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穏やかな日常と浮游した感情を紡ぐ あんでと読みます。 活動記録や趣味で物語、エッセイ…

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穏やかな日常と浮游した感情を紡ぐ あんでと読みます。 活動記録や趣味で物語、エッセイを書いています。

マガジン

  • 羊と汽笛

最近の記事

製作意義と今後

この数ヶ月、都会で培った様々なことをあえて削ぎ落として本当に必要なものだけを見つめなおすために環境を変えて過ごしていました。 手の中に残るものに優しくしてあげること 浅はかな優しさはかえって寂しさを与えてしまうこと 様々なことを思いながら、私が元来大事にしていたことを強く考えるようになった。 ー 人だけでなく目に見えるものすべてに意思と命があること、言葉を持たないものと会話をして、想いを拾い上げてあげること ー 言葉を発する人、こうするべき、と声を上げる人には私で

    • #6 ゆく河の流れ

      2011年3月4日    紙袋の中に大量のお菓子を抱え、私は学校へ向かう。卒業式予行、退屈な時間の中で隣に座る万智がよく話しかけてきた。気づいていないようだがどんな時でも声のヴォリュームが変わらない。良くも悪くもそんなところが面白くて好きなのだが、ちょっと目立っているよ・・・。と思っていると斜め後ろの方からも一際声の大きい人がなにやらお喋りしている。声を聞けば一瞬でわかる、樋口くんだった。樋口くんもまた気にせず喋り続けていた。似たもの同士だな、と思いながら2人の声を聞いている

      • #5 倚門の望

           文化祭も終わり、部活に明け暮れた万智や木村たちも引退してしまい、もう全員が受験だけになってしまった。木村は同じクラスの友人と学校の近くにあるAEONの系列であるイオニス塾に入り、ステータスだといってキャリングケースを毎日持ち歩き、楽しそうに受験勉強をしているのが、小さい頃から野球漬けだった日々を見てきた私には新しい趣味のように思えて安心していた。  そんな自分はこの夏で全てが決まると言われた夏に祖父を亡くし、初めて人の最期を看取ったあと、喪失感と後悔に感情が押し潰され、

        • pros and cons

          大きな愛を持った羊飼いの彼女は 赤い愛だけでなく白い愛も大きく 狼の皮を被った羊をも 彼女の前ではただの羊になり 取り繕うことなく優しくなっていた 愛には様々な種類があっていい。聖母のような愛を与えてあげることも時には必要で、自己犠牲だと思ったことはなかった。さまざまな場所を一緒に歩いた。日本の色んな景色を横で眺めた。周りの人はみな、怪しむことなく私たちをみている。私が横に居る時は、肩の力を抜いているような気がして、何をされても可愛く思えた。ただそれは私にとって優し

        製作意義と今後

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        • 羊と汽笛
          7本

        記事

          #4 夏の果て

              明るい声とともに颯爽とやってきたのは樋口くんだった。万智から名前を教わった時、何故か知っているような感覚を覚えていた。彼が校内でも顔が広く人気もあり、部活動や万智との関わりを通じて時々話しかけられていたが、彼もまた、このコンテストに出るようで、この講堂にいた。こんな所で私に話しかけないでよ・・・。と思っていたが、樋口くんはその後意外にも 「おー!優も出るの!?」と優くんに親しげに話しかけていた。わたしは 「2人、ともだちなんだねぇ」と不思議そうに聞くと、 「小学校が一

          #4 夏の果て

          #3 雪と墨

              はじまりは唐突に。木村に思いがけぬ声をかけられ、私は状況が理解できないまま一拍空けて、わかった。と返事をした。なぜ私なのだろう、もっと上手にできる子いるはずなのに・・・。校則でメイクをしたらいけないことにはなっていたが、している女子なんてたくさんいる。その中で私は整える程度で、毎日しているわけでもなく、そんな私が男子を女子に変えられる程の技量があるとは到底思えなかったけれど、服装などのスタイリングなども任されたことにより、やってみようという気持ちになれた。百合と時々万

          #3 雪と墨

          #2 縁は異なもの味なもの

             季節は春めき、様々な心のありようを胸に秘めたまま、とうとう最終学年になってしまった。クラスも教室も担任も変わらずであったが、大きく周りの環境が変化していた。愛衣と七海、そしてことこが別のクラスになり、百合と一緒になった。出席番号の順番で前には万智、斜め前に百合がいることにキャッキャとしていた私はその時まだ、何かが少しずつ変わろうとしていた事に気づいていなかった。 普段から陽気な担任が、ここぞとばかりに張り切って出席を取っている。2年目となると、担任もそれぞれの人となりに

          #2 縁は異なもの味なもの

          #1 乗り掛かった舟

             17歳の春、指で言葉を追っていただけの人との邂逅が、後の自分にとってありふれた日常も、訪れる煩わしい事柄も全てが例外なくいとおしく、それでいて年輪を重ねながらも中心のない、空洞化した愛すらも特別なものになろうとはその時まだ、想像していなかった。    2008年春、つばめきたる日に高校へ進学した。姉と同じ国際高校に行くことを諦め、東京の郊外に隣接する祖父母の住む町にある高校を選んだ。中高一貫のキリスト教系の学校だったが、冬に参加した礼拝で聴いた女性の歌声に惹かれ、賛美

          #1 乗り掛かった舟

          はじめに

          わたしと君は確かに存在していた すべてが嘘のようで いつまでも続く白昼夢のよう ちいさな灯りを絶やすことなく守りぬいてきた だからこそ、この混沌とした世界で ただ赦してほしい 「真夜中に、ニューヨークのマンハッタンのホテルでダンサーの女と、失業中の男が(避けられない理由で)朝まで一緒にすごさねばならないとしたら、共に寝るかーあるいはお互いのなかの共有物を教えてあげて、「二人でいる」のを、あたかも一人でいるように思いこむしかないだろう。身の上話、思い出の故郷、そして

          はじめに

          自己紹介

          初めまして、undaeと申します。 読み方は -あんで- と読みます。 この名前の由来は数年前、 初めてお会いした人に "アンデルセン物語に出てきそうだね。" と言われたことがきっかけで、 私のことを「あんで」と呼んでくれていた事がありました。 今はその友人とはもう会うことはなくなってしまったけれど いつまでも、これからも、つづく日々で出会う はじめましての人たちに 穏やかで、柔く、優しく、 まっすぐ、そして澄んだ眼差しを 届けられたら、、、という想い

          自己紹介