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御祝いに “東頭”を贈りたい…

いつも いつも お世話になっている方が 呟く

“週末 ばあちゃんの米寿の祝いの席で

東頭(とうべっとう)を贈りたいのだが….”

100g 一万円のお茶である


茶テンダーは お茶をいれるのが嬉しい
お茶が売れたら もっと嬉しい
幼稚園児から 店番をしていたのだから

“はい 喜んで 御用意させていただきます。”


朝 目覚めてれて 硯箱を開け
筆を選び
墨を摺る

静かに静かに墨をする
呼吸をするかのような
墨の音が 心地よい

和紙を用意し 墨を落とす

面白いもので カッコよく 美しくと
思うと 手が震え出す

笑えてくるぐらい 震えている
ギランバレーに恋をして
箸さえ持てず
文字さえ書けなかったのだから

リハビリ リハビリ…

“自分の字を 描けば良い”って
思うと 震えは 静かになる

これで 良い….

墨と 和紙の香りの中で 
育ってはいたが
習字教室を 首になる程 下手である

でも 今は 褒めてやる

“なかなか 良いやん”

せっかくの祝いだから
どっぷり ハマった水引も 結んでみる
“松”飾りが かっこいい

包みを 考え お届けにあがる。

受付に寄る
カウンターに ポストイット
“楠喜園 茶テンダーさんが 来られたら
直ぐに 呼ぶ事”

ニコニコ微笑む お姉さん
直ぐに ニコニコと微笑みながら
降りてこられ

“何を 贈ろうかずっと ずっと悩んで
いたけど せっかくの 御縁を 生かさなくてはと….

熨斗に 水引を 魅せ呟く

“朝から 墨を摺り 書いてみました
水引は 松を 結び…
これも リハビリかなと…”

ギランバレーに恋をして
全く寝たきりで動けなかったことを
よく知ってられる お客様

ニコニコ微笑み 
“助かりましたありがとう”と


たかが お茶
されど お茶

今 私に出来る細やかな事
精一杯 重ねて参ります

楠喜園 茶テンダー 浮世雲

御祝い お集まり
色々な席で 本物のお茶 いれさせて
いただきます。

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