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「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクト

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UCI Lab.と京都工芸繊維大学 デザイン・建築学系 櫛研究室の産学連携活動。プロセスや最新動向を公開。https://ucilab.co.jp/shelter-project/
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記事一覧

「机上の空論ではダメ」 避難生活のにおい問題に挑む製品づくりで、学生たちが気づいたこと

【学生インタビュー/後編】 プロジェクトに参加して気づいた、現場の声からしか生まれないデザイン いよいよ最終フェーズに入った、「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクト。 このプロジェクトでは、自然災害に見舞われた被災地において、命を奪いはしないものの実は深刻な「におい」の問題に焦点をあて、避難生活のストレスを少しでも軽減できるようなプロダクトの開発に取り組んできました。 これまで、noteの中でその過程をお見せしてきましたが、今回はプロジェクトに携わった京都工芸繊維大学

「被災者って誰なんだろう?」 避難生活の「におい」問題に挑んだ学生たちが考えたこと

【学生インタビュー/前編】 避難所と日常をつなぐ「ものづくり」で見えてきたもの いよいよ最終フェーズに入った、「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクト。 このプロジェクトでは、自然災害に見舞われた被災地において、命を奪いはしないものの実は深刻な「におい」の問題に焦点をあて、避難生活のストレスを少しでも軽減できるようなプロダクトの開発に取り組んできました。 先日公開した活動リポートでは、実用化に向けた実証実験の様子とプロトタイプの磨き上げの工程をご紹介。被災地の声をもとに

より使いやすく、壊れにくく。避難生活のにおい問題に挑む試作品を磨き上げる

自然災害の発生した被災地で、人の命こそ奪わないものの、実は大きなストレス源となっている「におい」。 私たちUCI Lab. と京都工芸繊維大学、パナソニックの3者は今、この被災地で感じる「におい」問題の解決を目指して、パナソニックの「ナノイーX」を活用したプロダクトの開発に挑戦しています。 2023年秋から、開発はいよいよ最終フェーズに突入。12月には豪雨災害で被災した福岡県八女郡広川町で実証実験を行い、プロトタイプが実際に被災した品々に対しても高い消臭効果を発揮できるこ

驚くほどの効果を得られた実証実験。「避難所の衛生ストレス」解決プロジェクト、最終フェーズへ

正直、こんなに効果が表れるとは思いませんでした。 被災地で実は深刻な「におい」問題の解決に挑む製品のプロトタイプの話です。 2023年12月、私たちUCI Lab.と京都工芸繊維大学の教員・学生、パナソニックの3者で取り組んでいる「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクトは、いよいよ開発の最終フェーズに入り、プロトタイプの実証実験を行いました。2023年7月の豪雨災害で被災した福岡県八女郡広川町の社会福祉協議会(以下、広川町社協)の方々にお願いし、実際に水害の被害を受けた

最終フェーズに向かう「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクト 技術の人(パナソニック担当者)と防災の人(被災地支援者)に聴く今後の期待

先日公開した、「避難所の衛生ストレス問題解決」プロジェクトに関する2つの記事。 これらの記事では、プロジェクトの中で開発した、被災地で活用可能な消臭機能のあるプロダクトの試作品に関して、被災経験者のフィードバックの内容や開発にかける想いを紹介してきました。 実は今回、「避難所の衛生ストレス問題解決」プロジェクトについて、防災にまつわる活動を手がける「つなぎteおおむた」の彌永恵理(いやなが・えり)様と商品開発で必要不可欠なナノイーXをはじめ産学連携を行っているパナソニ

防災と日常をつなぎ、本当に使える製品を。「避難所の衛生ストレス」解決に挑むプロジェクトはいよいよ最終章へ

日頃から当たり前のように行っている、歯磨きや入浴、手洗いなどの衛生行動。 しかし、自然災害に見舞われた被災地の避難所や避難生活では、こうした身の回りの清潔さを保つための行動をなかなか実現することができず、「衛生ストレス」となってしまいます。 こうした問題をデザインと技術の力で解決しようと立ち上がった「避難所の衛生ストレス問題解決」プロジェクト。本プロジェクトでは現在、被災地で実は深刻な「におい」の問題に焦点を当て、パナソニックの「ナノイーX」の技術を用いながら、京都工芸繊

実は深刻な避難生活の「におい」問題。解決を目指すプロダクトを、被災経験者はどう見た?

