで。それをどうやって狙うか、駆け引きが結構すごくて。どんだけ殺気を出さないかっていうのがコツらしいんですけど。なので、気づいてないふりをして近づいて、みたいな。で、待ってると寄ってきたりするんで。寄って来た瞬間のタイミングとかがあって。それも駆け引き。我慢力が試されます。焦ったら駄目。

qbc:
好きな釣りの種類はなんですかね?

カズ:
トップウォーターで、でっかいルアーを投げて、水面でパチャパチャやって。そうすると、下からでかいブリとかがドーンって出るんですよ。それがやっぱり一番興奮するし、好きですね。

qbc:
それは船からってことですか?

カズ:
船からでも陸からでも、両方ともできるんですけど。やっぱり船の方が、攻めれるポイントが多いんで。確率はやっぱり高いですね。

qbc:
トップウォーターでの釣りのギャンブル性はどうです?

カズ:
これは本当にギャンブルだと思います。やっぱある程度ポイントとか、潮の流れとか、そういうのを読んでいけば確実に出るのは出るんですけど、あとはもうどんだけでかいのを釣れるかっていう。

qbc:
なるほど。性格について、周りの人からなんて言われますか?

カズ:
えー、なんて言われるのかな。見た目が怖いけど、意外と優しいみたいな感じは、よく言われますね。

qbc:
ご自身ではどう思います?

カズ:
多分、みんなが思ってるより優しくない。

qbc:
自分のこういう部分は優しくないっていう、エピソードあります?

カズ:
見送り、あんまり行かない(笑)。意外と情に厚そうだけど、そんなこともない。朝に起きれないのが一番なんですけど、理由としては。でも多分本当に優しい人だったら、意地でも起きるのかなっていう。

qbc:
自分が一番「自分」だなって思う瞬間はいつですか?

カズ:
海に潜ってるときですかね。

qbc:
スピアフィッシングのときですか?

カズ:
それとか、もう本当浮いてるだけってか、潜ってるっていうか泳いでるだけのときもあるんですけど。なので磯遊びとか、海に関わることをやってるときが、一番自分の自然体かなとは思います。

qbc:
1人で?

カズ:
はい。1人のときも全然あります。

qbc:
複数でいる時の、より自分らしさが出る瞬間はどうですか?

カズ:
複数でいると、どうしても楽しませようとしちゃうのが出てしまう。若干疲れるところはあったりします。やっぱ1人か2人ぐらいが一番自然体なのかなと思います。

qbc:
家族や恋人や親友、近しい人から言われる性格ってあります?

カズ:
気分屋で、計画しないとはよく言われます。旅行とかも急に明日行こうとか、そういうレベルだし。それは、久しぶりに会った後輩に言われましたね。今年、後輩がアポなしで海士町に来たんですよ。で、お前予約ぐらいしろよって言ったら、「カズくんに育てられた遊び方がこういう感じですよ」って言われて。確かに、計画して遊びにはいかなかったねって。そういえばそうだなって。

時間が嫌いです。都会、本土とかって、電車とかバスじゃないですか。時間に決められてるのがすごい嫌で。基本、車行動ばっかりでしたね。

qbc:
好きな食べ物はなんですか?

カズ:
カツカレーですね。

qbc:
一番自分が得意だなって思う料理ってなんでしょう?

カズ:
カツに合うカレーを作ることですかね。あるじゃないですか、いろいろ。スパイスカレーとか、バターチキンとかあるんですけど。やっぱソースっぽいっていうか、もう揚げ物に合わせたようなカレーみたいな。結局レトルトっぽくなっちゃうんすけど。あれが究極に、多分、揚げ物に合う味なんだなっていうのは、最近思いました。

qbc:
カツカレー、お店で出るんですか?

カズ:
たまに、ライブイベントのときとかね、カツカレーのときはそういう味にしてます。

qbc:
なるほど。ライブ飯としてですか?

