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”あれ 師匠“…..鮎漁師の呟き

師走 大忙しの主治医の御顔を観に
急性期病院に出かけた。
炊き立ての鮎の甘露煮を手に…

“あれ 師匠”

眼光の鋭いサングラスをかけた
爺さん

“おう 何してるんだ?”

“診察の日 鮎の甘露煮を持って
鮎の水墨画も…”

って 袋の中見を魅せる。

にっこり笑う 師匠。

“あんなもんくらいで 大漁って
言ってたら あかん

鮎は 居るのを観てから 獲るもんだ
あんな 寒い日に 泳いで獲るのは
やめろ
鮎の綱 破れたら 直ぐに治せ”

次から 次に いつものように
言葉が 出てくる

隣で聞いていた 娘さんが 微笑む

”口悪いでしょ
でも 退院の日に 鮎漁師さんに
ばったり 逢うなんて 良かったね
帰ったら 綱 編むんだね”

ニコニコしながら...
“師匠 写真撮りましょ”

“では また来年
川で 遊んでくださいね”

“おう 川でな“


診察室
主治医の先生
席に着く前から 尋ねて来る

”最近 どう?“

色々 話す 
都会で 疲れて 動けなくなって
救急車呼んでもらおうと 思って...
蟹食べたら 復活しまして...
ヤバいなって 感じたら
ケンタッキーおじさんに 助けてもらってます。

”重篤だったんもんね
入院してから 悪化していったし
やっぱり 血漿交換やったら良かったな“

“え? そんなにヤバかったんですか...”
”先生 転院先で 評価100点満点の
0点での受け入れで 嘆いてましたから“

そうそう 先生 これ鮎甘露煮...
甘露煮職人ですから 美味いですよ

話は 鮎の話になって行く

”来年から 鮎友釣り始めようと
思って“ニコニコしながら 先生は
呟く

”先生 家の前 友釣りのメッカなんだから 愉しんでくださいよ“


鮎には 色々なところで 助けてもらっている。

ここは 仙人界 急性期病院
いきなり 二ヶ月面会謝絶 外に
一歩も出れなかった

師走の末 

今日も 鮎に 助けてもらった
鮎漁師

”来年 また 川で....“

鮎漁師は そう いって 網を編む


平安な暮らしをする縄文人
鮎漁師 浮世雲

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