氏家 法雄 ujike.norio
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記事をすべて見る すべて見るあんときのフィルムカメラ 鳥原学『教養としての写真全史』筑摩書房 + TOPCON RE-2 + RE Auto-Topcor 58mm F1.8
写真についての知識を網羅する「全史」 先日、図書館で何気なく手にした一冊が、鳥原学さんの『教養としての写真全史』(筑摩書房)です。 写真が趣味ですから、写真についてはある程度の理解はあるものとは認識していたのですが、本書を紐解くと、実に、写真について自分自身は丁寧に理解していなかったことを発見しまして、ちょっと驚いたりしています。 この本は、これから写真について学ぼうと思っている大学生や専門学校の学生を対象にした講義録がもとになったものといい、たしかに精巧に構成されてい
あんときのフィルムカメラ 井上理津子『絶滅危惧個人商店』筑摩書房 + Nicca 3-F + NIKKOR-H・C 5cm F2
久しぶりにいい本に出会った仕事柄、書物にはよく親しむ方ですが、「ひさしぶりにいい本に出会った」! それが、井上理津子さんの『絶滅危惧個人商店』(筑摩書房)。 量販店やコンビニの拡大に圧されて、いつの間にか個人商店が次々と消えていったのがこの数十年の動向で、そんな光景に寂しさを抱いた著者が「個人商店が『絶滅の危機に瀕している』という思いに駆られたこと」をきっかけに本書の企画が始まったといいます。 東京を中心に「営業歴が長そうで、なんだか味があり、街に溶け込んでいると推察す
あんときのフィルムカメラ ウィトゲンシュタイン、最初の一歩 Canon Eos Kiss 初代 + EF28-105mm F3.5-5.6 IV USM
ウィトゲンシュタイン、はじめの一歩言い方はよくないのだけれども、本屋や図書館で期待せずに手にした一冊が、実は、震えるほど面白い本だったことってありますよね。そういう逸書を僕は、 あたりの本 と呼んでいますが、先日読み終えた中村昇さんの『ウィトゲンシュタイン、最初の一歩』(亜紀書房)は、久しぶりの僕にとっての「あたりの本」となりました。 ただ思い返せば、だいぶ前に読んだ、そしてそれを面白く読んだ『落語 哲学』(亜紀書房)の著者と同一人物でしたから(ウィトゲンシュタイン本を
あんときのフィルムカメラ わーきゃー言いながら追いかけ合う頃 に出会った OLYMPUS OM1-MD + G.ZUIKO 28mm f3.5
つながり続けるこども食堂 こども食堂は「聞いたことはあるが、行ったことのない場所」だ。イメージだけで語るしかない。そして報道は、こども食堂が「食べれない子」のためにある場所のように伝えてきた。福祉っぽい場所だというイメージが張り付いてしまうのも無理はない。 しかし岡田さん(引用者補足…サッカー日本代表元監督の岡田武史さん)がそうだったように、行ってみると印象は一変する。 (出典)湯浅誠『つながり続けるこども食堂』中央公論新社、2021年、52頁。 「こども食堂」の普及・支
あんときのフィルムカメラ 20年ぶりのはじめてのハーフサイズカメラ BELOMO Agat 18K INDUSTAR-104 28mm F/2.8
はじめてのハーフカメラの「思い出」 思い出してみますと、はじめて使用したハーフサイズカメラは、ベラルーシ共和国(旧ソビエト)のBELOMO製のオールプラスチックのハーフサイズカメラAGAT18Kで、その次に使用したのが、アメリカのマーキュリーIIだったと思います。 それは2001年の冬のことで、当時は中野坂上に住んでい、中野~新宿界隈を撮影した記憶があります。ハーフサイズですから、例えば、36枚撮りのフィルムを入れると、倍の72枚撮影できるということで、デジカメ黎明期の
あんときのフィルムカメラ 1990年代の一眼レフの記憶をたどりながら CONTAX RTS + Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8
哲学とは何か臨床哲学者の鷲田清一さんは、フランスの思想家モーリス・メルロ=ポンティの言葉を引用しつつ、哲学とは、「人生の《初期設定》、あるいは社会生活の《フォーマット》を改めて問い直すこと」といいます。 つまり、私たち自身が改めて考えてみたり、再び点検しようとしない「あたりまえ」のことを疑うことから哲学は始まるとの指摘です。 しかし、「あたりまえ」のことを疑うというのは、勇気のいるものです。 なにしろ「それまであたりまえの前提であったことが崩れる、不明になる」ということ