カズ:
そうですね、ライブ飯として。今日はうな丼だったかな。

qbc:
特別メニューなんですか。

カズ:
そうですね。日替わりで。

過去:溶接とローストポークは一緒だと思うんです。あとは硬いか柔らかいかですね。

qbc:
子どもの頃って、どんな子どもでした?

カズ:
子どもの頃は、本当肌が弱くて。今もなんですけど。それで、そういう肌を強くするっていう意味も込めて、親が毎週海とか川で、自然に触れ合わせることをしてくれて。本当、ちっちゃい頃から釣りとか、磯遊びとかずっとしてて。基本、裸足で走り回ってるイメージ。よく先生とかにも怒られて。上履きを履かないから危ないっていう。それでも裸足でしたね。

qbc:
どんな遊びをしてました?

カズ:
遊びとかは、学校帰りにミカン取って食べたりとか。あとザリガニ取ったりとか。1回、水筒にザリガニ入れて帰って、怒られましたね。魚、ドジョウとかザリガニを取って帰ったり、クワガタとか取りに行ったりとかを学校帰りにやってたんで、よく遅くなって怒られたりもしました。

qbc:
生まれ育ったところの風景ってどんな感じですか?

カズ:
基本、住宅地がバーッてあって、学校の周りはもう本当に畑。葡萄畑と、田んぼとか畑ばっかりで。小学校は山に登ってくって感じでした。なので、帰り道に寄り道がいっぱいできるっていう。中学校はもう目の前にあったんで、歩いて1分ぐらい。

qbc:
この頃、人間関係とか性格とかどんな感じでした?

カズ:
人間関係はどっちかって言ったら群れてるタイプの、グループを作りたがるタイプだったので。大勢で遊んで、大勢で何かやってとか、そういうのが好きなタイプ。今も結構そうなんですけど。やっぱり人と集まってワイワイするのも好きで。将来も、そういうたまり場を作りたいなっていうのが夢ですね。

qbc:
高校はどうでしたか?

カズ:
高校は、もう中学校の延長で、ずっともうバスケばっかりでした。本当は高校生になってバイトして、いっぱいブランドの財布買ったりとか遊ぼうっていうのが夢で、ちょっと緩いとこに入ったつもりだったんですけど。先生が変わってて、すごい厳しい練習で、最初は1年生の部員が50人ぐらいいたんですけど、結局残ったのが5人。そこまで減りました。

qbc:
50人?

カズ:
50人から5人って、もう本当に試合出れるギリギリの人数まで削られてるから、常にフル出場っていう感じで。でも、おかげでだいぶ、忍耐力とか考え方とか、人として育てられたという気はします。

バスケ部はひたすら厳しかったですね。学校生活からもうずっと見られてるし、ふざけたりすると、逐一いろんな先生に報告されるんですよ。呼び出されて、大体怒られると。そこで正されましたね。中学校からのダラけた自分が。

qbc:
バスケ部を辞めなかった理由は何でしょう?

カズ:
中学校で、この試合で勝ったら県大会っていうとこまで上がったんですけど。結局その試合で僕は退場して、逆転されて負けちゃったんですよ。それが未だに悔しくて。次は県大会に行くっていう、強い気持ちがあったんですよね。

それで、この人なら連れて行けるって思って、辞めなかったですね。本当だったら軽くバイトして、ぐらいだったんですけど。先生を見て、この人なら県大会行きたいと思って。で、やりましたね。やり通したろうと思いました。あとは純粋にバスケが好きだったということですね。

qbc:
バスケのどんなところが好きですか?

