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自作短編小説集

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これまでに書いた自作の短編小説を載せています。
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#自作小説

青春ミステリー小説『放課後の冒険』 第4話「ゾディアックの暗号文」

 水分補給をしてから、アディダスのショルダーバッグをからって、拓実は家を出た。  バッグ…

植木意志
3年前
4

青春ミステリー小説『放課後の冒険』 第2話「少年少女の心理戦」

 拓実は真相を確かめるために、葵に話しかけようとした。  しかしその直後に、「拓実!」と…

植木意志
3年前
2

青春ミステリー小説『放課後の冒険』 第1話「窓の外の落下物」

 プールの授業の後は、決まっていつも眠くなる。 特に今みたいに、退屈な国語が6時限目にやっ…

植木意志
3年前
3

自作短編小説『眠れぬ夜に聴くラジオ』

 眠れない夜には、ラジオを聴くことが私の習慣だった。  スピーカーから発信される誰かの声…

植木意志
3年前

短編小説『昼下がりの消失と出現』

 雨上がりの昼下がり、僕はいつもの喫茶店の定位置に座っていた。 通りの様子を悠然と見渡せ…

植木意志
3年前
10

自作短編小説『脅威のカリフラワー』

 唐突だが、僕はカリフラワーが嫌いだ。いや、それどころか憎んでさえいる。朝の憂鬱な通学中…

植木意志
3年前
1

自作短編小説『ため息の彼方』 第12(最終)話「ため息」

 その異変はパソコンの液晶画面の中で起きていた。違う、、、。そうだ、絶対に違う。  私が変に思ったのは、液晶画面に映る写真の女性モデルだった。厳密には、その女性の服装だった。確かに写真の女性は、水色のワンピースに白いサンダルという服装だったはずだ。しかし今、その女性は白いサンダルではなく、黄色のスニーカーを履いていた。  変だ。見間違うはずがない。私はこの記事において、いくつかの写真を元に、それらのファッションについての文章をパソコンに打ち込んでいた。しかし一番直近で文章

自作短編小説『ため息の彼方』 第11話「電話」

 都市の上空は夜明けの空が浮かんでいた。辺りは高層ビルの照明でやはり明るかった。空気は少…

植木意志
3年前

自作短編小説『ため息の彼方』 第10話「ブレックファスト」

 「具体的には、私はどうすればいいんでしょうか」と私は訊いた。 「そうね、量子テレポーテ…

植木意志
3年前
1

自作短編小説『ため息の彼方』 第9話「仮説」

 「さっきも言ったけど、この惑星が人類の移住に最適だったという話は真実だわ。でも一つの懸…

植木意志
3年前

自作短編小説『ため息の彼方』 第8話「ダイアローグ」

 「え、、、。えっと、その、私たちは日本語を話しているんじゃないんですか、、、?」と私は…

植木意志
3年前
1

自作短編小説『ため息の彼方』 第7話「ランドスケープ」

 カーテンが完全に開き、開放的な大きな窓が現れた。その先に、先程の夜明けの空と海の景色が…

植木意志
3年前
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自作短編小説『ため息の彼方』 第6話「歴史」

 私は少し迷った。私がこの世界の人間ではないということを打ち明けることに、少しの不安があ…

植木意志
3年前
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自作短編小説『ため息の彼方』 第5話「室内」

 開放的なロビーは閑散としていた。そこには殆ど誰もいなかった。左奥の窓辺のテーブル席で、一人のスーツ姿の男性が新聞を読んでいるくらいだった。彼は私の存在など気に留める様子もなく、難しい顔で新聞を読んでいた。その近寄り難い彼の雰囲気を、隣の観葉植物が幾分和らげているように見えた。  広々としたロビーの内装は、全体的に白を基調とした絢爛なデザインで統一されており、精緻な造りになっていた。天井にはいくつもの豪華そうなシャンデリアが吊るされていた。そのシャンデリアは煌びやかな照明を