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見知らぬおばあちゃんとのわずかな会話

今日は、いい天気でした。

歩いていると、空は青いし、風はキリリと気持ちがいい。

赤信号で、あゆみを止めると、僕のちょうど真横に、杖をついたおばあちゃんがやってきました。

*****

「いい天気ねぇ。」

と、おばあちゃんは、僕に話しかけてきました。上品な雰囲気の方でした。

「いい天気ですね。お散歩にはちょうど良い気候ですね。」

と、僕は応えました。本当にいい天気でした。

「孫がね、家で、あれよ。パソコン。今日は、わたしが買い出しなの。」

と、おばあちゃん。

「そうですか。お孫さんがいらっしゃるんですね。ほんと、今日は、気持ちがいいですね。」

と、僕が言うと、信号は青になりました。

おばあちゃんは、杖を持っていましたが、しっかりとした足取りだったので、僕は、

「失礼します。お気をつけて。」

と言って、先に横断歩道を進みました。

*****

「あんたも気をつけるのよ!!」

突如、後ろから、おばあちゃんに、フランクな口調で、激励されたので、

「はい!」

と、僕は、思わず、振り返りながら返事をしました。

おばあちゃんは、笑っていました。

僕は、おばあちゃんと会話をして激励されたことが、何だかうれしくて、しばらくニヤニヤして歩きました。マスクをしていて良かったと思います。

*****

思えば、道ばたで、見知らぬ人から声をかけられるのが、久しぶりでした。

僕に、声をかけてくる人は、大抵は決まっています。

「おばあちゃん」、「外国人」、「何かの勧誘の人」のいずれかです。

そう考えると、最近、外国人に声をかけられていない気がします。

少し前までは、なぜか、あんなに外国人に道を聞かれたのに・・・。

*****

数年前に仕事で、タイのバンコクに行ったことがあります。

行きの国際線の飛行機の中で、CAさんが後ろの座席から順番に、ドリンクを配っていました。

僕の後ろの席は、タイの方だったようです。CAさんは、その方に、タイ語で話しかけ、ドリンクのやりとりをしていました。

僕の席に来ると、CAさんは、僕を見て、タイ語ではなく、英語で話しかけてきました。

僕は、「コーヒー、プリーズ!」と、何とか英語で言えました。

無事に、トラベル英会話を終え、コーヒーでホッと一息入れようとしたときです。

僕の前の席で、CAさんは、「お飲み物は何に致しますか?」と、それはそれは流ちょうな日本語で、オーダーを聞いていました。

日本語、話せるじゃねぇか!

・・・?  わたくし、顔、濃いかしら?

なぜか、僕は、よく外国人に話しかけられるのです・・・。

*****

今日は、おばあちゃんのおかげで、とても良き1日になりました。

見知らぬ者同士、何気ない会話を交わすって、いいもんですね。改めて実感です。

でも、誰にでもできるものでもないとも思っています。

もし、僕が、道でいきなり、

「今日は、いい天気ですね。」

と見知らぬ人に話しかけたらどうなるか。

変なおじさんに話しかけられたとして、小さな幸せどころか、小さな恐怖を与えてしまうと思うんです。だから、躊躇しています。

詰まるところ、おばあちゃんは、偉大だと思うんです。





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