カズ:
まず、暇がないところ。それから駆け引き。常に相手と駆け引きやってるんで。どっちかって言ったら僕、ディフェンスが好きなんですよね。相手が自分の持ってる技を出してくるんですけど、それを全部塞いで、最後ブロックか、オフェンスのファウル。押されて、相手のコースを塞いで押されるとファウル取れるんすけど、オフェンスファウルをとった時とか、快感で。あとはパスカットですかね。

qbc:
なるほど。

カズ:
多分そこは、スピアフィッシングに繋がると思うんですよ。気づいてないふりして、ずっと見てるみたいな感じ。そこでも魚の方がやっぱ勘が良くて、気づきますね。人は意外と気づかないですけど、魚はちょっと横目でも見ると、視線を感じるんすよ。

qbc:
高校の時のバスケ部の、大会の結果はどうでしたか?

カズ:
結果は、同じでしたね。この試合勝ったら県大会、ってとこで。キャプテンだけ、それが諦めきれずに、引退せずにウインターカップまで残って、最後は県大会に行ったんですけど。僕は、県大会行っちゃいけない人なのかなと思いましたね。

qbc:
高校のあと、進路進学はどうされたんですか?

カズ:
いろいろ迷って。勉強したくないってのがあって。最初は何か養殖業をやるとか、いろいろ言ってたんですけど。いざ見学させてもらったら、全然理想と違って。費用がすごいかかるのと、リスクしかないっていう。割に合わないからやめとけっていうのを、その養殖やられてる方にも言われて。「実家とかで、よっぽど継がないといけないっていう状況じゃない限りはおすすめしない」って言われたんですよね。それで、じゃあやめようって。結構、軽い感じだったんで。

そのとき、小中高で一緒だった親友みたいなやつがいたんですけど、「ここ行く」っていうので、オープンキャンパスに行ったら、自己推薦で受験免除らしいよみたいな。そこ行こうって、どういうとこかもよく知らず入ったんですけど、自動車の整備の短期大学で。車も好きだし、ちょうど良かったかなと思って。いざ就職ってなったときに、いろんな企業の説明があったんですけど。これ車嫌いになりそうと思って。趣味でいいやっていうので、やめましたけど。

それで、二十歳ぐらいでフラフラ遊んでて。毎日クラブ行ったりとか、学校行かずにずっと遊んでたんですけど。そこで地元の先輩に久しぶりに会って、「暇ならうち来いよ」っていうので、そっから溶接業に入ることになって、ずっとお世話になってました。

qbc:
家族からはどのように育てられたと思いますか?

カズ:
もうずっと、かばい続けられたっていうか。自分のケツをずっと拭ってくれた存在なんですかね。基本、小学校とかも喧嘩とかばっかだったんで、相手の親に謝りに行ったりとか。中学の方はほんとバスケで怪我ばっかりで、大体病院に呼ばれたりですかね。高校は高校で、停学になったりとか、いろいろしたり。

あとは、飲酒して、僕が泡吹いて、急性アルコール中毒みたいになって。まあ未成年だったんで、親が呼ばれて。親が担いで帰ったみたいなことを。そういう感じの、かばいっぱなしの人生だった。

qbc:
10代のときにした、一番悪いことってなんですか? 言える範囲で。

カズ:
言える範囲。×××××。

qbc:
(笑)。ちなみに海士町に行くって決めたとき、お母さんはどうされたんですか? 一緒に移住ツアーに行かれてたんですよね。

カズ:
そうですね。一緒にツアーに行って、僕は移住したいってなって、「ばあちゃん1人にはできないから私戻る」って言って、今まだ実家にいるんですけど。いつかおばあちゃんと、陸繋ぎの田舎に移住したいとは言ってて。僕はもうこっちにいるんで、島根県の近くがいいかなみたいな。

田舎に移住したいっていうのは諦めてないみたいで。あとはおばあちゃんの説得ですね。地元の方がやっぱ友達とかいるから、今さら友達を新しく作りたくないっていうのがあるみたいで。それで、ずっと今実家にいるっていう感じですね。

qbc:
海士町での印象的なお話とかあります?

