不真面目な教員だと自覚すること
教員の業務に優先順位をつけて、下位のものは手抜きしているということを書いてきた。
わたしの場合は校務分掌・部活指導・補習が手抜きにあたる3つだが、それぞれの価値観によって優先順位は変わるだろう。
教員の業務はあれもこれもたくさんある。
そのすべてに全力を注いでいたら膨大な時間と労力が必要になる。
さらにそういうタイプは仕事を頼みやすいポジションになっていくから、どんどん新たな仕事を頼まれていく。
良く言えば「仕事ができるから頼まれる」
でも実際は「便利だから頼まれる」
気づいたら1日中、ホッとひと息つく間もないまま慌ただしく駆け抜け、自分にとって優先順位の高い業務が疎かになっていく。
たとえばクラスが騒がしくて授業が成り立たなくなるとか、保護者からガツンとクレームが入るとか、部員同士の関係がバラバラになるとか……
こんなはずじゃなかった。
与えられた仕事を忠実にこなしてきただけなのに。
管理職はひどい。
総括はひどい。
学年主任も教科主任も部活の顧問も。
あの人もこの人もみんなひどい。
“ 教員は過酷でブラックな仕事だ。”
そして心と体が追いつかなくなる。
休みがちになったり年度途中に突然退職してしまったりする。
わたしはそういう教員を何人か見てきた。
実はわたし自身がそういう教員になりかけたこともあった。
すべてに全力を注ごうとすると、本当に全力を注ぎたいことが疎かになってしまう。
だから真面目じゃなくていい。
自分のなかで優先順位を決めて、上位のものは全力を注ぎ、下位のものは手を抜いてほしい。
そして手を抜いたことを自覚して「自分は不真面目だなあ」と笑ってほしい。
不真面目だと自覚することで自分自身に手抜きできる余裕を与えられる。
「自分は真面目でがんばっている!」とハードルを上げるよりもずっと気持ちが楽になる。
それでもたまにどうしようもなくつらくなってきたら、きっと時期的なものもあると思うので、仲の良い同期に愚痴ってほしい。
「だるい」
「あの生徒が苦手」
「あの保護者が苦手」
「今の単元が苦手」
「部活の練習が苦手」
「めんどくさい」
「ねむい」
もう、なんでもいいから愚痴ってほしい。
きっとそういうときは同期もおなじような状況だろうから、お互いに気が楽になる。
たくさん愚痴ったあとは「次の定期試験まであと◯ヶ月だから適当に乗り切りましょう」と励まし合ってもいいかもしれない。
定期試験や長期休みは絶好の有給取得期間だ。
数ヶ月ごとにしっかり息抜きできるタイミングが訪れる仕事は、とても恵まれているとわたしは思う。
もし、どうしても優先順位をつけられず、手を抜けず、教員は過酷でブラックだという印象が拭えないなら、教員には向いていない。
早めに辞めて自分の特性を活かせる仕事に就いたほうがいいだろう。
無理して執着することはない。
なによりも大切なものは自分の体と心だからだ。
わたしは不真面目な教員だ。
クラスの生徒対応と保護者対応と授業だけは全力を注いでいるが、それはわたしが教員になりたいと思った動機でもあるからだ。
生徒や保護者と信頼関係を結んだり授業で手応えを感じたりすることは楽しくて仕方ない。
だからいくらでもがんばれる。
でもそれ以外は適当に手を抜いている。
なにもがんばっていない。
わたしは不真面目な教員だ。
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