【香港マーケティング事情:テイクアウトとケータリングが更に伸びるか?】

香港では2021年12月9日から、全てのレストランで政府が発行したLeaveHomeSafeというアプリを使って各店舗に置いてあるQRコードを読み込んでから入店しなければならなくなりました。LeaveHomeSafeは、香港の新型コロナウイルス接触確認アプリで、レストランを始め商業施設などあらゆるところに設置されたQRコードを読み込むことでユーザーが訪問した場所を記録するものです。同じ場所に陽性者がいた場合、PCR検査を促す通知を発信するなど感染拡大防止に用いられています。

これまでは、代用手段として入店時に決められたフォーマットの用紙に名前、携帯番号、入店日時、サインなどを記入し備え付けのボックスなどに投函する方法もありました。

しかしこの方法には、適当に記入する人がいたり、店舗側の不適切な管理や提出も散見されたりという問題点がありました。また、感染力が従来より強いといわれているオミクロン株への新たな対処にもなるといえます。

QRコードを読み込んでいますから、どこの誰が(香港人は全員IDナンバーを持っています)、いつ、どのお店にいたかが全て記録に残ります。本来の目的であるコロナ対策としてはクラスター発生時に効果を発するものですが、プライバシーが筒抜けになる懸念もあって、一人一台またはそれ以上の携帯電話を持っている700万の香港人の内、今日現在でもダウンロード数は100万強にとどまっています。

ということは、これからLeaveHomeSafeアプリを持っていない人はレストランでダインインできないということになります。これからは自炊(!)、テイクアウト、ケータリングを利用する人がまた増えるのかもしれません。飲食業界は再び、パンデミックの初期のようにテイクアウトやケータリングを対象にした商品・サービスを開発をしなければならないでしょうし、FoodpandaやDeliverooといったケータリング業者は、デリバリースタッフの拡充がうまくできれば、さらに需要が増えるかもしれません。香港の人たちは外食が好きなはずだったのですが、これからはどうなるのでしょうか…?

1月7日から続く午後6時以降の飲食店の店内飲食禁止、2月中旬から始まった地下鉄の午後8時以降の減便なども相まって、香港の飲食産業シーンは転換期にあります。

(追補)
以上の記事は少し前のものになりますが、オミクロン株の感染者急増を受けて香港政庁はゼロコロナ政策に少し舵を切ったように見えます。2月10日からは1テーブルの人数が2人迄になります。また、24日からはワクチンパスが徹底され、ワクチンの一回目を受けていない場合(全人口の約20%)はレストラン、公共の場所、さらにはスーパーマーケットに入ることはできなくなります。

1枚目

(テイクアウトを呼びかけるポスター) 

2枚目


(LeaveHomeSafeアプリの画面。 どの場所を訪ねたかが全て記録されています。)* 追補:更にワクチンパスの導入でこのアプリによって、ワクチンを接種しているかどうかが判別できるようになります。

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