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#2 うなぎの寝床という、九州ちくごのものづくりを発信するローカル拠点型アンテナショップを立ち上げた理由と背景、そして、地域のものづくりにおける役割とは?

うなぎの寝床は、九州ちくごのものづくりを伝えるアンテナショップとしてスタートしました。行政ではなく完全民間による運営です。アンテナショップというと、東京に地方の行政が出展するという形態が主流ですが、僕らは作り手がたくさんいる地域に、その地域の物がみれる場所をつくるというローカル拠点型アンテナショップを2012年7月にオープンしました。それは、あまりにも地域で、地域のものづくりが知られていなかったり、素晴らしい資源や人がいるのに、伝わっていなかったりする現実がそこにあったからです。僕らは、その問題を解決するための拠点として物を仲介としたコミュニケーション拠点、アンテナショップうなぎの寝床をオープンしました。それまでの経緯をお伝えしようと思います。

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目次
1. 大学を卒業して、地域と関わるきっかけ。
デザインの活動が新聞に掲載されとあるプロジェクトに拾われる。

2. 九州ちくご元気計画とは何か?24歳、お金や仕事、社会を学びながら。
地域事業者と専門家をマッチングさせ勉強会を開催しまくる。

3.good desgin賞の日本商工会議所会頭賞も受賞した
九州ちくご元気計画の実績と実例の紹介
- 事例:筒井玩具花火製造所

4. 東京や大阪などの都市では物が買えるが、地域では買えない。
地方に地方の物を紹介し、伝えるアンテナショップの必要性を感じる。

5. 都市部ではできない、地域の作り手との関わり方
EC(通販)などのITはフルに使うが、作り手とは物理的な距離感を大事に。
- 5-1. 物を仕入れる範囲の設定
- 5-1. 都市部のお店の場合
- 5-2.うなぎの寝床の場合

6.福岡県八女市の例はコンセプトモデルであり、ケーススタディである。
他の地域でも応用可能だと考えている

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1.
大学を卒業して、地域と関わるきっかけ。
デザインの活動が新聞に掲載されとあるプロジェクトに拾われる。

大学を卒業し、就職せずに今のパートナーでもあるハルと学校の友人と3人で、デザインなどの仕事(仕事と呼べるようなレベルではありませんでした)を久留米で行なっていました。23歳の時です。飲食店のパッケージデザインの仕事をさせてもって、それを若者ががんばってる!ということで、地元新聞である西日本新聞の地域版に取材されて掲載されたのを、福岡県庁の職員の方が見てくれて「九州ちくご元気計画」というプロジェクトに誘ってくれました。

当時は「九州ちくご元気計画」なんてたいそうな名前なんてついておらず「半年後くらいに、面白い事業やるから、空けといてね!」という詐欺みたいな口約束をもとに、僕は不安を抱えながら、その日を待っていました。そして、プロデューサーであるBunboの江副直樹氏と、スタッフ数名でプロジェクトチームが立ち上がり、今も忘れもしません、初出勤日は2009年の8月3日。そう、僕の24歳の誕生日です。晴れて僕は社会人1年目を迎えることになりました。

2.
九州ちくご元気計画とは何か?24歳、お金や仕事、社会を学びながら。
地域事業者と専門家をマッチングさせ勉強会を開催しまくる。

この事業はなんなのか?厚生労働省が地域で雇用を増やしましょう。という目的で生まれた事業です。しかし、雇用を創出しましょうと言っても、商売繁盛を促さないと、雇用なんて生まれないだろう。という解釈のもとに、基本的なスキルを向上させるためのブログ講座や、マナー講座、ビジネス基本講座などのベースを元に、農業・工業・商業とジャンル関係なく、地域事業者のためのブランディングや商品開発、または経営的な支援という側面での勉強会を開催しまくるという事業です。

僕は推進員として参加し、建築家や料理家。コンサルの方やデザイナー、あらゆる専門家と、地域事業者をマッチングさせて、勉強会を開催しまくるという役割を担っていました。やることは、地域事業者にひたすら話を聞いて、問題点を洗い出し、どういう能力を持った講師を選定した方がいいか、プロデューサーとともに議論をし、選定したら、研究会を発足し、開催し続けるという役割です。

