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♡定番人気のファム・ファタル♡

「何かを見よう/聴こう/読もう」とすると(というか、そんな意図がなくても)、『破滅的で若く美しい女』に出会う頻度が高すぎる。まあ、あなたがその手のコンテンツに偏って触れているからですよ、と言われてしまえばそれまでではあるが。

 彼女らはいわゆる『ファム・ファタル(運命の女、または人を破滅させる魔性の女)』に該当しそうだが、『破滅的で若く美しい女』として描写される架空の人物全般をその一言でくくってしまってよいのかはわからない。

 大まかな人物像はこんなだ。絶対ってことはないので、「(通称)ファム・ファタあるある」として見てほしい。
 ___低いのか高いのか?脆い自己肯定感、それに伴う不安定な情緒と自己像、様々な精神疾患、奔放で刹那的な振る舞い、薬・酒・煙草・自傷など、嗜癖への耽溺、明るくはない生育歴、不安定な愛着、支配と被支配、共依存、急な攻撃性の発露、性的関係における不具合、そして、毒々しい諸要素をくるむ整った容姿と庇護欲を掻き立てる儚さ、愛らしさ………………     

 なんだかこう、表現にあまい刺激と"深遠っぽさ"をインスタントに加えるための舞台装置のようだ。さながら、かの有名なうま味調味料「味の素」である。(例えが甘くない。アスパルテームとかでも良かったかもしれないが、何か足りない。)

 勉強不足、というかマジで学が無いためここで大きく踏み込むのは控えるが、性規範や、容姿や年齢の取り扱いに際する意識が大きく変化しつつある昨今の潮流にも関わらず、今後もなお彼女らが多"用"された表現が公然と行われてゆくのだとすれば、それは作り手と受け手の共犯によって温存される怠惰の果実なのでは、と思う。そして、くだものは腐る直前が一番あまいよね。
……手放せるか否かの分岐点は、もうすぐそこなのでは?  そしてこの話題、何気に結構重要だと思う(^.^)

 様々な問題を孕んでいる可能性が高い『破滅的で若く美しい女』像の多さが、『フィクションと現実の区別をつけましょうね』というお題目の下に、ヌルっと見過ごされていていいのか。何かしらのテーマを取り扱うため、必要性を以て丁寧に描写されるならいいと思うのだけど、近年すごくカジュアルにコンテンツ化(主に漫画、アニメ、ゲーム、ネット文化の文脈から出てきたヒット曲など)されるのを見ていると、心がざわついてしまう。心を掴むためのフックとして「とりあえず」出してない?
 心療内科に通う10代女性の一人として、わりと気になる。

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