「口が裂けても『くさい』なんて言えない」 「くさいとか、もう関係ないんです。全員くさいし。そんなこと言ってる場合じゃない」 これは、東日本大震災の被災地を経験した方がおっしゃっていた言葉です。 あまり話題になることはありませんが、地震や豪雨などの自然災害に見舞われた被災地では、実は「におい」が、避難生活で感じるストレスの一つの要因になっていることをご存知でしょうか。 水害の発生した地域であれば、汚泥の持つ独特のにおいが鼻を突き、津波などで魚が打ち上げられてしまったエリア

泥だらけの一日:災害ボランティアと洗濯物の物語

※ 9月10日、ChatGPTに原稿を見せて考えてもらったタイトルに変更してみました。 はじめて災害ボランティアをしてきた日のこと 8月下旬、仕事の出張の合間に久留米市で1日だけ災害ボランティアに参加してきました。その時に感じたことを、書いておこうと思います。 いつもではない日の、いつもの洗濯物 「なんとか、ここまでは終わったーー!」 その日の作業を終えた後、みんなでトタン屋根の陰に逃げ込み座り込んだ。お家の方からいただいたペットボトルのお茶を砂漠な身体に供給する。今

「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクト最終年度がスタートしました!

こんにちは。 イノベーション・エージェント UCI Lab. の渡辺隆史です。 2023年も6月の台風2号や7月の記録的大雨、お盆休みを襲った台風7号など各地で大規模な水害が発生し続けています。被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。 あらためて「誰もが自然災害に常に備えておく必要がある」ことを意識しながら、私たちが取り組む産学連携プロジェクトが今年度もスタートしています。 このnoteでは、まず「避難所の衛生ストレス解決プロジェクト」(以下、避難所プロジェクト

フィールドワーク @広島&九州/プロトタイプ・フィードバックの旅03

ここでは、2021年7月にYRK& / UCI Lab.と京都工芸繊維大学 櫛研究室の共同研究として開始した「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクトの活動風景をいち早くリポートしていきます。 フィードバックの旅 3日目 〜九州 熊本編〜フィードバックの旅3日目はレンタカーで大牟田から熊本県南阿蘇村に向かいます。 2022年9月22日(木) 橋村さん、森さんに会いにいく 本プロジェクトにおいて、以前からヒアリングなどでお世話になっている橋村さくらさんと熊本地震や2年前の豪

フィールドワーク @広島&九州/プロトタイプ・フィードバックの旅02

ここでは、2021年7月にYRK& / UCI Lab.と京都工芸繊維大学 櫛研究室の共同研究として開始した「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクトの活動風景をいち早くリポートしていきます。 フィードバックの旅 2日目 〜福岡 大牟田編〜プロトタイプ・フィードバックの旅2日目は九州に向かいます。これまで仙台や広島には訪れていましたが、九州では初めてのフィールドワークとなります。何度も話題にはあがりながら、なかなか赴くことのできなかった地にやっと足を運ぶことができ、スタッフ一

フィールドワーク @広島&九州/プロトタイプ・フィードバックの旅01

ここでは、2021年7月にYRK& / UCI Lab.と京都工芸繊維大学 櫛研究室の共同研究として開始した「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクトの活動風景をいち早くリポートしていきます。 フィードバックの旅 1日目 〜広島編〜2022年9月20日(火)〜22日(木)の3日間にわたり、広島県と九州においてフィールドワークを実施してきました。今回のフィールドワークの目的は、このプロジェクトが発足して間もない頃から、オンラインミーティングなどでいろいろなアドバイスや知見を頂戴

避難生活10の気づき 【長期化した避難生活編】

第3回は、「長期化した避難生活」についての3つの気づきです。 避難生活10の気づき 【長期化した避難生活編】被災後数月〜年、仮設住宅等で過ごす 06:互いに支え合う力避難所には子どもや高齢者、障がいのある方など その地域に住む多様な人々が集まる 一方通行の援助ではなく互いにケアしあう空間にするための コミュニケーションの知恵とは? 避難生活に、もっと「ケア」の知見を活用できるのでは 自分自身が被災することを想像してみる。それは、私たちの日常がいかに誰かからの見えないケ

避難生活10の気づき 【避難生活編】

第2回は、「避難生活」についての3つの気づきです。 避難生活10の気づき 【避難生活編】〜被災直後から数か月、避難所等で過ごす〜 03:緊急事態での「水」水は避難所では貴重な資源 。 たとえ飲めなくても、いろいろな使い道がある。 現場の工夫に寄り添った道具がつくれないか? 緊急事態での水の用途に合わせた処理方法とは? 避難所では、「水」が日常よりもたくさんの種類に分類されていたように思う。積もった雪をお風呂で保管したり沢の水や学校のプールの水など、実に多様な水源が立ち