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忘れ得ぬギャグ・その5 ちばてつや の「ぽけらきとんめん」

           (文中、敬称略)
 タイトルを一読しても意味が分からないと思うが、実は本文をお読みになっても意味はわからないと思う。書いている私にも意味が分からないのだから。

ちばてつやが画を担当した「あしたのジョー」の少年院のエピソード(KC 3巻)で、ジョーと力石に感化された院生達が思い思いにトレーニングをする中、腹筋を鍛えるメデシング・ボールの代わりに巨大なカボチャを腹に落とされた院生が言ったセリフが・・・


高森朝雄・ちばてつや「あしたのジョー」KC3巻より

「ぐえい ぎゃわ ぱりぽん」とは?

ご承知の通り原作は、高森朝雄こと梶原一騎の筆によるものだが、原作にこんなセリフがあったとは思えない。これは、ちばてつや発信のセリフでは無いだろうか。そう思うのには根拠があって、「あしたのジョー」連載中に始まった「餓鬼」の中に、同様な表現があったからだ。


ちばてつや「餓鬼」KC1巻より

「ぽけらきとんめん」!?

こんな単語は存在しない。何かの暗号なのだろうか?

両者に共通するのは、肉体的ダメージを受けているという事だ。痛さのあまり意味不明な言葉を、言葉にならない言葉が思わず発せられたと考えるのが妥当なのかもしれない。だとすると、ちばてつやの言語センスは頭抜けている考えざるを得ない。「ぐえい ぎゃわ」までなら何となく痛みが伝わる音声だが、「ぱりぽん」「ぽけらきとんめん」と聞いて痛さを感じるだろうか?

 そしてここに、実に興味深い一例がある。同じく「餓鬼」の中の一コマ。股間を蹴り上げられた男が発するセリフ、

ちばてつや「餓鬼」KC2巻より

「きんらんどんす〜」

これは分かる。「花嫁人形」という歌で覚えた言葉だが「金襴緞子(高級な織物)」の事だろう。股間のきんらんを、どんすっと蹴られたので思わず叫ぶ、分かる(男性限定)。この例が理解出来たとして、あるいは理解出来たと思い込めたとしても、相変わらず先のニ例の謎は解けずじまい。これはもう、ここで想像を巡らせたとしても、埒が明かない。これはもう関係者の情報を待つか、直接ご本人に聞いてみるしか無いだろう。コネも何も無いけれど。パーティ等で数回お会いしただけの薄い関係性だけれど。ちばプロに問い合わせしたら、回答は頂けるだろうか?この様な個人的な疑問に対して。

因みに、以前、マンガの描き方についての本を出版した際に、直接マンガの描き方を出されてはいないけれど、マンガ家としての心構えについて書かれた文章を御著書から引用させて頂いたので、


「ちばてつや自伝 みんみん蝉の唄 」講談社

とあるパーティでその旨ご説明してお渡ししたところ、ちば先生が、私におっしゃったね。

「あなたもマンガ家なんだから、サインしてよ。」

私が?ちばてつやにサインを!?
描かせて頂きましたよ、ありがたかったな。ちば先生は優しかった。

そんな訳で、この謎が解ける日は来るのか?
ほんわか忘れてお待ち下さい!


ところで、そもそもこれはギャグのつもりで描かれた表現なのだろうか?




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