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保育ママさん卒業にむけての葛藤

ロックダウン明け、3ヶ月半ぶりに会ったタタさんは娘と再会し嬉し涙。一方、娘はフランス語もすっかり忘れて、「おうちにかえるー!」と号泣。
生後3ヶ月の頃から預けていたので、別れ際に泣かれたことがなく、少し動揺しました。今まで信頼関係を築いていたタタさんだったらという安心感もあり、そこまで後ろ髪を引かれることなく仕事に向かえましたが。
その日、タタさんはいつもよりたくさん写真と動画を撮って送ってくれて、娘が「おさかなみたい」といっていた話をすれば、水槽がある児童館に連れて行ってくれました。

タタさんとの守りたい約束

フランス人の保育ママ、タタさんとの付き合いは、もう2年以上になりました。フランスの義務教育は満3歳以降、幼稚園から始まります。3歳以下は、保育園か保育ママさんです。
タタさんと契約する際に「どうか幼稚園に行くまでは面倒みさせてください」といわれました。これはどういうことかというと、保育園に入れずキャンセル待ちをしている期間を保育ママさんでしのぎ、保育園に空きがでたら保育ママさんとの契約をサクッと打ち切る人が時々いるからです。

「人様の子だから、自分の子を育てるよりも更に気をつけて、愛情を注いで大事に育てているのに、ある日、保育園に空きができたからという理由で、可愛がってた子を突然取り上げないでください。そんな別れは悲しすぎます。」
彼女のこの言葉で、私はこの人に娘が幼稚園に入るまでお願いしようと、心に決めました。

タタさんの家は我が家から車で片道45分。夫の職場の近くにあります。彼女の家の前には幼稚園もあり、こちらの自治体では3歳未満でも入園を受け入れていました。3歳未満は午前中だけの登園になるのですが、お昼前にタタさんが迎えに行き、それ以降、私達の仕事が終わるまでの時間は、タタさんの家で過ごすという9月からの新しい生活パターンを考えていました。

保育ママさんであることのネガティブな点のひとつに、少人数保育なので社会性が養われるのが遅れることがある、といわれています。そのため、フランスでは3歳前後には集団生活の機会を与えていったほうが良いという考え方があるのです。
フランスの新学期は9月から始まるので、それに向けて幼稚園の1年早め&越境入園の申請なども完了し、すべてが順調にみえていました。コロナまでは…。

職場の近くという立地が在宅勤務の足かせに

コロナでロックダウン中、学校は閉鎖しても、保育園と保育ママさんは子どもを預かれる期間がありました。ただし、我が家から車で片道45分の距離です。夫の職場の近くに住んでいる人を選んだ理由は、会社までの移動時間の短縮でした。それが夫婦共に在宅勤務に切り替わったことで、大きな負担に。朝晩それぞれ往復1時間半かけて送り迎えする気力がわかず、結局、娘はずっと家で過ごしていました。

フランスでは、7月1日が自粛生活ひと区切りという雰囲気があったので、それを期に娘は再び保育ママさんの家に行くようになりました。送り迎えはなんとか夫と分担していますが、今後の働き方は、来月ですらどうなるのか全く見えません。私の会社は全社員在宅勤務という発表をしたものの、デザイナーは例外になるという話になったり、相変わらず二転三転しています。夫の会社も特に発表はないものの、在宅勤務が続いています。夫は娘の送り迎えを理由に、特例で週に2回出社しています。
もし、今後も在宅勤務が定着したり、再びロックダウンになった場合、また娘は私達とずっと過ごすことに…。家で仕事をしながらの育児はiPadにお守りをしてもらっている状態で、健康的ではありません。コロナで混乱しているのか、越境入園を希望している幼稚園からの入園許可の連絡もない状態です。

タタさんからの珍しい休暇願い

娘がタタさんの元に再び通うようになってしばらくして「歯が痛くて、どうしても歯医者さんに行かなければならないから、預かれない日があります。」といわれました。これはとても珍しいことでした。保育ママさんも人によっては、よくお休みされる方もいます。そういうときは、他に保育ママさんを探すか、自分も休みを取らなければなりません。タタさんはいつも健康的で、お休みされたことはほとんどなく、今までそういった苦労がありませんでした。また、数日前、運悪くタタさんの家が水漏れをしてしまい、8月初めの一週間も工事のために休暇のお願いをされました。

ちょうどその日に限って、夫も私も出社日で大事な会議の日。私の上司に相談したところ、会社の保育園の一時預かりを聞いてみては?というのです。確かに、在宅勤務が推奨され、職場に出社している人は減っています。電話してみたところ、一時預かりだけでなく、9月以降も日中預かれるというのです。会社の保育園であれば、家から車で15分、保育料も安くなります。思わず勢いで入園のお願いをしてしまいました…。

本当に保育園で良いのかどうか

お迎えのときに、タタさんに「歯医者さんの日、預かれない件、調整つきましたか?」と聞かれて、会社の保育園の一時預かりにお願いすることになったというと、一瞬で何か察したようでした。ふだん言葉が拙い子どもを相手にしてるだけあって、とてもカンの良い人です。
入園にむけての準備はすすめていますが、同僚達からは「ちゃんと入園書類の受理をされるまでは、保育ママさんにいうべきではない」とアドバイスを受けました。最後の最後まで、どうなるかわからない国です。

ただ、タタさんとの契約を終了する場合、彼女も次に預かる子どもを見つける必要があります。9月が新学期なので、できるだけ早く告げるべきなのですが、踏ん切りがつきません…。内向的な性格の娘が保育園でうまくやっていけるのか。タタさんは、娘が生後3ヶ月から、私よりも長い時間接し、たくさんの愛情を注いでくれた人です。幼稚園の入園まであと1年間、タタさんの元に通い続けることも、頑張れば不可能ではない状況です。

まずは、一時預かりで娘の反応をみたいと思いますが、正直、今はとても悩んでいます。今日の記事は取り留めもない形になってしまいましたが、今の想いを書いてみるのも良いかと思いました。

今までのタタさんとのエピソードはこちらにあります。


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