上野顕太郎

暇を標榜しつつ、はや40年の漫画家です。最新単行本「治虫の国のアリス」 「週刊ファミ通…

上野顕太郎

暇を標榜しつつ、はや40年の漫画家です。最新単行本「治虫の国のアリス」 「週刊ファミ通」「ウエケンのゲーム誌ひさしぶり!」 京都精華大学で週一、マンガを教えています。

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はじまりは暇だから

 ソーシキ博士のお薦めで、noteを始める事になりましたよ。中々厳しい世相ではありますが、私の作品を読み続けて下さる奇特な方々に向けた、あるいは、私の作品をご存知ない方にも知って頂けるような、様々なコンテンツをご用意させて頂く所存です。  1、作品解説や裏話、制作方法  2、単行本未収録作品  3、未発表作品(デビュー前の作品)  4、中学、高校、大学時代に制作した肉筆同人誌  上記のような内容を検討していますが、なにしろまだ手探り状態、焦らずやってゆきたいと思うの

    • 忘れ得ぬギャグ・その6 「ラオスのけし」

       「忘れ得ぬ」と銘打っているのにも関わらず、細部が曖昧だったりする本シリーズなのだが、今回はメジャー中のメジャー「こちら葛飾区亀有公園前派出所」からのご紹介。 主人公の両さんは、プラモ作りの鬼才、松山ブラザーズの家を訪ね、そこに個人用に作ったガレージキットを見るのだが、その中に見かけないモデルを発見する。 私にとってこれは、マニアックで、ニッチな物を元ネタにするというギャグが開花した瞬間だった。 そして、このネタの元になった「ゴルゴ13 ラオスのけし」がこちら。 とは

      • 忘れ得ぬギャグ・その5 ちばてつや の「ぽけらきとんめん」

                   (文中、敬称略)  タイトルを一読しても意味が分からないと思うが、実は本文をお読みになっても意味はわからないと思う。書いている私にも意味が分からないのだから。 ちばてつやが画を担当した「あしたのジョー」の少年院のエピソード(KC 3巻)で、ジョーと力石に感化された院生達が思い思いにトレーニングをする中、腹筋を鍛えるメデシング・ボールの代わりに巨大なカボチャを腹に落とされた院生が言ったセリフが・・・ 「ぐえい ぎゃわ ぱりぽん」とは? ご承知の通り原

        • 忘れ得ぬギャグ・その4 「ぬくもりを求め過ぎた」

          「 屋台のラーメン屋さんの吹き鳴らすチャルメラの旋律」 と言っても中々共通認識が得られないかもしれない現代。 私の生活圏ではとんと見かけなくなったし、 何年も前に見かけた時も、チャルメラのメロディーは録音された音源だった。 文章で伝わるだろうか?伝わって欲しいが、例の物悲しいメロディ チャララーララ チャラララララー というアレです。  ここからが本題だが、沖縄出身の、たーにー、しゅうごパークの二人組からなるお笑いコンビで、最近「しゃもじ」から「ハンジロウ」と改名した

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        はじまりは暇だから

          「疫病流行記」イラスト案

          先日、「疫病流行記」のフライヤーイラストについて書かせて頂きましたが、 https://note.com/ueken18/n/n597ee7501903 今回は使われなかったイラスト案をご紹介させて頂きます。 以上、8枚のラフを「PSYCHOSIS」に送り、選別してもらった結果、FとCを合わせた案が採用されたというわけだ。 前回も書いたが、どれが選ばれても「不穏」な絵にはなっただろうし、描くのは楽しかっただろうと思います。 そんな私のイラストがメインビジュアルとして

          「疫病流行記」イラスト案

          忘れ得ぬギャグ・その3 「マイコン教室」

           「マンガで分かる〇〇」というジャンルは昔からあった。 古くは小学生向けの学習まんがから、大人のための知識、経済や株式を題材とした作品も多数ある。  本作は、1982年に講談社の「講談社まんがなぞふしぎシリーズ」の一冊として発表された。  タイトルからお分かり頂ける通り「マイコン」についてマンガで分かりやすく説明しているのだが、全編に渡って作者、くぼやすひと氏のセンスが爆発しており、単に知識を学ぶというマンガでは無く、ギャグに笑い、キャラクター同士の心の交流にほろっとさせ

          忘れ得ぬギャグ・その3 「マイコン教室」

          「疫病流行記」フライヤー

          劇団「PSYCHOSIS(サイコシス)」さんとは、妻が以前から関わりがあり、 (前作「G線上のアリア」では出演と共に、フライヤーのイラストを描かせて頂く)「ドグラマグラ」「津山三十人殺し」「G線上のアリア』と立て続けに観劇する機会を得ていたのだが、     (以前書いた「G線上のアリア」についての記事はこちら        https://note.com/ueken18/n/n509105a07c10) 次回作の「疫病流行記」のフライヤーイラストを依頼されたのはとてもあ

          「疫病流行記」フライヤー

          忘れ得ぬギャグ・その2

           「豊臣秀吉が、まだ木下藤吉郎だった頃・・・」 というフレーズは、特定の年齢層あるいは、特定のマニアにはお馴染みだが、  「ラッツ&スターが、まだシャネルズだった頃・・・」 というのが今回の話題。 もう40年以上昔の事で、カセットテープに録音して何度か聴いたので割と記憶に残っているのだが、シャネルズがパーソナリティを務めるラジオ番組があり、そこでは下らないコントが繰り広げられていた。  その回は、当時テレビの「〇〇スペシャル」などでよくあった「UFOは存在する!」と