世の中のことを全くしらなかった24歳。
地域事業者に教えてもらいながら、社会を学ぶ。

事業が開始すると、まだ大学を卒業したてのペーペーです。社会のこともわからないのに、僕とハルは「こうした方がいいんじゃないですかね?」とか「このデザイナーを入れて、パッケージを変えたらうまくいくのでは?」とか思ったことを言っていました。今思えば、短絡的な側面も多く、事業者の方々には多分「なんだこの若者が何をわかるんだ?」と思われていたと思うし「お前らは社会とかお金のことわかっとらん。」と言われたこともありました。今思えば、実際そうだし、愛あるなーと思います。今の僕が若者にそんなこと言えるだろうか。と考えさせられます。

そこからは、なんとなく考え方が切り替わり黒子に徹しながら、地域事業者の話をじっくり聴き、また専門家の話もきき、あまり主張することはせずに、観察と調整の日々が続きます。もちろん、全く考えていなかったことはなくて、自分の中ではフツフツと「こうしたらいいんじゃないか?」「こっちの方がいいんじゃないか?」と意見はたくさんあったのですが、僕は事業者でもなく、専門家でもないので、意見は求められたら言うけど、控えてはいました。

実際、とてもいいパッケージや提案が行われても、作り手がそれを使いこなせるシステムや思考を持っていないこともありました。僕がお店をやろうと思ったのは、こういう人たちの商品は、完成したら、僕らが買い取って伝えた方がいいんじゃないか?生産者はプロフェッショナルに物をつくってもらい、でも伝えるところがあまり上手じゃない場合は、僕らが代行するというのもありなんじゃないか?と考えていました。

今思えば、その考えていたことが、お店を作ることにつながったのだと思います。

出典:http://www.g-mark.org/award/describe/38184
2年半僕は働き、事業自体はグッドデザイン賞日本商工会議所会頭賞にも選ばれ、たくさんの商品も生まれました。

3.
good desgin賞の日本商工会議所会頭賞も受賞した
九州ちくご元気計画の実績と実例の紹介

2011年のグッドデザイン賞で、特別賞をこのプロジェクトが受賞しました。こういう地域活動、プロジェクトに対しての賞は当時珍しく、当時は少しだけ先駆的なものだったと言えると思います。参加者である地域事業者、そして講師陣、行政も含めたら、数え切れないほどの人が関わったこの事業。年数を決めてその間の初期自走を担うことで、持続可能な活動にしたところが評価されたようです。下記、グッドデザイン賞の審査員評を引用します。

審査委員の評価

このプロジェクトは、筑後地域の「雇用の創出」を目的として計画・実行されてきたビジネス戦略システムである。社会構造や産業構造が大きく変化してきた中で、筑後地域が抱える課題を抽出し、雇用創出を軸に置いた総合的・体系的な仕組みをつくり出した。雇用は産業やマチが活性化しなければ生まれない。そのために魅力ある商品開発、商品に適した流通開発、そして情報開発が戦術として確立され、実行され初めて「ビジネス」になる。また個々の戦術を支えるためのスキル・アップを目的とした人材育成や、専門家や行政の協力が体系化し基盤を構築している。これらの全てが、準備段階から綿密に計画され一歩一歩実行されている。このプロジェクトの素晴らしさは、「計画と実行と持続継続力」であり、だからこそ地域のヒト(個人・民間・専門家・行政等々)を巻き込んで一大事業化し、人々の行動やふるまいを「健やかに元気」にしている。見事である。

担当審査委員| 大島礼治 / 黒川玲 / 堀井秀之 / 松井龍哉

ま、評はいいとして、なんというか、内部ではきっちり終わる事業だから、この期間にどれだけ継続的な専門家や、異業種、地域の人同士のマッチングを産み、この事業が終わった時に、どれだけ持続可能的で、継続生を持たせれるか?というところが課題だですね。と議論していた。一つだけ事例を示したいと思います。

