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広告の世界にもガバナンスの波を
マレーシアで暮らす野本響子さんのマガジンを愛読しています。最初は、常にはみ出しっ子の意識の中で生きてきた私としては「私たちは、少しだけはみ出している」を読んで共感したのですが、
先日「マレーシアでは子供向けの広告が制限されている」ということを書かれていたのでコメントをつけたら、それを取り上げて敷衍して答えてくださいました。今日は、それに絡んで思うことをちょっとかきます。
私は2000年代半ばに、TrendMicro(ウイルスバスターの会社)のマーケで分析の実務を担当していました。営業で伸びた組織にマーケティング部門を立ち上げるメンバーとして採用されたのですが、経済学部は出ているものの学士しかもってなかったし、それまでいた部門もサポートと営業で未経験からのスタートだったので、最初、すごくたくさんマーケティングに関する本を読みました。グロービスにも通わせてもらった。それで、当時の日本はマーケティング後進国だと理解していました。
資本主義社会の広告や販促というもの、だいたいアメリカで生まれて研究が進んでいるものなんですね。当時はまだ、P&Gなどの外資消費財メーカーをのぞいて、いわゆる米式のコンシューマ・マーケティングをちゃんと国内で展開している企業は非常に少なかったです。今でも適当に担当者の「好き」だけでもっている企業がおおいかもしれない。
そこから10〜15年くらいで、世界中の広告のありかたはオンラインの津波に飲まれて大激変したわけですが、その時期に私は自分でキーワードの買い付けやバナーデザインなどはしないけど、その予算配分を決めて代理店に実行依頼するマーケの担当もしました。それからオンライン広告が売上の柱であるGoogleに転職してその売上最大化のための定量分析をしました。まあ、今思えば津波の先っぽに乗ってたわけです。実力というより、時の運で。
当時言われていたのは、インターネットのコンテンツの進化はエロが牽引しているという話でした。今この世界を支えているWorld Wide Web(WWW)が誕生したのは軍事的なモチベーションからであるし、その網がじわじわと広がる黎明期に最も貢献したコンテンツは人類の性的なモチベーションだったというのは、知る人は知っている有名な話ですよね。
そして日本では、まだみんな記憶にあると思いますけど、オリンピックに先立ってある程度規制がかかるまでは、コンビニや交通広告など、子供の目にも触れるようなところに酷い広告が溢れていました。あれは集団としての日本人の精神性を少なからず侵食していたものと私は思っています。
サブリミナル効果というものがあります。米国では1900年代前半にコカコーラが採用してからその影響の研究が進み、早くに規制されたものです。(なお、その起点にいたのは、前に紹介した心理学者リタ・ホリングワースの夫のピーター・ホリングワースです)
日本でも放送協会はサブリミナル効果の利用を規制しているはずです。だけど考えて見て。みんなが毎日目にするオンライン広告に関してなにも制限がつかないまま酷い無法地帯になっているのってサブリミナル、民度を下げる害悪だと言ってもいい。広告制限が必要なのは子供向けだけではない。
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