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日本人のお坊さんが、インドの被差別民を救う???書籍「世界が驚くニッポンのお坊さん 佐々井秀嶺、インドに笑う」見どころと感想①

今回は、皆様に是非オススメしたい本の紹介です。

佐々井秀嶺についてご存じない?
あなたは損をしている!!!!
とても偉大な日本出身インド在住の僧侶です。
この記事では、佐々井秀嶺氏の紹介と、「世界が驚くニッポンのお坊さん 佐々井秀嶺、インドに笑う」という書籍の紹介をしたいと思います。

佐々井秀嶺とはどのような人なのか

インドのカーストについて

彼を語るには、まずインドのカースト制度の悲惨さから説明しなければなりません。

https://www.yoga-gene.com/post-34051/caste_india-2/ より引用

インドにはカースト制度があるというのは周知のことだと思います。
上記画像は、各カースト制度について説明した図です。
上位カーストは上から順番に「バラモン」「クシャトリア」「ヴァイシャ」というカースト、下位カーストには「シュードラ」というものがあります。シュードラは奴隷階級と言われ、結構厳しい生活を強いられています。

しかし、そのシュードラよりも厳しい環境に置かれているのが、「ダリット」というカーストです。「アウトカースト」という位置づけで、カーストの枠外に定義されます。もはや人間扱いされていない階級です。
「触れると穢れる」として多くの国民から差別され続け、ろくな仕事につけず、暴行・殺人のターゲットにされ、土地や財産を持つことすら許されない。ここ最近は、彼らへの差別をなくすような法律も施行されたりはしているものの、地域によっては未だに人間以下の扱いを受ける人々だらけです。
アメリカ等に移民して差別から逃げたとしても、上司がインド系で、自分のカーストがダリットであるとバレれば出世はできないし、いじめのターゲットにされたり暴力を受けたりすることもあるそうです。

現在、インド人口は14億人を突破していますが、12億だった2019年付近では、ダリットの割合は約2割。12億という数字から単純計算をすると、約2.4億人のダリットがインドに存在していたことになります。日本の人口の約2倍もの人が、人間らしい扱いをされずに苦しんでいたのです。

カースト制度による差別が根強いその理由は、インド人の多くが信仰しているヒンドゥー教。

ヒンドゥー教には仏教と同じように輪廻転生の考えがあるわけですが、ヒンドゥー教では、現世での信仰と業(行い:カルマ)によって、次の人生(来世)の宿命、つまりヴァルナの階級が定まると考えられています。
つまり、現世にダリットとして生まれてきた人間は、前世で相応に悪い行いを行ったためであり、その罰としてダリットの家庭に生まれてきたと解釈され、また悪い行いで汚れているからこそ、他の人間は触ってはならない不可触民であるというわけです。
一方で、現世にダリットとして生まれてきた人間は、禁じられている様々な行いを守り、また、他の人間がやりたくない職業に従事することでカルマを高め、来世にはより高い階級の身分に生まれることが出来ると信じられています。

https://world-note.com/dalit/#toc4
ダリット(不可触民)はインドのヒンドゥー教社会で抑圧された人々|人口数や職業など現状を見ていく | 世界雑学ノート より引用

つまり、ヒンドゥー教を信仰している限り、ダリットの人々は、自身の身に起きている理不尽な状況を納得するしかないんです。だって、自分が信じて敬っているものが、そういう考えの元に成り立っているんだから。

カーストに苦しむ人々を救う救世主・佐々井秀嶺

そんな、被差別対象だったダリットの方々を始めとした、インドのカースト制度に苦しんでいる人々が、カースト制度のない仏教に改宗する、といった動きが爆発的に広まっているようなのです。
半世紀ほど前には数十万人しかいなかったインド国内での仏教徒は、今では日本人口を遥かに超える1.5億人に増加しました。
一体、何が起こったのか?
その大きな流れを起こした中心的人物が、この記事で紹介する佐々井秀嶺なのです!

