#02 青くさいまま大人になりたい
『いちいち泣いていられないから、
いちいち忘れる。
甘くない。
引きずらない。
もう、青くない。
おとなは、ながい。』
電車に揺られているとイオンウォーターの広告が目に入った。心がチクッとした。多くの友人たちのように会社帰りの新社会人だったら、もっとエモい気分になったんだろうな、と思う。
今のわたしにとっては、痛いとこをつかれたな、という気持ち半分、そんな「大人」像には逆らってやるぞ、という気持ち半分、というところ。
もう泣いてはいられないこと、
引きずっている場合じゃないこと、
わかっているんだ。
わかっているからこそ青い気持ちはできる限り
なにもないあの町に置いてきた。
それでも。
私は、なにも、忘れたくない。
これからどんな大人になろうと、
どこで誰と出逢ってどんな恋をしようと、
22歳のわたしが何を考え、何を感じてきたのか、
何にときめき、
何に悩み、
何に苦しみ、
何に救われてきたのか、
余すことなく覚えていたい。
焼き付けど、抗えど、
記憶はそのうち薄れていくだろう。
でも、感覚は、痛みは、失いたくない。
一つ足りとも忘れたくない。
…10年後のわたしがこの文章を読んだら、
「ああ、あの頃は青かったな。」
なんて笑うのだろう。
それでいいよ、それでいいからさ、
平気なそぶりをしていても
胸の奥がすこしだけチクっと痛むような
そんな大人でいてくれよ。
なにも忘れず、青いわたしのままで、
どこまで、いけるだろう。
どこまで、変われるだろう。
青くさいまま、大人になりたい。
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