カズ:
印象的だったのは、やっぱり綱引き大会ですかね。思ってた綱引きと違って、本当に競技の綱引きで。みんながそれぞれ作戦だったり、引き方がやっぱチームで違って。練習とか、体作りからしてる人たちもいて。

当日の朝、計量があるんですよ。それがびっくりして、体重制限がちゃんとあって。審判も、本土から来てて、公式の人が。しっかり、もう雰囲気が張り詰めたような空気になって始まるっていうか。感動して、自分もその場に立ちたいって思えるぐらい。すごい勝負してる感があります。

そこからの、打ち上げの飲み会がもう、本当に楽しい。っていうか、いろいろ反省点とか言いながらも、結局これがしたいから頑張ってるんだよなっていうのも思わせられる、飲み会になるんですよね。飲み会ありきの綱引き大会、全てひっくるめて衝撃でしたね。

qbc:
何人対何人で、綱を引くんです?

カズ:
8人ですね。8人で、体重の合計が600キロ。平均が75キロ体重、それも階級があるみたいで。階級はちょっと忘れちゃいましたけど、海士が取り入れてるのがあるみたいです。

qbc:
今は、その競技選手になってるんですか?

カズ:
僕らはそうですね、颯と僕らでみんなでチーム作って。飲み会で楽しくなるメンバーでやりたいねっていうので。地区で出ても全然面白いんですけど、ちょっと自分らで勝ってみたいなって。去年から作って、2年目です。

※颯さん
https://note.com/unknowninterview/n/n27500926cc33

qbc:
成績はいかがですか?

カズ:
残念ながらまだ0勝なんですよ。なんで1回は勝ちたいっていう。今年こそは、という思いで練習はしてますね。

qbc:
強いチームっていうのは、何が強いんですか?

カズ:
動かないです。引っ張っても。

qbc:
なるほど。

カズ:
もうひたすら動かない。強い耐久力。あと、攻め際をわかってる。気づいたら、もう足並み揃えて引っ張ってくるんで。全員の力がちゃんと乗った力で引っ張られるんですよ。だから本当に、どうしようもないって思うぐらいの感覚ですね。多分、弱いチームと強いチームが当たると、本当そうなりますね。何もできないです。

qbc:
これって年齢かパワーか、何が重要なんですか?

カズ:
経験だと思いますよ。やっぱり、おじさんたちが強いですね。意外と。

qbc:
何歳ぐらいの?

カズ:
40代50代ぐらいですか。

qbc:
へー。なるほど。

カズ:
やっぱり多分、ちょっと中年太りとかで、体重が重いのもあると思うんですけど。あとは、根性はやっぱ違いますね。
根性と、あとは経験値で、やっぱ引けるときに引いてくるって感じで。駆け引きがすごい。ベテランだなっていうのはありますね。

qbc:
自分の人生にターニングポイントを置くとしたら、どのくらい置けますかね?

カズ:
今んとこ3ヶ所ぐらいですかね。

qbc:
どこですかね?

カズ:
高校で、バスケ部に入ったこと。それと、クラブに行って先輩に出会ったことですかね。そこで物作りの楽しさっていうか、自分そういうのが好きなんだっていう、作ることが好きってのは気づいて。前の仕事も、結構楽しんでやってました。

で、最後は海士町に来たこと。料理は、最終的に定年してからしようと思ってたんですよ。趣味ぐらいで。それが今もう、早送りでやってるっていうのがあるんで。

qbc:
なんで料理をすることになったんですかね?

カズ:
元々ここで手伝うってなったときに、働くなら料理もやっていくかっていうことで、料理もさしていただいてっていう感じで。
だから最初は皿洗いと接客、ドリンクやったりとかホールだったんですけど、それがだんだん中に入るようになって。今は料理がメインになってるって感じですかね。

qbc:
料理は、楽しいか楽しくないかで言うと、どうです?