実績を見るだけでも面白い

佐々井秀嶺氏のこれまでの人生は、本当に面白い。
本を読むのが難しい方、Wikipediaだけでも読んでみてください。

大まかな個人としての歴史・実績等が無機質に並べられたシンプルな記事ではあるのですが、数が多い上に、全部濃い。
Wikipediaを読んだだけでも、面白い人生に引き込まれて、佐々井秀嶺氏の虜になってしまいます。

人生はもっと面白い。書籍「世界が驚くニッポンのお坊さん 佐々井秀嶺、インドに笑う」紹介

日本で生まれ育ち、若い頃は本当にどうしようもなかったらしい佐々井さん。
女性関係で問題を抱え、自殺未遂を起こしたあと、和尚に助けられ、佐々井さんは仏教に出会います。
それから高尾山→タイと修行する土地を転々とし、また女性トラブルなどが絶えず、合計で3度の自殺未遂を起こします。そうして、紆余曲折あってインドにたどり着きます。
そのへんの紆余曲折については、書籍「世界が驚くニッポンのお坊さん 佐々井秀嶺、インドに笑う」からいろいろ知ることができます。なんだか目を背けたくなるような悲惨な場面も多々あるんだけど、筆者:白石あづささんの読みやすい文章でコミカルに描かれていて、めちゃくちゃ読みやすい。

インドにたどり着くまでに紆余曲折あった人生、そして、インドで経験した様々な出来事が流れるように読めます。
ヒンドゥー教徒との仁義なき戦い、政府との戦い、武士道精神で死ぬ気で戦った結果政府からも怖がられる存在となったこと、政府からは恐れられる存在ではあるものの、普段は町の住民が四六時中お悩み相談に来るような親しみ深い存在であること…。そんなことが、あるページではドキュメンタリーチックに、あるページではエッセイチックに書かれています。
一章一章は短くて読みやすい。しかし、全部読んだあとは心にズーンと響いてくれる…そんな本です。
是非、皆様手にとって読んでみてください!

最後に、本の概要を引用します。

大多数がヒンドゥー教徒であるインドで、不可触民と呼ばれる人々を中心にカーストのない仏教に改宗する人々がいま爆発的に増えている。不可触民とはインド人口12億人のうちの約2割を占める、一番下の階級(シュードラ)にさえ入れないカースト外の人々、ダリット。3000年間にわたり、「触れると穢れる」と差別されてきた人々が、いま次々に仏教に改宗し、半世紀ほど前には数十万人しかいなかった仏教徒が今や1億5千万人を超えている。その中心的役割を果たしてきたのが、佐々木秀嶺だ。

わずか十畳ほどの部屋で暮らし、擦り切れた衣をまとった自称「乞食坊主」。子どもを見ると顔を綻ばせて喜ぶ心優しい小柄なお坊さんだが、その正体は電話一本で何万人もの人を動かすインド仏教の大親分。核実験が起きれば首相官邸まで乗り込み、ヒンドゥー教徒に乗っ取られた仏教遺跡を奪還するため何ヶ月も座り込みを敢行。弱い立場の人々のため、「これが武士道だ」と言ってみずからの命も惜しまず、モラルに反することには断固抗議。日本からやってきた怪僧にインド人もビックリ!である。

色情因縁に悩み、3度の自殺未遂を経て、高尾山からタイ、そしてインド・ナグプールへ。龍樹菩薩のお告げに従い、インドで一生仏教布教に専念すると決めてからは、ブッダガヤ闘争やマンセル遺跡の発掘など、インド中を巻き込む闘いを単身挑んできた。インドの貧しい人々のために身を捧げ続けるのは、男・佐々井さんの「武士道」精神だった。

本書は、ほんの偶然から佐々井上人を取材することになった、女性ライターによる密着同行記である。

100万人がいっせいに仏教に改宗する「大改宗式」の様子や、佐々井さんの日常生活、そして陰謀と迷信うずまくディープなリアルインドを、爆笑必至のユーモア溢れる筆致で描く。

https://amzn.to/3Ec40aE より引用

本日の記事では、佐々井秀嶺氏・書籍についての概要を紹介しました。
次回の紹介記事では、書籍内でのオススメの章について、紹介したいと思います。

→その2はこちら!


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