          忘れ得ぬギャグ・その2

          妻の乱歩

          まずは、この画像をご覧頂きたい。  これは、「怪人二十面相」「少年探偵団」を始めとする、少年少女向け探偵小説や、「陰獣」「押し絵と旅する男」「芋虫」「鏡地獄」等の怪奇、猟奇小説等でお馴染みの作家、江戸川乱歩の事を余り知らない妻が、うろ覚えで描き上げたイラストなのだが、それぞれが何を現しているかお分かりだろうか?  じっくりお考えの上、スクロールして下さい、正解が下の方にあります。  なお、江戸川乱歩を知らない方には、正解を見たところで、「何の事やら?」でしょう。江戸川乱

          ロココ調のギロチン

           「ロココ調のギロチン」とは何だろうか?この世の誰も見た者はいないのではないだろうか?私もつい最近までは、見た事も聞いた事も無かった。  それは、間も無く公演される、劇団「PSYCHOSIS」のお芝居「G線上のアリア」のチラシやTシャツに使用されるビジュアルイメージを、私の妻こと、上野アサが受けた際の依頼内容だった。  フランス革命を主題とし、月蝕歌劇団版「ベルサイユのバラ」とも称された、高取英氏の脚本の舞台なので、「ギロチン」というアイコンが使われるのは至極真っ当なのだ

          ロココ調のギロチン

          忘れ得ぬギャグ・その1 「ポンチョスの定理」

          特に時系列にこだわらず、思い付いたものから、つらつら書き留めて行きたいと思います。  今回ご紹介させて頂くのは、2004年12月号「flowers」掲載の読み切り作品 「PEN-PEN」 浦本直見 わずか6ページの短編だし、どうやらこのマンガ家さんは引退し、現在はイラストを教えるお仕事をなさっているようだし、確認したところ、単行本も1冊を上梓されたのみなので、この作品をご存知の方もそう多くは無いのではないだろうか?  タイトルを含む冒頭1ページから、忘れ得ぬギャグに繋がりま

          忘れ得ぬギャグ・その1 「ポンチョスの定理」

          ゴルゴ13「狙撃のGT」

          「ゴルゴ13」の初期の傑作「狙撃のGT」(第12話、SPコミックス3巻)は、山間部を時速90キロで疾走する列車の中にいる人物を狙撃するという、極めて困難な仕事に挑むという物語なのだが、タイトルにある「GT」が何を意味するのかを考えて、眠れぬ夜を過ごした経験がどなたにもある事と思う。  それもその筈、作中には一切「GT」に関する記述は無いのだ!  2000年に小学館から発行された「オフィシャル・ブック THEゴルゴ学」にも、タイトルとあらすじは記載されているのだが、残念なが

          ゴルゴ13「狙撃のGT」

          スタートレック・ネクストジェネレーション 「昆虫類の通達」

           ここ1年の間に「スタートレック」が好きと言う人に3人出会った。最初のシリーズをちょっと観て、最近の、クリス・パインが若き日のカーク船長を演じる映画版2本を観ていたくらいだが、気になっていたシリーズではあった。やはり昨年「ツインピークス」が大好きな友人にDVDを借りて観た経緯もあって、それなら「スタートレック」にも挑戦しようかなと思っていた所、3人のうちの1人、マンガ家の田中圭一さんが「ネクストジェネレーション」をBOXで貸して下さり、おまけに「全部観るのは大変だろうから」と

          スタートレック・ネクストジェネレーション 「昆虫類の通達」

          うるかす

           食事で使用した食器や鍋等に、ご飯等、強い力でこびりついた食材を、しばらく水に浸け、ふやかしてから拭い去るという行為をされている方はいらっしゃいますか?いらっしゃる事と思う。  その際、「水に浸けておく事」をよく「うるかす」と言うのだが、この言葉が標準語では無いと言う事をここ数年まで、妻に指摘されるまで知らずにいた私。  実は私の両親が北海道出身なのでこの方言を知らずに習得していたのだが、北海道から東北地方で使われる表現のようで、私の様に標準語では無いという事に気づかずに使っ

          この頃のゲームマンガ

          ありがたい事にゲームマンガ「ウエケンのゲーム誌ひさしぶり!」の連載を続けさせて頂いている。  ネタの作り方だが、担当編集にゲームを紹介して頂き、体験版があれば、プレイし、安い物だと自分で購入し、時には送って頂いたりして、1本のソフトに対して1〜4回位作品を仕上げてゆく。  最近取り上げたソフトは、 「屍喰らいの冒険メシ」(日本一ソフトウェア) https://nippon1.jp/consumer/boukenmeshi/  ダンジョン内にて食糧を調達する過酷さを、

          この頃のゲームマンガ

          翻訳された海外のギャグ

          レスリー・ニールセン主演の映画「裸のガンを持つ男」(1988年公開)は日本でもヒットし、シリーズは3作まで製作された。 元となったテレビシリーズ「フライング・コップ」はわずか6話のみだが、当時マニアックなギャグ好きな者たちの心とか色んな所をギュッと鷲掴みにされた作品だった。  鷲掴みにされた一人だった私は、封切りされてすぐに劇場で鑑賞したのだが、テレビ版のクールなスタイルでは無く、少し大袈裟な演出になっていたのは鼻についたものの、まあまあ面白かった。  劇場版のクレジッ

          翻訳された海外のギャグ