カズ:
料理はやってて楽しいっすね。これ作ってみようみたいな好奇心から、料理名はないけど、それっぽいのを作ったりとか。あとは盛り付けとかでも、思った通りに綺麗に盛れたりとか、意外とこれいいのかなと思って盛ったら微妙だな、どうしよっかなってなったり。
他の人から見たらどうかわかんないすけど、パズルみたいな組み合わせで、ぴったし来たとき、自分の中の思い通りになった感じ、あれが結構気持ちいいっすね。

qbc:
料理は、過去の自分と似ている要素ってありますか?

カズ:
溶接と、料理は、自分の中ではいろいろ共通点があると思います、溶接面が綺麗にピタッと行くときが。
温度・湿度とかで溶接の溶け具合とかも違うんですけど、鉄と鉄が。あと、中までしっかり溶け込んで、1枚の鉄になってるのかって実際わからないんですけど。それってやっぱ、低温調理のローストポークとか、あれって切ってみないと中が火が通ってるかわかんないんですよね。あの感覚ですかね、火が通ってるかっていう。溶接とローストポークは一緒だと思うんです。あとは硬いか柔らかいかですね。

qbc:
材質の違いってことですね。

カズ:
ですね。

未来:最期は、生きてければいいかなぐらいの儲けで、みんなが勝手に集まってくるような場所を作りたいんですね。飲食店として。プレハブとか、ああいうちょっと小汚い感じが、自分の中で好きなんで。おしゃれとかよりは、ふらっと入りやすいとこがいいです。

qbc:
今後、5年10年20年30年、死ぬっていうところまで、未来はどんなイメージですか?

カズ:
最期は、生きてければいいかなぐらいの儲けで、みんなが勝手に集まってくるような場所を作りたいんですね。飲食店として。プレハブとか、ああいうちょっと小汚い感じが、自分の中で好きなんで。おしゃれとかよりは、ふらっと入りやすいとこがいいです。

qbc:
その場所は、どこで作りたいですか?

カズ:
どこなんすかね。ただここにはお世話になってるんで、海士町は盛り上げたいなとは思ってます。なので、今は海士になるんですかね。海士のどこか、場所が空いてたら。もし1回出ても、ここには帰ってきたいなとは思ってます。

qbc:
例えば1年間寿命が延びて、休みができたらどうします? その間は年も取らない、好きなことができる、みたいな。

カズ:
そうっすね、南米に行きたいかもしれないです。

qbc:
南米で何をしたいですか?

カズ:
南米の料理を学びたい。あとはスペイン、ポルトガルとかも、行ってはみたいです。おしゃれな料理じゃなくて、本当にみんなで大皿でつつくような、あっち系の料理を覚えたい。本当にお酒に合うような料理。大皿でつつくと、やっぱりみんなワイワイなるんですよね。なんで、そういう賑やかな人たちのもとで食べられてる料理を学びたいなっていう。そこに行ってみたいですね。

qbc:
もしもの未来の質問をしてまして。もしも、海士に来てなかったら、どうなってたと思いますか?

カズ:
海士に来てなかったら、多分病んでたと思います。まず収入がもうなかったんで、借金まみれにもなってたんじゃないですかね。で、多分長続きしない仕事をずっとやってたと思います。

qbc:
その状況じゃなかったら、海士に行かなかったですかね?

カズ:
海士は行かなかったと思います。もうそのまんま、それこそ会社がうまくいってたら、多分あそこほど良い人間関係はそんなになかったと思うんで。本当家族みたいな関わり方だったんで。そのまま多分普通にみんなでワイワイ、毎日飲んで仕事行っての繰り返しで、おじさんになってる。役職ついたかなぐらいの感じじゃないですかね。

qbc:
さっき、時間に決められていることが嫌いとのことでしたけど、何で嫌いなんですかね?

