避難生活10の気づき 【長期化した避難生活編】
第3回は、「長期化した避難生活」についての3つの気づきです。
避難生活10の気づき 【長期化した避難生活編】
被災後数月〜年、仮設住宅等で過ごす
06:互いに支え合う力
避難所には子どもや高齢者、障がいのある方など
その地域に住む多様な人々が集まる
一方通行の援助ではなく互いにケアしあう空間にするための
コミュニケーションの知恵とは?
避難生活に、もっと「ケア」の知見を活用できるのでは
自分自身が被災することを想像してみる。それは、私たちの日常がいかに誰かからの見えないケアに支えられてきたかを自覚する機会になるだろう。私たちの社会は、ちょっと気に掛けることから誰かの食事を介助することまで、実に“広い意味でのケア”を提供しあい受け取りあう関係によって成立している。
平常時の生活では見えにくいケア行為がはっきり浮かび上がってくるのが避難生活でもある。
このようにケアし合う関係性は、本来“その社会”の内部に埋め込まれている。災害時は、外部からの支援が必要になるが、それが現場の人々の主体性を奪わないように配慮が必要だと改めて感じた。それには、介護や看護業界で用いられている支援やコミュニケーションにおける態度や技法から多くを学べるのではないか。その知見を被災者支援でも活用する可能性を考えたい。
07:困りごとの言い難さ
緊急事態のなか困りごとの声を上げるのは難しいかもしれない
どうして欲しいか自分ではわからないこともあるだろう
ワークショップなどの場づくりの知恵は、
今どう活かされているのか?
どうやって遠慮や躊躇なく「ニーズ」を引き出すか
ひとつの災害でも被災の大きさは地域や家屋ごとにばらつきがある。大きな被害を見ると「自分が被災者とは言いづらい」という気持ちになるという。被災後落ち着いた頃に地域の方にニーズ調査が行われると聞いたが、気後れしたマインドで困りごとを訊かれても、わがままのように感じて言い出せなかったり、うまく思いつかなかったり、偏りが生じるのではないか。そこで、聞き取りではなくワークショップのような形なら出てくる内容もかわってくるのでは。例えば「この地域を自分たちでよりよくするアイデア」というお題なら、ニーズが主体的で創造的なアイデアになって出てくるかも。自助や共助というキーワードに知らずに潜む見えない「圧」を取り払って、声なき声を聴き取り、創造的な合意形成をするために何ができるか。例えば、我々UCI Lab.で行っているような、ビジネスの現場でのイノベーションのためのワークショップの視点が役立つ余地はないだろうか。
08:都市での避難生活
万が一のために地域コミュニティが大切!とは言うものの
防災のためのコミュニティは維持できない
都市部らしいつながり方があるのでは?
地縁ではなく共感軸で集まる「サテライト避難所」の可能性
コミュニティの希薄な都市部では大規模な避難所に集まっても知人は少ない。自宅避難では危険や不安な場合もある。ならば、発災直後の緊急避難のあとは、趣味や行きつけの店など同じような嗜好(思考)の人が20人程度集まって協力し合って過ごす方が安心できて各自の主体性も発揮できるのではないか。分散型でプライベートな「サテライト避難所」のようなもの。それは防災のためのつながりではなく、日頃のコミュニティの中で、少し災害時のことを考え話しておくことから生まれるものだろう。
このような新しい避難生活スタイルを支援するために、マニュアル的な知恵の共有や、サテライト同士や公的機関と上手につながり合うデジタルな仕組みが求められていくのではないか。
続けて、避難生活10の気づき【日常編】もぜひ、ご一読ください。
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