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怠惰な僕へ、映画は黙って観ろ。

創作にあたってインプットというのは大切だ。
自分の引き出しを増やすという理由の他に、それによる心の安定が実は大きいのではないかと思っている。これは同時にインプットの多さでアウトプットの良さは決まらないという悲しい事実を伴った仮説なのだが、一旦置いておこう。

私は映像を作る。英訳の例題のような文章だがこれをなかなか訳すのは難しい。映像に当たる英単語が無いからだ。出身大学は College of Image and Sciencesと訳していたが……映像の持つ“動く画感”をここから読み取れるだろうか……?もちろん画像も映像に含まれるのでイメージ(画像?) と科学と言うのはおかしくないのだが……。

教養学部がCollege of Arts and Sciences なので、アートの部分を映像にしたのかなというが予想はつく。確かに「映像学部」で学ぶことの実態を表す分にはある程度ハマっているが、じゃあ 映像 ≒ image といわれて同意してくれる人間は映像学部の三回生以上でも、半分以下だと思う。なかなか一般的に言えないのだ。

この間、外国出身の方に大学でなにを勉強していたのかと問われ、説明があまりにも難しく、「映像」というのは改めて国際的には不便な単語だと感じた。とはいえ、映像という言葉の持つ包容力やニュアンスは魅力的なものがあり、むしろ世界的に映像を” eizo” としてくれないかなと思う次第である。

脱線が過ぎた。とにかく、ここまで映像のことをダラダラと連ねる程度には好きな話題なのだが、このnoteではあえて避けてきた。というのも、ある話になると一気にわからなくなってしまうからだ。それは「映画」である。

我が家は映画館に行く文化がなかった。ずっとテレビを見る家庭だったのでバラエティ番組やら一昔前のドラマとか、教育テレビ、ワイドショー、金曜ロードショーでやるジブリなどはわかるのだが、どうも全体的に「映画」の引き出しが恐ろしく少ない。

映像学部一回生のときに「MARVEL」を知らなくてドン引きされたことは、その後の映像学部生活のスタンスを決める大事な出来事だった。一般人に比べて如何に無知か、如何に知らなければいけないかを思い知らされた。しかし、まだ一作品も見たことはない。多分。知らないうちに見ていなければ……。映画見なきゃなぁ……。“映像教養学部”出身としては見なければいけないという責任感や、見ていないのかという罪悪感もある。

そんなこんなで、最近アニメ『チェンソーマン』が始まった。原作を布教されちゃんと読んでいたので、とても楽しみにしていたし、実際毎週楽しみにしている。中でもOPの楽曲はモー娘。からの引用を始めとしてギミックが多くなかなか刺激的である。この楽曲に関してつんく♂氏がnoteを書いていて、他の記事も見ているうちに、自分も一年前noteを始めようとしていたなと思い出して今に至る程だ。

OP映像に関しても、3Dと2Dのハイブリッドである本作に相応しいキャラクターの演技と、ダークさとコミカルさを併せ持ったトーンは傑作といっていいだろう。

その上で話題に上がるのが、各映画からの引用である。さあ、もうおわかりだろうか。これに関して「すげー」としか言えなくなってしまうのだ。僕も映像考察のときに他の作品を引用して喋りたい。でもなんにも見ていないんだ、俺は。悲しすぎる。

複製技術時代以前の芸術観を持った作品であれば、「いや、見れてないんすよねぇ」ってまだ言えたけど、今の時代の最先端の芸術作品を見ていないのはただただ怠惰によるものなのだ。複製されてどこでも見れるのだから。

確かに、映画館に行くのはハードルが高い。パニック障害持ちの自分にとってはなかなか違う意味でハラハラドキドキする場所だ。しかし、最近は症状も治まってきたし、多分行けない訳では無い。

というか別に映画館で見る必要はない。別にネトフリとかアマゾンプライムとかTSUTAYAとか (TSUTAYAってまだ映画レンタルとかってしてるの??) 家で見る方法はいくらでもある。公開終了している映画ならなおさらだ。

優しい僕は俺にこう諭してくれる。情報にあふれる時代において、取捨選択することはとても大事だ。「俺は映画は見ないんだ」って決断することは悪いことではない。むしろ正しいとも言える。実際、邦ロックはあんまり能動的に聴いていないけど罪悪感はないだろう?たまに聴くぐらいでいいじゃんねぇ。

でも!映画は観たいんだ!ちゃんと映画を観ている自分になりたいんだ!引用して作品を考察し、新しい作品だって作り出したい。全然関係ない作品同士の共通点を見つけたいし、逆に似ているようでこの作品とこの作品は違うって言える人間になりたい。パロディやオマージュを見つけたい!楽しいし!

が、俺は映画を全然見ていない。見たくないからではない。怠惰だからだ。面倒くさいんだ。

世の中には面倒くさくてやりたくないこともあるが、やりたいのに面倒くさいこともある。

それは創作であり、それはインプットであり、それがきっと鍛錬なのだ。
あー面倒クセェ。

本当は自分用のメモとして、この記事で見なければいけない映画を羅列したかったのに、あまりに長くなりすぎたので次回やります。やらないかもしれない。

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