見出し画像

IT企業が発行する「情報誌」の作り方 その3 | 制作工程編 台割作成・編集・校正・下版

こんにちは。
ユニリタマガジン編集部です。

前回の記事では「IT企業が発行する『情報誌』の作り方 その2 | 編集部の奮闘と挑戦:制作工程編」ということで、私たち編集部が携わっているユニリタマガジン(以下:マガジン)の制作工程について、少し詳しく紹介しました。今回はその続きをご紹介したいと思います。

以下の制作工程の中から、

① 制作予算の確保
② 外注先の選定
③ 企画立案

④ 台割作成
⑤ 編集・校正&校閲・校了・下版
⑥ 発行後の作業

前回の記事では、「③ 企画立案」までをお話しました。

今回は、続編として④台割作成以降の工程についてお話します。




④ 台割作成

台割は、マガジンのページごとの配置を示す重要なステップです。これは③ 企画立案で決めたテーマを実際の紙面にどのように表現するか、ページの構成やデザインの骨格を確立するために行われます。台割を作成する際に考慮するべき要素としてはは、ページ構成から、イメージ写真や図版、図表の配置、見出しやキャプションの位置などがあります。

マガジン編集部のメンバーと緊密に連携し、読者にわかりやすく、社員が説明しやすい魅力的なページレイアウトを検討しています。

他にも考慮すべき重要な要素があります。それは原稿の執筆者です。
いかに魅力あるテーマを決めることができても、実際に記事の原稿を執筆する人がいなければ成立しません。そのため、テーマを決め、内容を検討しつつ、社内に適任者がいるかどうかを含めて検討します。

そして、その執筆候補者にも通常の業務がありますので、事前にスケジュール調整などのネゴをしておく必要があります。
社内に適任者がいない場合は、編集部内で原稿を執筆したり、場合によっては外部ライターに執筆を依頼することもあります。

さらに、ユニリタでは編集部の台割案をマネジメント層に提出し、テーマと台割の説明し承認を得てから、実際の制作に進みます。そのため、提出する台割資料は、ラフな台割のほかに実際の紙面イメージがわかるように、レイアウトサンプルも添付します。

実際の台割資料とレイアウトサンプルをご覧いただきましょう。

台割資料
レイアウトサンプル

ご覧のように、ユニリタの台割資料はいたってシンプルです。台割というよりどちらかというと、ページ構成表のような意味合いが強いかもしれません。
そのかわり、各ページのレイアウトサンプルをつけ、おおよそのデザイン案を把握できるようにしています。レイアウトサンプルの作成にはかなりの工数がかかりますが、多忙なマネジメント層に台割とそのレイアウトを理解していただくには、こちらの対応がよいと考えています。

ただし、実際の原稿は文字数や図版の構成なども変化するので、最終的にできあがったレイアウト稿がレイアウトサンプルと大きく異なっているということはしばしば発生します(笑)。

そして、この台割資料をマネジメント層に説明し承認をいただく役目はマガジン編集長の大きな役割の1つになっています。

「編集長、いつもありがとうございます! この場を借りてお礼申し上げます!」


⑤ 編集・校正&校閲・校了・下版

台割が承認されたら、台割の工程で検討した執筆者に正式に執筆を依頼し、原稿の執筆・収集する作業に移ります。

その際には、ユニリタ社内のトーンアンドマナー(以下:トンマナ)や、執筆の要点などをまとめたガイドブックを展開し、品質の標準化をはかる試みも行っています。

そして実際に提出された初稿をもとに、必要な編集や校正&校閲を行います。とはいえ、人が書く文章には個性がありますし、ユニリタのトンマナを把握している社員も多くはないので、実際に提出される文章は本当に千差万別です。それぞれの原稿間で表現の揺れなどを修正し、ある程度統一感のある文章に修正する必要があります。

そのため編集・校正&校閲の作業は特に工数をかけ慎重に行っています。誤植や問題のある表現などがないか、以下のように複数の工程と複数の人による多重チェックを実施しています。