3-1.
ポテンシャルが高い、国産線香花火の製造所。
もともと意欲的だった筒井さんと、デザイナー中庭氏のマッチング。
代表的なものをいくつかあげると、筒井時正玩具花火製造所の線香花火。国内で線香花火の製造所は3件しかなく、九州では1件。とても丁寧につくられているので、火の出方もとても綺麗で楽しめます。西日本と東日本で線香花火の種類も違い、西日本の藁を使用したものは、この筒井花火のみが唯一生産しています。

西日本の線香花火。藁スボを使用しています。材料までつくように。

東日本の線香花火。現代においては、この形態のものを見るのが主流です。

1000円より上のラインは、八女の手漉き和紙が使用されており、10000円のセットは、大川の木工所のろうそく立て、和ろうそくが付いています。和ろうそくはみやま市に荒木製蝋所という櫨(はぜ)という木から蝋分を抽出する工場が存在します。

線香花火においての問題点は、海外生産のスーパーなどの安価なものと、見分けがあまりつかなかったのと、流通で折れたりと問題があったところを、なかにわデザインオフィスの中庭日出海氏が入り、デザインから伝え方、原価、流通までテコ入れをされました。しかし、これはデザイナーである中庭さんが素晴らしい仕事をしたのはもちろんですが、筒井花火の筒井さん夫婦がもともと、線香花火の魅力をわかっており、うまく伝え方がわからなかったというだけで、試行錯誤開発をしたり、よい商品をつくるために努めており、デザインの力で売れるようになったというより、生産者が生産努力をしながら、デザイナーが伝わるように仕組みも含めて編集しなおしたという事例かなと思います。ショールームも立ち上がり、また材料の制作まではじめ、今後楽しみな作り手です。

ショールームがこちら。

内部はショールーム事務所機能も、ワークショップもできる。

メディア対応や昼間も遊べるように、花火ができるように暗い部屋を。

材料などを保管する倉庫もすっきり。

出典:なかにわデザインオフィス / http://www.nakaniwadesign.jp/027_tsutsuigallery.html

出典:筒井時正玩具花火製造所
http://tsutsuitokimasa.jp

デザインは、あくまでも魅力あるものの、価値伝達するための手段であり、中庭氏は、その昇華方法がプロダクトだけではなく全体的に実行でき、この九州ちくご元気計画が終わっても、両者ともに歩んでおり、成功したと言えると思います。

他にも農家さん、工業、直売所、商店街、ものづくり、伝統工芸、産業、お酒、アロマ、ありとあらゆる業種と人と関わり、ある時は商品開発を行い、ある時はブランディングの補助をし、ある時は、メニュー開発を行い、ある時は原価計算をして、あるときは、イベントの企画をしたり、僕個人だけでも延べ80件くらいのプロジェクトを2年半で見せてもらったのではないかなと思います。

○プロジェクトに参加してくれた人たちの思いつくところのリンクを貼っておきます
夜明茶屋(柳川市 / 有明海産物開発)
NOC(みやま市 / カフリンクス)
江の浦海苔本舗(みやま市 / 海苔加工)
内野樟脳(みやま市 / 天然性防虫剤)
CTC-LANKA(久留米市 / 化粧品)
まるは油脂科学(久留米市 / 石鹸メーカー)
翔工房(小郡市 / 織物)
READYMADE PRODUCTS(広川町 / 木型・鋳物)
ファゼンダかじわら(うきは市 / 果樹園・ジェラード)
うきは百姓組(うきは市 / 果樹農家)
株式会社ズッペン(みやま市 / セロリ加工品)
マロウブルー(小郡市 / アロマ)
サンショウ(太刀洗 / 豆乳・大豆加工品)
山口酒造場(久留米市 / 酒造メーカー)
池亀酒造(久留米市 / 酒造メーカー)
大川お番茶会(大川市 / 農家)
旧大内邸(八女市 / 文化財)

他いろいろ / あくまでもwebがあるところを中心に載せています。1年間で全体のプロジェクトとしては100件以上動かしていました。今思えば結構乱暴なことをやっていたなと振り返っております。

4.
東京や大阪などの都市では物が買えるが、地域では買えない。
地方に地方の物を紹介し、伝えるアンテナショップの必要性を感じる。

九州ちくご元気計画に所属している後半は、僕は実現事業という商品開発と販路開拓の事業を行いました。開発された商品などを、東京や福岡などでイベントを行ったり、メディアに広報を行ったりと販路開拓を行うというものです。そして、もちろん僕らだけの功績ではありませんが、東京などでも筑後地域の商品を目にしたりするようになりました。

