創り出されたものに、気付いてしまったのなら
AI化なんて、うちの会社じゃまだまだ先の話しだし…なんて甘くみていた。でも、近頃、あの足跡を聞いたの。それは、もうそこまでやってきてた…
失業リスク世界一?!
”蒔かぬ種は生えない”、とはよく言ったもの。かつて蒔かれたあの種が、今では、こんなに大きな花を咲かせてる
そう、咲いたのは、失業リスクがダントツ高い日本女性、という花!
IMF国際通貨基金※は、女性の14%が、”技術的失業リスク”にさらされていて、それは男性の約3倍だという
”技術的失業リスクの男女差”(IMF2018)、あのシンガポールでさえ、女性の失業リスクは男性の約1.6倍だという
デジタル革命がもうそこに迫っていて、大波が、古びた仕事を洗い流しはじめている
なんて、のんきに世間話ししている場合じゃない。なにしろ、日本女性の失業リスクは男性の約3.4倍!そう、この国で、古びた仕事をしてるのは、ほとんどが女子ってこと
どうやら、アジアで、いえいえ、世界で、ダントツ女性がリスクにさらされる国ってことらしい
※日本経済新聞 20210813「少子化日本の成長左右 失業リスク、女性は3倍」
まいた”種”から咲いた”花”
その”種”の正体が何かといえば、それは、「男女雇用機会均等法」。思えば1986年に施行されたあの法律が、全てのはじまりだった…。まあ、均等法にはいろいろいいたいこともあるけれど、ひとまずそこは置いておいて、いまは、その”花”について考えてみたい
そう、失業リスクがダントツ高い日本女性、っていう花について
それにしても、大人って、恐ろしく知恵がある
あの”種”がまかれるほんの少し前、女子に大変なことが起こっている。そう、女子の運命は、あの時、すっかり書き換えられてしまっている
元厚生労働省官僚の岩田喜美枝氏※は、当時を振り返り、こう言っている
日本企業はあからさまな法律違反をしない代わりに、大企業を中心にこの制度を導入し、従来のやりかたをそのまま続ける道を選択した
と
岩田氏は、均等法制定に携わった女性のお一人だけれど、きっと、いまでも当時の記憶が鮮明に残っているのだろう
で、その制度がなにかといえば、それは「コース別雇用」制度のこと
なるほど、考えてみれば、そんな制度、世界中、どこを探しても見当たらない
しかも、この新しい制度を導入した大人は、国じゃなく大企業で、主に総合商社と金融だったのだと。そして、その制度、水が低い方へと流れるように、中小企業へと瞬く間に浸透していった
欲しいものを手に入れるために妥協しない、そう、絶対に妥協などしない大人たち。ほんと、大人って凄い
出典:※ 日本経済新聞20150428「均等法30年残された課題 女性登用量から質へ 男性の働き方改革を」
前例が規範に
ところで、35年以上も前に創り出されたこの「コース別雇用」制度、デジタル革命の真っただ中、名門企業ほど、今も女子が社内で分けられているそうな
男子が長時間働き、女子がそれを支える、あの年功序列が良かった、ただそれだけのこと。それを続けるため、女子は真っ二つに引き裂かれた。別に悪いことをしたわけじゃない。従来のスタイルがよかった、ただそれだけのこと
ところが、就活中の女子大生は、今でも迷う。”総合職”と”補助職”、どちらにしようかな、と。ちょっと無理そうだから”一般職”にしとこうかな、と。生意気って思われるかもしれないけれど、一度は”総合職”にトライしてみようかな、と
そんなところから抜け出せない
どうしても抜け出せない
かつて20代の頃、わたしは女性の求人雑誌にキャッチコピーを書いていた。応募が集まらない会社のために、職種をカタカナにした。なぜって、人が集まる確率が高まるから。職種のカタカナ化。そうしたとたん、同じ仕事が綺麗にみえて、実際、そこには応募があった。だから、つい思ってしまう
もしも、もしも、もしも…
女子の”総合職”が、”サラリーウーマン”と呼ばれ
女子の”補助職”あるいは”一般職”が、”雑用さん”と呼ばれていたなら
言葉には力がある
大人の知恵者は、そこのところちゃんと心得ている。ほんと、大人って凄い
先日、スーパーで買い物をしていると、”アソシエートの方、レジへ”、そんなアナウンスが流れてきた。今では日本の補助職は、アソシエートや営アシさんなどカタカナで呼ばれる。イメージって、現実をふわりと磨きあげるのかな。まるであの頃の、カタカナ変換した職種のよう
そんなふうに、この国にすっかりなじんだ「コース別雇用」制度。それは、まるで見本のよう。そう、一度できた前例は規範になる、そんな見本
大人たちはちゃんと知っていた。規範を作り出す方法を。さすが大人。大人って凄い
サラリーマンとその周縁
男は持てる時間のすべてを仕事に費やす、そんな働き方がよくて、それこそが日本が誇る働き方で、企業の求めていた働き方で。だから、岩田氏は、従来のやりかたをそのまま続ける道を選んだのは日本の企業、とおっしゃる
あの、男女が平等に働けるようになるはずの”均等法”が誕生するまで、いったいどれほどの大人たちの駆け引きがあったのだろう
そういえば、政府だけじゃなく、社会制度全体が、富めるものにより有利になるよう手を貸し、財を持たないものにより厳しく向かう社会を、確か18世紀の哲学者がすでに語っている。そんな日々を重ねた社会では、それがやがて規範となり、もう、誰もそのことを考えなくなると