1.初稿チェック
提出された原稿に対し、トンマナや誤植、文章の修正など一次チェックを実施

2.機械校正
校正ツールや、校正サービスなど複数のアプリによる機械校正を実施

3.マーケチェック
機械校正をかけた原稿をマーケ内で2次チェックし2校を作成

4.執筆者チェック
執筆者に2校を戻し、修正内容をチェックし、執筆者の意向とズレが生じていないか確認

5.レイアウト稿の作成
2校が戻った3校に対して、外部の制作会社にレイアウト稿の作成を依頼

6.広報チェック
戻ったレイアウト校に対して、広報に校正&校閲を依頼

7.編集部チェック
レイアウト稿に対して、編集部内で内容のチェック。主に読者に対してのわかりやすさや、社員(特にセールスメンバー)が説明しやすいか、ほかに改善点はないかという観点で原稿を確認

8.マーケ最終校正
上記の校正を受けた最終確認稿に対し、複数のマーケメンバーにより最終校正を実施

9.確定稿チェック
上記の工程を終えた確定稿を最終的に執筆者に戻し最後の確認を実施

10.校了
チェックが完了した確定稿に対し、マーケ内での最終的な確認をもって校了

11.下版
校了した原稿を印刷業者に入稿

上記のような編集・校正&校閲の工程を通じて、マガジンの記事品質を維持し向上させています。これらの工程は非常に大きな工数がかかりますが、PDFやGoogle ドキュメントなどの共有機能などを駆使して、複数の工程を同時に進行させることで工数の効率化を図り、工数削減に努めています。

校正&校閲作業は何よりも、多くの人の目で何度も確認することが鍵となります。校正・校閲に協力していただいている社員には、本当に感謝しています。社員の協力のおかげで、品質の高いコンテンツを提供することができていると思っています。

このような工程を経て、校了・下版と進み制作工程が終わります。
下版作業も現在では、ネットを経由した入稿が主流となっており、色稿的な印刷イメージもネットから確認できます。ただ、組版や塗り足し、印刷領域のズレなど、入稿をミスしてしまう可能性もありますので、この入稿作業も複数人のチェックをして、ミスを防止しています。

素人デザイナーから制作のエキスパートへ

話は変わりますが、5.レイアウト稿の作成に関しては、以前はこの作業も内製で行っていました。社内にデザイナーの役割をもつメンバーがいて、専用のツール(Adobe製品)を使って、レイアウト稿を作成していました。過去には私もこの業務を担当しており、当時の原稿を改めてみると、素人くさいデザインだなぁと恥ずかしくなります。
現在も、過去のマガジンには私がデザインを手がけたものがeBookとして残っていますが、具体的な号数については言及しないでおきましょう(笑)。

マガジンを毎月発行していた頃は、スケジュールも非常にハードで、内製で雑誌を制作することの大変さを身をもって痛感しました。当時はデザイナーとしてレイアウト稿の制作に専念していたため、企画や台割作成などにはあまり関与していませんでした。そのような多くのタスクを同時にこなすことは、正直に言って無理があったと思います。

しかし、その経験は私にとって非常に貴重なものでした。デザインを学び、細部にこだわる重要性を理解する機会となりました。制作物の目的や対象者(ターゲット)を明確にし、目的を最大化するためのデザインを追求するという姿勢を身につけることができました。こうしたデザイナーとしての経験が、現在のマガジン制作にも大いに役立っています。

現在は、外部の制作会社に制作を依頼しているおかげで、マガジンの品質が向上しより魅力的なコンテンツを提供できるようになりました。そして、企画や制作の上流工程に集中し、より効率的に業務を遂行できるようになりました。


今回も、話が長くなってしまいました。ちょうど制作工程の説明が終わり、キリもよいのでここまでとさせていただきます。

次回は、最後の工程、「⑥ 発行後の作業」に焦点をあててお伝えします。
制作工程はもちろん大事なのですが、実はこの「発行後の作業」が特に重要な要素になります。
せっかく労力をかけて制作したマガジンを、少しでも多くの人に見てもらう、読んでもらうためにいろいろと手を尽くしています。なかなか成果や実績につながらないこともありますが、地道な努力が必要です。そんな日々の取り組みを紹介したいと思います。

ぜひご期待ください。

マガジンの制作工程に関するご質問やご意見、そして記事についての感想や応援のメッセージなど、どんなフィードバックも大歓迎です!
皆さまのコメントをお待ちしています!

前回の記事はこちら

● IT企業が発行する「情報誌」の作り方 制作の舞台裏、お話しします!!
● IT企業が発行する「情報誌」の作り方 その2 | 編集部の奮闘と挑戦:制作工程編


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?