「波の向こうにはねこの国があるんだって」 「どこで聞いたんだそんな眉唾」 わりとマジな顔…
薔薇にはとげがある。 それは我々に、きれいなものにはとげがあるという言説を抱かせる代…
ヤギがこちらを見ている。 ただ、この一言に尽きる、そんな現在である。 書いていてな…
ああ、空にまします月よ、夜天をあまねく照らす月よ! ということで今回ご紹介しますのは…
早まるなそこにわたしはいないしさ竜宮なんてものもないから /拙作『タブラ・ラサには戻…
読書好き、とは果たしてなんであろう。 況やわたしのことであるが、この頃よくそのことに…
わたしはたいへん頑張っていた。過去作を引っ張りだしまくって「それちょっとズルじゃね?」…
ズ、ザ。砂を足裏で撫ぜるようにして歩く。 小高い丘の向こうには街がある。遠目で見ても…
「バレンタインだって」 「なんだってそんなことを」 「ね」 「そもそも……」 「だよねえ。な…
わたしは文学をやりたかった。あの時代の滔々とした語りのような文章をやりたかった。彼らは…
我が家のすぐ近くには寺がない。氏神であるという神社が一社、すこし歩いたところに在るばか…
四、五年前にぽつぽつ呟いていたポエム擬きです。140字あるかないかなのでとても短い。 読み返…
「こんな無念な状態で、彼に会うことはできないんです」 私は連続二週間が昨日の日付で終わ…
もうすぐ夏が来る。来てしまう。 そうやってなんだか今から憂鬱になってしまうのは、まあ…
朝焼けをのぞむとき、私たちは。 * 苦しまないように、と祈るのが愛だった。 少なく…