確かにそれを選んだのは企業。でもそれに合わせるように、社会制度も漏れなく整備されていったっけ
まさかとは思うけれど、でも、規範となった事柄を誰も考えなくなるって、きっと本当。この国では、女子に”総合職”と”補助職”がある、そんな不思議がもう当たり前で、考える方法さえ、今は誰も探さない
でも、それを、”サラリーウーマン”と、女子の”雑用さん”って呼んでみたらどうだろう。頑張って大学に入り、きちんと学んだ末、女子は何年働いてもずっと”雑用さん”になるって社会。それじゃ、きっと女子だって怒るよね
だって、”雑用さん”じゃ、お給料は上がらないし、転職だってできない。転職しても繰り返し”雑用さん”になるだけ。奨学金まで借りて、月々返済しているっていうのに…ね
女子の”総合職”と”一般職”って絶妙な表現。一般って、平均、普通のイメージがあるし、ね。まさかその一般が、サラリーマンの周縁だなんて、ね。そこは、頑張って働いても、”ありがとう、助かったよ”、で終わってしまう場所
周縁って、何周まわっても、周縁で、もちろん、サラリーマンのレーンには乗れない別レーン。まあ、時には例外もあるけれど、ね
新、日本女子の階層
かつて、男女数十名のイギリス人の暮らしを追跡するドキュメンタリー映像を目にしたことがある。それは、幼児の頃からはじまり、成長と共に、彼らの言葉を毎年収録していく実験的ドキュメンタリー映像
シャイな子も、おませな子も、一年、また一年と、屈託なくすくすくと成長していって。けれどおかしなもので、彼らは、やがて幼いころ口にしていた職業に就いていった。親とよく似た職業に
イギリスやフランスは、今でも階層社会だといわれる。階層には、そこで生まれ育つと外側が見えなくなり、外側がさほど気にならなくなる、そんな特徴があるらしい
タクシードライバーの息子は、大きくなったらタクシーの運転手になりたいといい、義務教育を終えるとちゃんと夢をかなえてた。裕福な家の息子は、パブリックスクールに通い、やがて世界を股に掛けて働きはじめていた
階層とは、見えにくい。そして、そこに居ることに疑問を抱かせない。だから、階層は争いをうまず、社会をほどよく安定させる
階層に分けられてしまった日本女子。もちろん、誰も文句なんて言わない。たとえ、昨日まで同じ大学で机を並べ、同じ位の成績だったとしても、あの子とわたしとの間の仕切りは、もう超えられない
あの子がわたしより仕事ができるのか、確か、証明なんてなかったはず。あの子は総合職で、わたしは一般職。それが、たまたま気の合う面接官と出会ったあの子で、たまたま相性の悪い面接官と出会ったわたしであったとしても、もう誰も考えない
人は階層に浸かるった途端、これが自分の実力と従順になり、そこで徐々に折り合いをつけていく
大人って凄い。そして、この仕切りを創った大人って、やっぱり凄い
入社前、自覚的にそれを選んだのは自分だったと思うから。たとえ、いろいろ言いたいことはあっても、自己責任、そんな言葉に勝てなくなる。だから、思いはそれぞれ胸の奥深くにしまい込まれていく
そう、これこそが階層。戦後、この国に創り出された、日本女子の階層
女子の階層とデジタル革命
持てる時間を全て仕事につぎ込む男子、それを支える女子、そんな形が好みで、「コース別雇用」制度なんて、とびっきり上等な制度をこしらえて
それをね、ただの雇用制度だって、きっと甘くみていた。けれど、この国はサラリーマン社会。この制度、男女平等の世界的な大波が来た頃、何食わぬ顔で登場して、そして、サラリーマンになる人に、厳しい制限をかけた
そりゃ、たとえ針の穴ほどの狭さでも、ちゃんと潜り抜けた、頑張った。働きたかったし、一人前になりたくて。そのために学んできたし、努力もした。基準があいまいでとらえどころのなかった就活だって徹底的に調査研究した。それが母の夢だったから。社会で羽ばたけなかった母の。だからわたしは総合職になった
そこは、持てる時間のすべてを仕事に費やす男の世界。そりゃ努力は惜しまないし、誰かに劣るつもりもない。でも、どうしようもないことってある。ただでさえ体力劣るのに、結婚だとか、出産だとか、どうやったらそこのところ超えられる?生身の人間だよ、ママ。知ってる?そこがどんなところなのか…
仕事も人生の幸福もどちらも選びたいの。でも、答えはなかった。もうクタクタ。女子総合職って???ただの女子なんだよ!働きたかっただけ。ちゃんと働きたかっただけ!ママのためにも!喜んで欲しかったんだよ、ママ。フェイドアウトしたこと?別に悔いてなんていない
そんな物語を幾つも幾つも耳にした
それから、
このままじゃ食べていけないって自覚して結婚して。そうしたら高学歴主婦になって。もちろん、反抗なんてしないしちゃんと生きてる。でも、口うるさく、なぜ働かないなんて言わないで。もう無理。ただでさえうんざりなの。あの”雑用さん”。それが、結婚したとたん、”パートの雑用さん”に。もういいかげん勘弁してほしい。家にいたほうがどれほどましか…
先進国だとか、アメリカの次だとか、このままじゃ中国に抜かされる、なんて言っていたよね。でもね、これが今の実力。この国にこれからやってくるのは、女性の失業リスク、男性の約3.4倍って現実!
