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peak out ....

夏の日
ギランバレーを発症して
緊急入院した 
その日から主治医が口にする言葉
“peak out ”は まだ先だ

発症しているのを 知らずに
二回目のワクチンを打ったからか
片側の顔面麻痺は 入院の数日後
両側の顔面麻痺になって行った。
全く 動かない顔 能面の始まりであった。
それからは 日に日に 落ちて行く
筋肉体力 呼吸筋まで落ちて来て…
人口呼吸器….


ピークアウトに ひと月を 要した。


絶景のスキーデビュー


気が付いたら かぐら山の頂上に居た。

雪原に立つ 案内板を観て
ふと そんな事を思い出した。

ちょうど お昼

やってる事は なんら昔と変わらない
食べるメニューも変わらない


“ギランバレーになってなかったら
今頃 もう 死んでましたよ
生き急いでたから”と
主治医は 話し 二人で笑う。

いつしか 能面も 
笑う面に変わっていた..

雪原を眺め

以前なら その場から
実況のように SNSに 描いていた

“なんと 素晴らしいこの絶景を”って

今は そんな体力も 気力も無い

旅から戻り いつものように
寝込みながら 写真を眺め
その景色を愉しみながら
描いている


馴染みの大将に 言われる。
また含みたっぷり
訳わかんねー 文章を描いてるって

それでいい


ドラゴンドラに乗り
山を 降りて行く
苗場に戻る

このゴンドラは 素晴らしい
急な斜面を降りたかと思えば
川面に手が届きそうなくらい
雪景色を愉しめる

苗場スキー場に戻り
緩んだ雪に耐える 
脚はもう残って居ない

素晴らしきかな 絶景のなかの
スキーデビューは 終わった。

今から もう一つの
ピークアウトが 待っている。

新潟 十日町 豪雪の中の峠越え
長野 野沢温泉村に向かう

賑やかな 越後湯沢駅を通り
峠に向かう

“スキー場までの道中 雪が一歳無くて
スキー場のゲレンデには 新雪がいっぱい”

そんな 夢のような 現実が 今目の前に

無事に 野沢温泉村に 辿り着く

30年振りに 訪れた
野沢温泉村

そこで 目にした光景は
想像を 絶していた

スパルタリハビリ合宿は 続く

ギランバレーに恋をして
回復期リハビリテーション
peak out

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