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コトバノクズカゴ

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コトバノクズカゴ――校正校閲の現場から /名コラム「ことばのくずかご」に寄せて。言葉の今、を拾い集めてみました。/校正の仕事をしながら、本や新聞を読みながら、電車の中の会話を聞き…
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#障害

1.私たちはなぜ、「障がい」と書くのか(1) 「障碍」ではなく「障がい」が広まった

 最近は公的な機関が出す文書にも、身体や精神のショウガイを「障害」と漢字二文字ではなく、「障がい」と漢字と平仮名で書かれたものを見かけるようになりました。
 「障がい」が使われ出した時期は、はっきり記憶していません。気がついたら「障害」の「害」は他に害を及ぼすという意味があり差別を助長するので「障碍」を使うべき、といった主張をメディアで見かけるようになっていました。

 もしその意見に同意する人が

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1.私たちはなぜ、「障がい」と書くのか(2) 「碍」を常用漢字表に入れるべきか

 文化庁には、常用漢字表に「碍」を入れるように要望が届いているそうです。
 漢字という文字は無数にあり、新たにいくらでも作ることが可能です。
 しかし皆が自分の好きなように漢字を使ったら、たとえば、市の広報紙の漢字の使い方がバラバラだったら、大事なお知らせがちゃんと伝わらないかもしれません。そのため情報伝達やコミュニケーションが円滑に行われるよう、日常的に使う漢字の目安を定めたのが常用漢字表です。

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