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研究者・ベンチャーの製造課題を解決する町工場集団「スーパーファクトリーグループ」

こんにちは。リバネス製造開発事業部の内山です。

専門は機械工学、人間中心設計(※)。 産業機械メーカーでのエンジニア経験と、デザインエージェンシーでの体験/サービスのデザイン経験を活かしながら、リバネスでは新規事業開発/試作開発/ベンチャー支援/次世代への科学・技術教育に従事しています。
※人間中心設計とは、技術中心ではなく、人の課題やニーズを中心においたモノ・コトづくりの考え方。

本noteマガジンについて

プロトタイプ作製、モックアップ品、PoC、量産化、スケールアップなどでお困りの研究者・ベンチャーの皆様に届ける、製造に関してのnoteです。 研究開発型のベンチャーが、その技術の社会実装を目指す中で、製造の知見は必要ですが多くの方にとって、未知な領域でもあるかと思います。なんとか一歩ずつでも社会実装を進めるための知識を紹介していきます。

今回のnoteでは、研究者・ベンチャーの「製造」を共にサポートしている、町工場チーム「スーパーファクトリーグループ」を紹介します。

これまで、彼らと共に支援してきたのは下記のような研究開発型ベンチャーです。

・台風でも発電できる世界初の風力発電機を開発している「チャレナジー」
・社会から孤独をなくすべく分身ロボットを開発している「オリィ研究所」
・エンジン搭載で重量物を積載しながら長時間飛行できるハイブリッドドローンを開発している「エアロジーラボ」
・砂漠の太陽光パネルを無水で清掃できるロボットを開発している「未来機械」

これらをはじめとするベンチャーと共に試行錯誤をしながら、世界初の技術を社会実装すべく、多くの製造的ハードルを越えてきました。(各社のリンクは本note末尾を参照)

製造開発事業部では、それらの経験をもとに、VUCA(※)の時代において求められる製造のあり方を再定義しようと模索しています。

※VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとって作られた単語。見通しの立たない現代のカオス化した経済環境を指す言葉です。

製造開発事業部が捉えている課題感について:

研究開発型ベンチャー支援のプラットフォーム

研究開発型ベンチャーを総合的に支援するための仕組みづくりとして、次のようなプラットフォームを構築して、推進しています。

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研究開発型ベンチャーの開発課題を解決していく上で、欠かせないパートナーが「スーパーファクトリーグループ(SFG)」という町工場のチームです。

町工場が多数存在する地域にはハブとなっている町工場が存在します。その中でも、抽象的な要望を汲み取り設計・試作に落とし込み、他の町工場と連携して製造し、仮説検証を回していくことを得意としている町工場が、お互いの知見を持ち寄って開発体制を構築し、1社の町工場では実現が困難であった複合的な開発を実現します。

現在パートナーを組んでいる町工場の名前と特徴は、次の通りです。「Garage 〇〇〇」というのは、ベンチャー支援のためのインキュベーション施設の名称で、共創を生むための環境作りから取り組んでいる町工場になります。どの町工場も基本的に設計段階から相談が可能となりますが、得意としている事業分野・加工分野が異なります。

SFG一覧

・株式会社浜野製作所(Garage Sumida)
・成光精密株式会社(Garage Minato)
・株式会社木幡計器製作所(Garage Taisho)
・株式会社アオキシンテック(Garage Tochigi)
・サンケイエンジニアリング株式会社(Garage Ota)
・墨田加工株式会社

株式会社浜野製作所(Garage Sumida)

Garage Sumidaは、2014年の開設以来、ベンチャーや大手企業、大学・研究機関等に向け、開発・設計から試作・量産・組立・メインテナンスまで、経験豊富なエンジニア・職人自らがものづくりのトータルサポートを行っています。特に、遠隔コミュニケーションロボットOrihimeを開発するオリィ研究所やパーソナルモビリティのWHILL、台風発電機のチャレナジーなど、バラエティーに富んだ数々のベンチャーの製品開発に携っています。
自らの革新的なテクノロジーで世の中の課題解決に貢献したい情熱に溢れる方々と、共に悩み、苦しみながら新たなモノ、またそれらを通じたサービスを生み出していきたいと願っております。
得意分野:金属塑性加工(精密板金加工、金型・プレス加工)、切削加工、デジタルファブリケーション