しかし!です、地域に住む方々に「こういう面白い人がいるんですよ!」とか、「こういう面白い商品があって、こういう資源があって!」と口で伝えても「そうなんだ。で、どこで買えるの?」と聞かれるのですが、生産者は直売していなかったり、在庫を切らしていたり、筑後地方の作り手を回ろうと思ったら、えらい時間がかかったりと、網羅的に伝えることが不可能でした。こういうジレンマを抱えながら、僕は九州ちくご元気計画に所属した最後の1年間過ごしていました。

元気計画で働く任期は2年半と決まっていて。それが終わったら何をしようか?と考えた結果。僕は特にやりたいことが明確だったわけではなかったので、この「物が見れる拠点ない問題」を解決するための、筑後地方のショールーム的なアンテナショップをつくれないか?という思考がフツフツと湧いてきました。

もともと、僕は大学の時に建築を学んではいて、都市計画を先行していました。細かいことよりも、どちらかというと大きなゾーニングとか、計画と仕組みのようなものに興味があったのかもしれません。自分のこだわりのお店を持つというよりも、地域の都市計画的な観点において、ものづくりのアンテナショップのような機能が、ある一定の広さの地域に一つはいるのではないか?そういう仮説をもって、このアンテナショップをつくったのです。

5.
都市部ではできない、地域の作り手との関わり方
EC(通販)などのITはフルに使うが、作り手とは物理的な距離感を大事に。

5-1.物を仕入れる範囲の設定

現在2018年4月で6年目を迎えて、現時点で九州ちくごの作り手だけで約90件の作り手と取引しています。

まずは、アンテナショップとして、範囲をどれくらいに設定するか?という議論をしました。現代においては、車社会なので、僕らが拠点としてる八女市を中心に車で一日でいける範囲くらいを生活圏として設定。現代における行政区に関しては、社会インフラのサービスなどはあったとしても、ものづくりにおいては、あまり関係がないと思っています。そして、生活者においても、そこまで強く意識する境界ではないと定義しました。

修理も行えることを前提とする距離感。
昔は城の周りに、職人さんたちが在籍してたんじゃないか?

昔の工芸やものづくりは、城の周りにやっぱりテリトリーがあって、徒歩圏内におそらく、畳屋とか、桶屋とか、ガラス屋とか、おかかえの焼物の窯元とか、そういう存在があったのだと想像しています。その距離感で修理ができるというのが理想です。

しかし、現代においては車社会になり、交通のインフラが一気に整ったので、産地が絞られ分業を繰り返し、日本全国でのジャンルに特化した分業と言ってもいいと思います。僕らは、アンテナショップとして扱う物に関しては、依頼があれば修理まで可能なことを前提にしたいと思いました。それもあって、だいたい車で一日でいける範囲、要するに人と人が会ってコミュニケーションがとれるくらいの距離感を選びました。

2018年1月時点で、九州ちくごの作り手が74件、しかし、佐賀のものづくりの展示会を行った時に、ガッと増えたので、現在約90件くらいかと思われます。福岡県までだと、52件、筑後地方以外になると、よく見てもらったらわかるのですが、郷土玩具や焼物(陶器・磁器)が多いことがわかります。この2つのジャンルに関しては、そんなに手入れの必要はありませんので、その土地の土や文化や傾向みたいなのは、強く出るので仕入れを行なっています。

ちくごの作り手は40件強です。僕らは、この真ん中あたりで商いをさせてもらっております。筑後地方に作り手が多い理由は、矢部川と筑後川という二つの川があり、その周りに自然もあり、伝統工芸や産業が生まれたと考えられます。そのことについては、別記事でまとめます。

次に、僕らが「つくりて」と「使い手」とどういう関係性を地域において考えているかを見て欲しいと思います。

まず、「作り手(すみません図中は「つくりて」になってますが)」と「使い手」が存在します。はい。

そして、都市部のお店と作り手の関係性を見て欲しいと思います。全てのお店がこうではないことを前提に置きながら、あくまでも、僕のヒアリングと実態値として、こういう関係にならざるを得ないな。というのを表した関係図です。

