【後編】「僕にとって海は大切なglobe」マーク・パンサーが語る、海と子どもと未来のこと
前回に引き続き、マーク・パンサーさんのインタビューの後編です。海などの自然が身近にある暮らしに親しんできたマークさん。自然に潜むリスクを子どもへ教える方法ポイント、親としての心掛けなど、実体験から得た実践的で役立つ学びをたくさん教えていただきました。さらに、海辺の暮らしで人生観が変わった今、取り組まれている音楽活動やこれからの予定についてもご紹介しているので、ぜひ最後まで読んでくださいね!
マーク・パンサーさんインタビュー前編は、こちらで読めます。
【前編】「人生折り返し地点、楽しむのはこれから」マーク・パンサー51歳、海辺の暮らしで見出した新たな人生
https://sonae.uminohi.jp/n/n25a966879e72
(プロフィール)
マーク・パンサー
日本を代表するユニット「globe」のメンバー。トップDJとして出生地であるフランスをはじめ、世界中でプレイしながら、バラエティや情報番組といったテレビ、ラジオになど各種メディアにも多数出演。また、芸能活動を行う傍ら、小・中・高生向けのDJ・モデルスクールをプロデュース監修や大阪芸術大学 音楽論客員教授を担い、次世代の育成などを行っている。
自立できるように子どもにはあらゆる体験をさせた。ただし、絶対に一人では危険な場所に行かせなかったね
―前編では、教育のお話が出てきましたが、マークさんのご家庭ではお子さんにどのような教育をされてきたんですか。
「どこに住んでいても、何でもできる家族になりましょう」というのが軸にある家族なんですよ。だから全員、料理、洗濯、掃除も一通りできるんじゃないかな。僕も小さい頃からいろいろなことをやっていたけど、娘にもあらゆることをやらせていた。水泳、ヨット、乗馬、ロッククライミング、空手、何でも。結局脱落はするんだけど、やったことで「人を殴ると痛いんだ」ということを空手で覚えたらしいからね、娘は。だから動物にもやさしくしようと考えるようになったと言っていましたよ。
それから、石垣島にいた時に通っていた幼稚園が、「自己教育力」に基づいた教育法のモンテッソーリ教育を行う園だったんですけど、すごく面白かったんですよ。年齢関係なく、みんな同じクラスだし、お姉さんがやっているのを見て後輩たちが真似して片付けをしたり。そういう園での生活を見ていると、「じゃあ家でもやらないと」となりますよね。
―娘さんには、海や自然のリスクについては、どのように教えられてきましたか。
娘は、水泳教室に行っていましたね。ニースや石垣の家にもプールがあったし、冬は温水を入れて泳いでいた。雨だろうが何だろうが毎日泳いでいるからこそ、何があった時に泳げると考えるから、とにかく日々水泳教室に行くんですよ。
あと、自然について教えておくのも大事だよね。石垣島ではまわりの人が、どの貝、どの魚が危険というのを教えてくれる。潮の流れについてもそう。流れは怖いんだけど、流れに乗っかるとあるリーフまで着くから、そのリーフで遊ぶ。夕方になると流れが変わるので、その流れに乗って帰ってくるとかを娘と一緒にやっていましたね。そうすると自然に覚えていくから。
―子どもに体験を通して学ばせる際、気をつけていたことは何ですか。
子ども一人で行かせないこと。娘が高校生の時に神戸の全寮制に入っていたんだけど、家族で神戸に引っ越したし、そのくらいのレベルで常に見守っていました。自分の子ども時代を思い返しても、親父もそうしていた気がする。フランスでは18歳からが大人なので、もちろん今は放っておいていますけど。教育してきたことは身に着いていると思うしね。
事故は、もう運になってしまうから。運をよくする心得は、毎日コツコツやるとか、エスカレーターあるのに階段上るとか、わからないけどたぶんそういった小さなことなんですよ。それが、“自分を運ぶ”と書く運なんですよ。
海で事故を起こしたら、絶対に死ぬ。だからこそ、海を理解して親も子どもと一緒に毎日コツコツそなえるのが大事
―コツコツ続けるコツって、ありますか。
一緒にやってあげることじゃないですか。水泳教室は、僕も娘と一緒にやっていたし。子ども向けの他に大人向けの教室もあるから、子どもと同じようにお母さんもその教室で泳いで帰りは一緒に帰るとか、そうすれば子どもはほっとしますよね。僕はそうしていた。何でも一緒にやっていたよね。それまで料理なんてしたことなかったけど、子どものお弁当作りをきっかけにやるようになった。
あと、わからなくてもずっとコツコツ続けていると、ある日ツボが見つかるんですよ。それが見つかるまでは、勉強ですよね。毎日やっている奴の勝ち。なんで母ちゃんのご飯はうまいのか?それは毎日作っているからだと(笑)。毎日やっている奴には勝てないんだよと。
―海が身近にない人が、海の危険を学ぶのにいい方法は何だと思いますか。
水泳教室に行かせることじゃないですか。だって海で事故起こしたら、絶対に死ぬんだから。信号無視と一緒。青信号だから渡る、青信号でも右と左を見ましょうなんて、うるさく教えるわけじゃないですか。でも「海の時は大丈夫」と思うのは、間違いですよね。だから、せめて水泳教室なんじゃないかな。お父さんも痩せるために、一緒に水泳教室に行ったらいいですよ(笑)。
水が怖い、怖いんだったら海に行かない方がいい。怖いのをなおすことが一番大切なんじゃないかと思うんですよね。子どもが海に行きたいっていうなら、行ける準備をコツコツしてから行くのがベストだと思う。僕は半年で波に乗れるようになったから、半年間水泳教室に行くだけで怖くなくなると思う。それから、この辺りだと、ライフセーバーたちが子ども達に海のことを教える教室もやっているから、そういうのに子どもを参加させて親が見たりするのもいいよね。子どももいろいろなことを覚えると思いますよ。