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成光精密株式会社(Garage Minato)

「Garage Minato」は研究者、ベンチャー企業のアイデアをより早く具現化する為のプラットフォームです。新しいコンセプトのもとに生まれる製品・サービスの早期社会実装が期待され、これからは開発製造におけるスピード感もますます求められます。研究者やベンチャー企業と、モノヅクリ人が関係性を深め理解しあえる場、アイデアがその場で、すぐにカタチになる『アイデア具現化ファクトリー』が必要です。そのスピード感を実現させるのは、人と人との距離感です。「Garage Minato」は、2階にアイデア空間、1階にものづくり空間を持つオープンイノベーション拠点です。また、町工場間の技術共有と技能継承、仕事の連携を行う場であることで、これからの、ものづくりエコシステムが創造できると考えています。
日本が世界のものづくりイノベーションを支えるための開発拠点となり、世界に誇れる製造業を目指します。
得意分野:金属切削加工、精密加工

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参考URL:https://www.garage-minato.jp/

株式会社木幡計器製作所(Garage Taisho)

Garage Taishoは、ものづくりの町大阪市大正区で創業110年の老舗圧力計専業メーカーとして、「錨印の圧力計」を造り続け、近年はベンチャーマインドで、IoT分野や医療機器分野の製品開発を進める株式会社木幡計器製作所が運営するIoT・ライフサイエンス系ベンチャーのものづくりをサポートするイノベーション創出支援施設です。
得意分野:IoTデバイス、医療機器開発

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参考URL:https://www.garage-taisho.jp/

株式会社アオキシンテック(Garage Tochigi)

「Garage Tochigi」は、研究者やベンチャー企業、町工場、大企業の三者連携を実現する、リアルテックベンチャーインキュベーション施設です。
宇都宮大学 工学部 ロボティクス・工農技術研究所の1室に拠点を置き、
イノベーションが生まれる場所を目指しています。
得意分野:金属切削加工、食品生産ライン構築

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参考URL:https://aokisym.tech/garage-tochigi/

サンケイエンジニアリング株式会社(Garage Ota)

お客様にとっての最適な判断と提案を行い、さらに町工場ならではの俊敏さと提携力で研究開発やものづくりを飛躍的に加速させる。例えるなら、ものづくりの開発プロセスにおける総合受付とER(救急室)としての機能がGarage Otaとしての役割です。大田区内には1500の町工場、すなわち1500人の専門医がいます。Garage Otaは、各分野の専門医(匠)と連携してさまざまな課題や問題を解決に導きます。
得意分野:生産設備、熱制御機器

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参考URL:https://garage-ota.jp/

墨田加工株式会社

「ほしいカタチ、つくります」
 プラスチックはさまざまな産業分野で活用され、かつて金属製であった部品が数多くプラスチック製へと代替されています。ナノテクノロジーの進歩などにより、今後さらに新素材の開発は進展してゆくものと思われます。
 当社は、つぎつぎと誕生する新素材の応用と、加工技術の開発を事業の両輪として、お客様の求めるプラスチック部品の製造に邁進し、今日に至っております。これからもご要望にもっとも適したプラスチック材料と加工方法のご提案に取り組んでまいります。
得意分野:樹脂成形、インダストリアルデザイン

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参考URL:http://www.sumida-mfg.co.jp/

来週以降からは、スーパーファクトリーグループに所属する町工場が、「どんな実績があり、どんな案件を得意としているのか」を1社ずつご紹介していきたいと思います。

尚、町工場に相談していく上で、どのような情報を整理していくと良いのかは、以下のnoteをご覧ください。

製造について考えはじめたベンチャーが、最初に知るべき鉄則(その1、その2)

次回に続く。

(リバネス 内山)

過去に開発・製造支援してきたベンチャーの例


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