都市部にお店を出すということは、もちろん、使い手(消費者)がたくさんいるところにお店を出すということです。それ自体は悪いことでもなんでもありません。自然の摂理とでも言えるでしょう。むしろ、インターネットがなかった時代に、人がいない地方でお店を出典したところでつぶれるのみだと思います。この使い手がたくさんいるところにお店を出すというのは、小売業においてはまっとうなことです。

小売店を都市部に出すメリット:消費者がたくさんいるから、売れる。なので商売として成立します。デメリットは「商売」という観点ではそこまでないんでしょうか。これが当たり前のやり方かなと思います。

作り手からみた取引上のメリットとデメリット:作り手から見ると、都市部のお店から発注が来るというのが大きなメリットであることは言うまでもありません。しかし、都市部のお店の人は、必ずしも、一つ一つの取引先まで足を運んで、ものづくりを見て、伝えてということはよっぽどがないとできません。交通費の問題もありますし、仮にバイヤーがそうしたとして、詳しかったとしても、それを店員まで伝える仕組みなどが相当しっかりしていないと成立しません。ですので、デメリットとしては、顔が見えない人に売ることになる。素材特性や製造工程なども理解されなかったり、流通コストもかかったりということがデメリットになり、僕から見ると、都市部の小売店や問屋の下請け的なものづくり的な意識で取り組んでいるところが気になりました。

次に、うなぎの寝床の関係図を見てみようと思います。うなぎの寝床は作り手がたくさんいる筑後地方というエリアにお店を構えることで、物理的に作り手に近いです。仕入れは現在はバイヤーのハルが中心に回っています。取引先が90件ほどになってきたので、ちょっと1人では回れなくなってきたところが課題(解決方法は頭の中にあるから、あとは人材などの問題を一つ一つ解決していきます。)ですが、まだ1人で回っています。もちろんリピートで注文するものは、電話やメールなどでの注文も多いですが、仕入れる時の初回は、もちろん会いにいって、製造工程や、商品の状況などを聞いてインプットします。

それを、使い手に伝える。そしたら、手入れなどの方法も含めて、ものと長く付き合ってもらえる。また、修理やクレームはうちが受けて、それを全てではなく、フィルタリングをしながら、作り手(生産者)にフィードバックしていきます。するとよりよい商品ができます。

この循環を心がけながら6年間やっていっています。取引先が増えたり、社内の店員を担う人が変わっていったりして、商品知識の共有や、作り手の状況共有などが少しむずかしくなってきた側面は課題としてあるので、そこは解消できるようなシステムを考えてはいるところなのですが。専門分野で分割していったり、地域分割していったりしながら、この仕組みを持続可能的に継続させていけるようにがんばりたいと思います。

6.
福岡県八女市の例はコンセプトモデルであり、ケーススタディである。
他の地域でも応用可能だと考えている

最後に、このアンテナショップという形態に関しては、八女だけで成立させるために考えた仕組みではありません。その土地の地域資源を顕在化して、物として取り扱うことで、その土地の背景や人や、製造工程などを紹介するためのシステムです。

福岡県南の筑後地域は、たまたま、伝統工芸やものづくりが盛んな地域で、僕がそういうことに関わったきっかけがあったので、ものづくりのアンテナショップとしてはじまりましたが、例えば他の地域で、農産物が恐ろしくいろいろ採れるんだけど、うまく伝わってない。という土地があれば「直売所」という形態でもいいと思いますし、魅力的な自然がたくさんあるんだけど、なかなか伝わっていないという場合は「ツアー会社」みたいな形でもいいだろうと思います。

まだ日本には、地元の人しかしらない、ニッチでローカルで魅力的な場所であふれています。それを発掘して顕在化する人が、今後地域を担っていく人だと僕は信じています。何かをはじめるには、勇気はいるけども、何か地域に関わりたい。何かアクションを起こしたいという人は、はじめの一歩を踏み出すことが大事だと思います。

地域というフィールドでともにがんばりましょう。白水

本質的な地域文化の継承を。