―マークさんが日頃守っている、海へ行く時の心得などがあれば教えてください。
“海にやさしく”かな。海の事故に遭っている人は、たぶん海、自然にやさしくない人が多いんじゃないかと思ったりします。ハワイだと珊瑚礁に影響するから、有害な成分の入っている日焼け止めの使用を禁止しているけど、「だって日焼けしちゃうじゃない」と言うなら、海に入らない方がいい。あと、僕は100%ゴムの木でできている草履を履いているけど、これはどこかで失くしてしまってもたぶん何十年かで再生される。そういうちょっとしたことを考えて海と接するのって、すごくいいことだと思うんですよ。「海を理解してあげて、海にやさしくしようね」ということを子どもに教えながら海に行ったら、もっと楽しいんじゃないかな。
浜辺に空き缶が落ちていたり、ブルーシートがそのまま放置されていたりすると、地元の人も心が痛むもんね。地元の人を悲しませるなんて、だめじゃないですか。そんなことをしていたら、溺れていた時に助けてもらえないかもしれないよね。
―育児のこともそうですが、環境についてもすごい考えられていますね。
うん、globe(=地球)だからね(笑)。地球にはやさしくしないとglobeが終わっちゃうからね。一生懸命一人でglobeをがんばっているのは、そういうことだと思う。
僕にとって海はglobe。最後の最後に引っ越す場所もたぶん海だと思う
―今、音楽活動はどんなことをされていますか。
タレントの千秋とコラボしてglobeの曲を一緒に歌ったり(YouTubeにて配信中)、エレクトリックエレカルゴというユニットを作って、昨年から毎日新曲を発表しています。千秋とのコラボは、20年経った今やっぱり自分は歌が歌いたいということで、彼女から電話をもらったんだよ。彼女の憧れはKEIKOだったから、「globeの曲を歌いたいからマークさん、一緒に歌ってくれませんか」ってね。こちらも二つ返事で受けて、6月から7月にかけて8回の動画配信で、4曲を一緒に歌いました。
エレカルゴ(elecargot)の方は今、200何十曲になっていて、このまま続ければギネスになるんじゃないかと言われてる(笑)。4年後がglobe結成30周年なんだけど、それまでずっと続けたいな。この鎌倉生活を映したMVにしてYouTubeで配信している他、SportifyやiTunesでも発売しています。コラボで録音した千秋さんの声も入っている曲もありますよ。今の音楽活動は、昔のように100万枚売れてお金になるぞとかそういうのではなくて、プライスレスで心が豊かになることが大切だと思っている。笑顔になるために必要なこととしてね。
globe30周年に関しては、小室さんもどこかのインタビューで「やるならglobeやりたいんだよね」と言っていたし、僕もこの30周年という機会に何かをやらなければ終わってしまうんじゃないかと思うから、ステージをもう一回やるか、何かできればと思ってるんだよね。
―音楽活動の他にも、来年にはアパレルブランドを立ち上げられる予定だそうですね。
来年4月の立ち上げを目指して、今いろいろ進めています。僕が幼少期にモデルをしていた頃にお世話になったDCブランドのデザイナーさんと再会して、意気投合してね。うちの親父が漫画で描いた世界一周の旅をコンセプトにした服を作ることになったんだよ。親父の乗っていた車のナンバーをブランド名にして、地球にやさしい、面白いブランドにしたいと思ってるよ。ラッシュガードみたいなものを作ろうかと思っているけど、ライフジャケットなんか作るのもいいかもね。こういうものは、人の命を守る大事なものだから。
―多方面で活動をされているということで、引き続き新たな続報、楽しみにしています!最後になりますが、マークさんにとって海とはどんな存在でしょうか。
一番大切なもののような気がする。必ず生活の中に海があり、海がない時はさみしかった。マザーアースって言葉があるけど、母みたいなものなのかも。そう考えると、海はglobeなんじゃないですかね。僕にとっては。
たぶん今、僕の人生の中で一番豊かな時を過ごしている気がする。あんなにすごかったglobe時代よりも全然。最後の最後に引っ越す所もたぶん海だと思う。フランスの美しい海辺の街ビアリッツへ行って、それで日本に帰ってきたらKEIKOのいる大分に行きたいな。サーフィンもやっているから、波がある場所がいいと思ってるんだけどね。
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マークさん、ありがとうございました!過去から今に至る心境の変化から、子育て論や海への想いまで、盛りだくさんのインタビューは、とても聞きごたえのある内容で、本当にあっという間の1時間でした。海を臨む部屋ではゆったりとした時間が流れ、都心から訪れた磯野と河田も、マークさんのおっしゃる「最高の暮らし」の一端を感じさせていただけた気がします。マークさんの海、そして人生における学びをみなさんもぜひ、参考にしてみてください!
インタビューに出てきた情報を含めて、マークさんの最新の活動情報はこちら!
公式WEBサイト
https://marcpanther.com/
https://twitter.com/marcpanther
https://www.instagram.com/marcpanther/?hl=ja
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UC8tSv9o_N_HfReVNcuGRF-A
千秋さんとのコラボ動画【globe×千秋】(全8回)
https://www.youtube.com/watch?v=_ShiiXRpHE4 (第一回)