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セミが手土産も持たずに部屋に入ってきたんだが②|便秘女のクソデカ独り言

セミが手土産も持たずに部屋に入ってきたんだが①では、セミが夜遅くに部屋に入ってきた経緯と、害虫駆除業者にセミ捕獲の依頼をしたエピソードを書きました。
2人の屈強な男性(勇者)が、虫あみとゴキジェットを持って現れたその姿は、頼もしくてカッコよくて、後光が差していました。
私の目には、勇者フィルターがかかっていたのです。

開口一番、勇者は私に尋ねます。
「部屋の中でもセミ鳴きますか?」

生まれて初めて、このタイプの質問を受け、私はとても動揺しました。
セミは部屋で鳴くのか鳴かないのか問題。

知らんがな!
いや、知りたくもないわ!

と叫びそうになりましたが、私は必死に理性を保ちます。
そういえば、この1時間、セミのいるキッチンはとても静かでした。
非常に戸惑いながら、私はおそるおそる答えます。「あ、えっと鳴いてないです」

勇者は達観した笑顔で「じゃあメスですね」といい放ち、「オスは求愛行動で鳴くんですよ」と続けて言いました。

セミについて、知りたくもない情報を丁寧に教えて頂き複雑な気持ちのまま、「たぶん冷蔵庫付近にいると思うんですけど」と伝え、あとは2人に全てを託し、キッチンと寝室を隔てる扉を閉めました。

虫あみとゴキジェットで武装した勇者2人を、私は無条件に信じ、部屋の平和を待つ村人の気持ちです。2人の功績を称える石碑を建てる準備もしなくては。

すると、こんな会話のやりとりが聞こえてきます。
「セミ見つけたぞ!冷蔵庫の後ろだ」
「え、これ本当にセミなの?」

怖すぎます。そもそもセミが部屋にいるという事実だけでも嫌なのに、セミじゃなかったらもっと嫌だから、セミであることを切に願います。こんな願いは狂っています。どうかセミであってくれだなんて。

また会話が聞こえてきます。
「お、セミ死んでる」
「いやいや、死んでない」

またまた怖いです。そういうやりとりやめてもらえる?私の部屋が墓場にされるのも嫌だし、居心地よく、7日間暮らそうとするのも図々しくて嫌です。住むなら家賃についてもセミと話し合わねばなりません。

その直後、ジリジリバタバタと騒がしい羽音がして、セミは無事に虫あみに収まりました。

何度もお礼を言い、お支払いしようとしたところ、
「セミの忌避剤使いますか?別料金になりますが」
と勇者から営業をかけられました。

一瞬誘惑に負けそうになりましたが、おそらくセミは、今回たまたま入ってきただけですし、勇者2人の石碑を建てるとなると、ここで無駄使いはできないので断りました。

セミ事件が起きてから、玄関ドアを開閉する度に、不安になります。絶対に聞きたくない言葉があるんです。

「あの時助けて頂いたセミです」


いかがでしたか☕️

私のページに立ち寄ってくださる皆さま、ぜひご自分の大好きな飲み物と、お気に入りのおやつを口いっぱいに頬張りながら、これからも言葉遊びを楽しんでいってください。おやつには致死量の砂糖を使うのがお勧めです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。


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