仕方ないよね、サラリーマン社会のこの国で、ずっと”雑用さん”枠で、チャンスもらえてないんだし。成長するチャンス、なかったよね。それに、”サラリーウーマン”枠だって、もうへとへと。だって、ここは、持てる時間のすべてを仕事に費やす男の世界なのだから
だから、しかたない
この国の女子の”技術的失業リスクはとびっきり高い!
うっかりシンガポールなんかと比べちゃいけない。あちらは、アジアのエリート国。そして、こちらは、かつてのアジアのエリート国。約35年もの間、賢いはずの女子たちは、”雑用さん”となってクルクルと回っていた
そして、もしもあなたが女子の就活生なら、考えてみてほしい
総合一般で女子を分ける会社のことを。そこは、きっとたとえ優良企業でも、あなたを大切になんかしない。そこには、女子の間の壁が立ちはだかり、そこで向かうは男性じゃない。女子は女子に不満を抱く。でも、決してそれは言葉にはならない。だって、そこは踏み込めない世界なのだから。それこそが、社内の女子の階層
ただ、あなたには、まだチャンスがある。階層に取り込まれる前のあなたには
そして、今階層にいるかもしれないあなたは、どうしますか?
(注:この記事は、特定の個人を傷つける意図をもって書いたものではありません。もしも、不快な気分にさせてしまったのなら、申し訳ございません)
つづく
嬉しいお知らせが届きました。読んでくださった皆様、ありがとうございました😊(pcではスクショならず。絵だけが映し出されました涙)
おめでとうございます!
#映画館の思い出 応募作品の中で、「古い上着を脱ぎ捨てるように学ぶ」が先週特にスキを集めました!
現在ここnoteで企画を立ち上げ、女性の目線でみた「働き方と生き方」についての記事を書いています。そして、スタエフでも発信しています。よかったら読んで、そして聴いてみてくださいね😊
企画の履歴一覧!(2021年8月30日現在。過去記事一部含む)
🍎 🍎 🍎 🍎 🍎
🌟音声配信 スタエフ編🌟
企業が目指すのは成長! 企業は日本文化に縛られているわけでは…ないから
誰かがバリアを築いたのなら もう一度考えてみたい女子の就職活動
見えなくなったのはいつ頃だったのだろう…わたしたちはそれほど違わなかったはずなのに
🌟note 企業に関する記事🌟
あなたは、そしてあなたのパートナーは「勤め先の文化」から逃げられますか?
🌟note 教育と意識🌟
ママを悩ます子育ての常識 / 三歳児神話はやっぱり神話なのでした
見えないものを取り出して。教育は女性を教育は女性を救える?そしてそこからSDGsへ
🌟note ジェンダーギャップ🌟
ジェンダーギャップ / 語られるものと語られないものの間に横たわる真実
🌟note 女性が働くことに関する記事🌟
Re:たとえ働かなくてもいい時代になったとしても、それでも「働くことは生きること」だと思う
「働く人」をカテゴライズするその前に / 働く女性に垣根はいらない
🌟note 法律🌟
わたしの記憶は時代に無頓着/ 男女平等&ルース・ベイダー・キンズバーグ
法律には必ず誕生秘話がある / 法律を他の国から取り入れることの難しさ
🌟日本の主婦について🌟
しっぽを掴む、それがはじまり! / ところで主婦ってなんだろう?
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