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転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想【完結済】

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「君に恋をしてもいいかな?」 生きる理由も希薄な「僕」の前に、ある日突然現れた少女がそう問いかける。強引に始められた同居生活の中で、彼女はその能力(転送)によって辿った奇妙な自分…
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記事一覧

【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #01

 今、僕は三回前の引越の時まとめたまま開封してこなかった段ボール箱を物置で見つけた。 …

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【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #02

 遊が何者だったか、僕にはわかりません。  いや、女の子だった。女の子で……女の子だっ…

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【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #03

 それから何日も過ぎました。朝目覚めるたびにこれは夢じゃ無いと思い知ることになりました…

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【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #04

「昔々あるところに、と言っても、十二年前だけど、六歳の少女が――少女たちがいました。 …

【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #05

 次の日、大教室の隅の方に座っていた僕に、志伊理美が近寄ってきました。  おはよう、と彼…

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【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #06

 その日、大学の授業はまるで耳に入りませんでした。  志伊理美の頼み事など、忘れていま…

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【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #07

 次の日も僕は普通に家を出ました。遊は、そんな僕に、待ってる、どう話せば良いか、何度も頭の中で推敲しながらさ、と笑いかけました。  そして出て行こうとする僕の背中を捕まえて、ねえ、大学の図書館って、新聞の縮刷版があるだろ? と言いました。ん? と少し振り返ると、遊は、そうだな、三年前の今日の新聞を探してみるといい、そこにはわたしの痕跡がある、と言うと僕の背中をぽんと押し出しました。  学校に行って、講義を受けていても、もう誰も話しかけてはきませんでした。あの男の言ったよう

【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #08

「『あなたは世界とうまくやれない――』  それは、折に触れミツウラがわたしに言い続けて…

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【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #09

 大学に行っても、僕は、まるでうわの空でした。  授業では、講師がいつもの真面目そうな…

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【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #10

 思考の焦点が合いませんでした。ぼやけているのじゃなく、遊のこと、氷井のこと、どちらか…

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【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #11

 ふう、と遊はひとつ息を吐きました。そして、僕を見詰め返すと、疲れないかい? と遊は微…

【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #12

 次の日、学校に行くのが、相当に嫌でした。  僕はどうしても遊のそばにいなければならな…

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【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #13

「仕事にはインターバルが置かれた。立て続けに重要人物が死ぬのはおかしいからね。  わた…

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【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #14

 タクシーを降りた僕たちは、繁華街の外れの喫茶店にいました。僕は遊の話が終わったのを、その沈黙によって確認することができました。僕は訊きました。 「つまり、追いかけてるんだね、ミナを」  遊は、力の無い笑顔を浮かべて、戯けたように首を左右に振りました。 「それにしても、あまり効率的じゃないな」 「うん、でもさ、わたしだって成長しないわけじゃない。だてに恋を続けてるわけじゃ無いんだ」 「ん?」 「少しずつ、イメージできるようになってきた。飛ぶ先を、飛ぶ距離を。まあ、ぱーっとや