カズ:
多分、気分で動くっていうのから繋がってて。動くにしろ、今じゃないっていうのが自分の中であって。それを、枠に決められてるのが結構苦手っていうのがあって。例えば電車だと、1時7分とかあるじゃないですか。1時に出たいんだよな、みたいな。だけど7分の電車しかないとか。いや、15分に出たいんだけど、7分かみたいな。そういう微妙な誤差、それがすごい嫌いで。

都会だと本当、電車乗らないと酒飲めないっていうのが基本なんで。だから、地元帰ったときとかもう、ほとんどタクシーばっかりになりますね。完全に、そうですね。そうやって考えると、自分の性格、だいぶ自己中ですね。自己中心的だと思う。全部自分のタイミングっていうのはあるんで、自分の中で。だから優しいって言われると、ちょっと違和感があるのかもしれないです。

qbc:
自分の中で、自分で優しいなって思うところはあります?

カズ:
困ってたら、やっぱ助けに行っちゃったりとかはありますね。あとは、見て見ぬふりがあんまりできないとかはあります。

qbc:
海士のことをどう思ってますか?

カズ:
学校みたいな場所ですかね。海士町自体が。なんで、恋愛の噂話とか、すごい回るのが、SNSよりも早いんですよね。噂話とか。みんなと声をかけたり、挨拶だったりとか。やっぱ顔見知りが多いんで、「あのとき何やっとった」とか、結構そういうプライベートがあんまりない感じで。何しててもやっぱ何か聞かれたりとか、声かけたりとか。悪い噂も良い噂も、広まるのは早い。特にやっぱ悪い噂は早いっすね。なんで、やっぱ学校みたいなのかなっていうのがあります。

qbc:
それは、学校というサイズ感の話ですか?

カズ:
っていうか、人間、一人一人の距離感ですかね。

qbc:
その距離感は自分にとって、良いか良くないかで言うとどちらでしょう?

カズ:
僕は割と人が好きなんで、好きですね。だから、ほっといてほしいとか、そういう個人のプライベートをしっかり保とうとする人って、意外と無理かもしれないですよね。離島でゆっくりのんびり1人でいたい、っていう人は、意外と合わないかもしれない。

qbc:
なるほど。逆にそういう場所じゃなかったら、カズさんは海士町に残らなかったですかね?

カズ:
かもしれないですね。それこそなんか田舎なのに、町が死んでないっていうのは、多分人が賑わってるっていうのが、一つの理由だと思うんで。

qbc:
どんなところに町が死んでないなって感じを覚えたんですか?

カズ:
言葉で言うと難しいんですけど、何だろう。みんな、人の雰囲気がどんよりしてないっていうか。町全体的に見たときに、何か明るいなっていうのは思って。イベントとか出てる人とかも、なんか華があるんで。僕はわりと好きな町です。

qbc:
最後に言い残した言葉っていうので、遺言でもいいし、インタビュー振り返っての感想でもいいし、読者や海士町へのメッセージでもいいんですけど、最後にお伺いしております。

カズ:
なんかあるかな。「魚が好きになりました」ですかね。

qbc:
(笑)魚好きじゃなかったんですか?

カズ:
魚、嫌いだったんですよ。

qbc:
ええー。食べれなかったんですか?

カズ:
魚は、釣るのが好きで。食べるのは親とか、人にあげたりとか。こっち来て、アジを食べて。アジがうますぎて、光り物が大っ嫌いだったんですけど、それがもう好きになりました。

qbc:
ありがとうございました。

カズ:
ありがとうございました。

あとがき

無名人インタビューテクニックのひとつに、点と点を線で結ぶっていうのがあるんですよね。人生の中のある点とある点を見比べて、これって似てません? 何か自分の中で関係がありそうじゃないですか?
って聞くんですが。
今回は、
「溶接とローストポークは一緒だと思うんです。あとは硬いか柔らかいかですね」
と、
「パスカットは、スピアフィッシングに繋がると思うんですよ」
が見事にハマってめちゃくちゃ気持ちよかったです!!!!!
ご参加ありがとうございました!!!!!

【インタビュー・あとがき:qbc】

【編集:なずなはな】

#無名人インタビュー #インタビュー #この街がすき #一度は行きたいあの場所 #海士町 #離島 #無名人イン旅ュー #無名人イン旅ューin海士町

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